譲らない



「おーい!名前おはよーん!」

『あっ、コガおはよー』

「………」

「水戸部もおはよう≠セってー」

『おはよ!みーちゃん』




コガこと小金井くん、みーちゃんこと水戸部くんが一緒に教室で話をしていた。私が登校して、教室に入るとコガが元気よく私に挨拶をした。




『2人とも仲が良いね』

「そう?」

『私も欲しいなぁ…。仲の良い友達が』

「………」

「ふむふむ名前には俺達がいるよ≠チて水戸部が言ってる。水戸部の言うとおり、俺達がいるから!」

『…うん!』




なんて嬉しい事を言ってくれるんだこの2人は…!
私と仲が良いって思ってくれていたなんて…!

嬉しさに浸っていると、教室の扉が開いた




「名前いるかー?」

『うぉっ、順平』

「話があんだけどよー、ちょっといいか?」

『うん、いいぞー。コガにみーちゃん!ちょっと行ってくるね』




席を立つと、みーちゃんが笑顔で手を振り、コガはちょっと不満そうな顔をしてた…。少し気になりつつも順平の所まで歩いた。




『なに?』

「うっせぇ、ダァホ。いいから来い」




こんな朝早くから何よ。
コガとみーちゃんと楽しく話をしてたのにー!
どうせ順平の説教タイムでしょ?わかってるんだ。

教室から離れ、人気のない階段脇へと来た。




『んで?どうした?』

「あ、あのよ…」

『ん?』

「その…、好き、なんだけど…」

『え?』




今、順平何て言った…?
なんで顔真っ赤に染めてんの?
は?いやいや何この空気




「だから、名前が好きだって言ってんだよ…、だぁほ…」

『えっ!?そ、そうなの…!?』

「黙れっ!!」

『怖いから!』




そうだったんだ…
で、でもでも、私実はコガが好きなんだ。
順平の気持ちは嬉しいけど…ここは断った方が順平の為だよね。心が痛いな…




「ダメ…か?」

『あの、私…』

「日向待ってー!!」




順平に返事をしようとしたら、コガが汗をかきながらこちらに走ってきた。




『コ、コガ!?』

「お前っ…!!」

「日向っ!悪いんだけど…名前は譲れないよ!」

『「えっ!?」』




突然現れたと思いきや、突然の告白?をした。
バスケ以外ではあまり見ない真剣なコガの顔…




「どういう事だ?」

「だから…、ダメって事だよ…」

『コガ…?』

「コガ、意味を言え、意味を…」

「俺も、名前が好きなんだっ!!」

『え…?』

「…1回ここは引くけどよ、絶対に諦めねぇから」

「絶対に譲れないしっ!」




そうして順平は、私と突然現れたコガの前からいなくなった。
その場に残ったのは私とコガの2人だけ。

つか、好きって…?




『…ねぇ、何でいるの?』

「え?あ、の…」

『なに?』

「水戸部に行けって言われたんだ…」

『みーちゃんに…?』




もしかして、みーちゃんは順平が告白する事を知っててコガを送り出したっていう事?




「改めて言う!…俺さ、名前が大好きなんだっ!」

『コガ…』

「それで、名前の返事が聞きたいんだけど…」




コガが…
わ、私を…?って事は両想い!?




『私もコガ好きなんだよ?ずっと、中学の頃から大好き!』

「嘘っ、マジで!?俺も中学の頃からだぜ!わーい!やったー名前大好きー!!」

『え!?』




お互い中学から好きだった事を知ったコガは両手を大きく広げて私を抱き締めてきた。




『えぇ!?急に抱きついて何っ!?』

「今すっげー嬉しいから!」

『は、恥ずかしいからやめてぇ!!』





譲らない
(…チッ、結局俺はダメって事かよ
(日向ドンマイ
(伊月…



20130729

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