――――ピンポーン





それはちょうど風呂から出て、髪がストレートになるまで念入りに乾かしているところだった。

突然、家のチャイムが鳴った




「…こんな夜遅くに誰だ?ストレートにするから邪魔すんなよなー」




迷惑なセールスとかその他諸々の奴らだろうと思って取り敢えず無視する事にした。







――――ピンポーン



「…………」




無視をしたがなかなか帰ってくれる気配がしなかったので、仕方なく出ることにした。
とことん嫌味言ってやるかんなっ!!!




「はいはーい、今開けるから待ちなさーい」




鍵をあけ、ドアノブに手を置き扉を押し開けた




「ったくこんな夜遅くに誰ですかー…」





扉の前に立っていたのは…




『銀八先生、親が落ち着くまで1週間だけ…泊めさせてください!』




大荷物を抱えた俺の生徒、苗字名前だった。

なんで俺の家知ってんのよ…









***



‐翌日‐




きーんこーんかーんこーん。




「はーい、お前ら席に着きやがれー」

『先生おはよー』

「あ、あぁ…はょ」




なんで俺は昨日、生徒の苗字を泊めてしまったんだろう。これって立派な犯罪だよな…?
いや、でも『親が離婚で揉めてるから家に居たくないだけです』なんて言うからだかんね?
本当はダメだけどね!?親に許可取ってるって言ってたしね!?夜遅かったしね!?!?

さすがに無理矢理家に返しすのは可哀想だったし…




「銀ちゃーん!」

「なんだー神楽。ってかここでは“銀八先生”って呼びなさーい」

「1週間後にみんなで遊園地行くネ!先生も一緒にどうアルか!?」

「おぉー、いいなぁ。お前らの奢りだったらなお良し!」

「甘ったれるんじゃないネ!そんなんだから男はいっつも女に頼って別れた途端一人だと何も出来なくなるアル!!」

「わーった!わーったよ!…ったく、うるせぇ奴だなぁ」

『…………』




ふと視線を苗字に移す。

苗字は外を見ていた。普段は見るかぎりいつも笑顔のくせに、今日はあまりに悲しい表情をしている。
神楽達とつるんでる時は無理矢理笑顔で対応してる様に見えた。


まぁ当たり前か…親が離婚の危機だもんよォ




「おーし、じゃあ授業初めんぞー」

「先生ー、その前にタバコ吸うのやめてくださーい」

「バッカ、マヨ方くん。これは前から言ってるだろ?ペロペロキャンディだ」

「じゃあ何でも棒から煙が出ているんですかー?」

「先生がいっぱいレロレロしているからだ」




俺の授業の間、苗字はずっと外を見ていたが、特に注意はしなかった。

…ったく、少しは授業に集中してほしいよなぁ










きーんこーんかーんこーん。




「おし、授業終わりだ!んじゃあ帰りのHRまでアバヨ!」

「じゃあねー銀ちゃん!」

「おう」




職員室に帰るため、ガラガラと教室のドアを開ける。

はぁ、この長い廊下歩くのだりぃな。なんでこう、めんどくせぇのかな?動く歩道にしてくんねぇかな。





『銀八先生!!』

「?」

『待ってください!』




職員室までの長い廊下をサンダルでペタペタ音をたてながら歩いてると、後ろから苗字が俺を呼びながら走ってきた




「苗字どーした?」

『あ、あの…今日、一緒に帰りませんか…?』

「別にいいけど、お前顔赤いぞ?熱あんのか?」

『ね、熱はないです!』

「ほーか?」

『は、はい!』

「ん、じゃあ帰り校門で待ってっから。残りの授業頑張れよ!」




ポコッと軽く苗字の頭を日誌で叩いた。でもやっぱり苗字の顔は赤いまま




『はい!』

「じゃあな」

『…っ、はい!』




俺は苗字に背を向け、再び廊下を歩きだした。
背後から上履きの音が聞こえた。苗字も教室に戻ったらしい




「思えば今まで苗字とあまり関わった事ねぇな…」




なんでだ?神楽と仲が良いはずなんだけど…
話した事は…そんなにない

一体、苗字はどんな子なんだろーな








***



やっと帰りのHRが終わり、みんながお家に帰る頃…俺は仕事を終わらせて校門前で苗字を待っている。もちろんスクーターに乗って




「あ、銀ちゃーん!誰を待ってるアルか!?」




またもや神楽が俺に話かけてきた。
神楽も定春という名のデケェー犬に乗っている




「だっからオメェここでは先生だっつーの。つか誰でもいいだろー、ガキは帰った帰ったー」

「むぅ…ケチアルな。定春!家まで行くヨロシ!」

「ワン!」







――――ドドドドド



「…嵐だな。っつーか苗字遅くねーか?」


『せ、先生ぇ!お待たせしましたぁ!』

「おっせーよ、早く帰るぞー。いろいろやる事があるんだよ」

『はい!』

「ん。ほれ、ヘルメットかぶれ」




俺は苗字に自分用の1つしかないヘルメットを手渡した




『せ、先生は…?』

「俺は頭かたいから平気なの。っつか早く後ろ乗れ、帰んぞ」

『はーい』

「ちゃんと掴まってろ」




スクーターを走らせるが、なるべくいつもとはちょっと遅めに走らせている


俺達は家に着くまで何も言葉を発しなかった。
何か話してあげようとも思ったが、何を話していいかわからなくて、やめた







***



「ふぅ、ただいまぁ〜」

『あの、先生!料理は私が作るね』

「おっ、マジで!?期待してんぞ。俺やる事あって部屋にいるから、なんかあったら言いに来いよ?」

『はい!』

「じゃ、よろしく」




そう言った俺は別の部屋に入り、残っている仕事を終わらせる為、机に向かい仕事を始めた。




「さーてと、やるぞー」























――――コンコン



『先生?ご飯が出来ましたよー』




先生からの返事はない。
寝ているんだろうか、それとも夢中になっているのか




『先生、入りますよ…』







――――ガチャ



「スゥ……スゥ…」

『…寝てる』




私は銀八先生に近寄り、寝顔を見つめた。
先生ってよく見ると顔がすごく整ってる…。羨ましい





『……好き』

「…スゥ……ンッ…」

『2年前から好きです先生。けど私達は先生と生徒だから私の恋は片想いで終わりなんですよね…』


「………ンッ…」

『………』




何を言ってるんだろう私…。とりあえず寝ている先生の背中を優しく叩いて起こす




「…ンッ……ん…?苗字」

『ご、ご飯出来たんで起こしに来ました』

「あ、あぁ…わかった…」




あわわわ、目をこする先生の姿がすごく可愛いな…






『「いただきまーす』」


「……モグモグ」

『お、美味しいですか?』

「お、美味すぎるわ!!」

『よかった…』

「な、なにこの美味さ!」





1日目
(後、6日間か…
(苗字ー、お前ベッドで寝ろよー
(え?先生は?
(俺はソファーで寝るから
(いいです!!私がソファーで寝ますから!!
(いいから!素直に先生の言うこと聞きなさい
(はい…



20130130


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