可愛っつか綺麗




『おチビー』

「誰がおチビだっ!!」




私はSクラスにいるあの人に用がある為、放課後すぐ教室に行って幼なじみのおチビを呼んだ




『なによ、昔から言ってるんだから今更気にしないでよね』

「昔から否定し続けたけどな…!大体なんで"おチビ"なんだよ」

『私の方が身長高いから』

「1pしか変わらねぇじゃんかよっ!!」

『1pでもいいの!』

「たったの1pじゃん!」

『うるさいなぁ。っていうか、私はちょっと用があって来たの!』




おチビの頭をポンポン叩きながら、教室を見回す。
そしたら「ポンポンすんなっ!!」って手を払われた。痛いなー




「ふんっ!…用って?」

『あのさ、翔って神宮寺さんと同じクラスでしょ?…お願いがあるの』

「は?」









***



「…で、名前が教えてほしいんだと。可愛くなれる方法を」

「レディから来てくれるとは、ありがたいね。…おチビちゃん機嫌悪い?」

「わ、悪くねぇよ!!いいか!絶対名前に変な事すんなよ!?」

「はいはい、わかったよおチビちゃん」

「おチビって言うな!!」




教室から神宮寺さんと翔の声が聞こえる。
丸聞こえだからね?


まだかなーって外で待っていたら、扉が開いて翔が出てきた。




「ん、入れよ」

『うん』




教室入るだけなのに、なんだかものすごく緊張してきたな…。

翔が教室の中まで案内してくれた。
教室の真ん中で、生徒達が使う机をくっつかせ、私が座った向かいには神宮寺さんが座っていた




「おチビちゃんから話は聞いたよ。可愛くなりたいんだって?」

『は、はい』

「それはどうして?」

『そ、それは…』




翔に可愛いって言われたい…、なんて本人がいる前で絶対に言えるわけがない…!
昔から翔と同じ身長だから、可愛いなんて言われた事がなかった。だから言われたい。
だって…好きな人なんだもん




「…ねぇ、おチビちゃん?ちょっとの間だけ教室から出てくれないかな?」

「は?」

「彼女話づらいみたいだからさ」

「…絶対変な事すんなよ」

「わかったって」




そう言うと翔は、しぶしぶ教室から出ていった。神宮寺さんって、私の心がわかるのか!?




「レディは、おチビちゃんに可愛いって言われたいんだろ?」

『!?』

「見え見えさ」

『あの、翔には言わないでくださいね!』

「あぁ。さて…まずは綺麗になろうか。今のままでも十分可愛いけど、どうせなら、おチビちゃんの顔を真っ赤にさせよう」

『よ、よろしくお願いします!』




そして、翔をギャフン(?)と言わせる為にまずは軽く化粧から始めた。
神宮寺さんは、メイクがとても上手いです…


メイクが終わると、次は髪型について教えてくれた。私の髪はミディアムだから、軽く巻けば可愛くなると神宮寺さんに言われたんで早速やってみると…、出来上がった自分にビックリした。私じゃないみたい


せっかくだから衣装も変えようと、神宮寺さんが指を鳴らした途端、衣装がゾロゾロと出てきた




『(どこに隠してあったんだろう…)』

「はい、レディ」

『あ、ありがとうございます!』




可愛い衣装がたくさんあっていつまでも衣装が決まらず困っていると、神宮寺さんがアドバイスをしてくれた。













−2時間後−



『ど、どうですか…?』

「すごく可愛い…、いや、綺麗と言うべきかな」

『綺麗…?』

「おチビちゃんには、すごく勿体ないよ」

『ありがとうございます!神宮寺さん!!』




早く翔に見せたくて、扉に手をかけると勢いよく自動的に開いた。




「遅いっ!!」

『!?』

「おや?いきなり開けるのは心臓に悪いよ?おチビちゃん」

「うるせぇ!!…って、あれ?名前は?…つか、お前誰だ?」

「『は?』」

「だからお前誰だよ」




まったく…。このおチビは化粧したら私だって気づかないのかしら…鈍ちん!!




「…レディなら、おチビちゃんの目の前にいるけど」




呆れた風にため息をついた神宮寺さんは、翔にちゃんと言ってくれました




「…はぁ!?」

『何その顔。…翔?今の私、可愛い?』

「か、可愛いっつか、き、綺麗だぜ…」

「初々しいねぇ、二人とも顔を真っ赤にしちゃってさ。このまま幼なじみのままでいいのかい?一歩踏み出しなよ」

「……」

『……』

「俺は失礼するよ」




そう言い残した神宮寺さんは教室を出て行った。教室に残されたのは変身した私と翔の2人だけとなった




「あの…、その…」

『…ん?」

「俺、名前が音也と聖川と那月と仲良くしてるところを見ると、モヤモヤするんだ…」

『え?』

「だから、嫉妬してるんだよっ!!」

『…えぇ!?そうなの!?』

「そうだよ!昔は、ずっと同じクラスだったから野郎を名前に近寄らせないようにしてたけど、ここに来てから離ればなれになって、毎日不安なんだよ…」

『翔…』




すると突然、翔がぎゅっと抱きしめてきた。私の肩に翔の額が乗っかる。




『!?』

「名前、好きだ。俺の彼女になれよ…」

『翔…』

「昔からずっと好き…」

『私も、好き。今日、神宮寺さんに協力してもらったのはね?翔に可愛いって言われたかったからだよ…?』

「昔から名前は可愛いっつーの」

『うっ…』





可愛っつか綺麗
身長が私より1p低いくせに、抱き締められた時は、私よりも大きく感じた。

のは気のせいかな…?



20130312

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