大切な日



明後日は私の誕生日だ!
できれば、彼に祝ってもらいたいな〜なんて思ったりしちゃってます。




『ト〜キ〜…』




部屋にいるかなと思い、ドアにノックをしようとした時…
中からボソボソと話し声が聞こえる。ただ、トキヤの声しか聞こえないから電話しているのかも…。そっと耳を寄せた




「…ええ、明後日ですか?…すみません、明後日は大切な予定がありまして。はい、わかりました明日ですね。はい、…では、失礼いたします」




こ、これってサプライズ!?
あのトキヤに祝ってもらえる!大切な予定だって!嬉しい!うわっほい!!
その場から駆け足で離れた。祝ってもらえる!あの!あのトキヤにだよ!?




『楽しみだな〜!』




次の日、トキヤに午後から空いてるか連絡をした。
昨日の話聞いてから会いたくて会いたくてしょうがなくてさ!
時々憎たらしい奴にも可愛いところあるんだなって思って




「…すみません、少し遅れましたね」

『いーよいーよ!それよりさ、ご飯食べに行かない!?』

「ええ、…名前は本当によく食べますね。大丈夫なんですか?体の方は」

『うん!もうすぐ20歳だから!大丈夫』

「へぇ、そうなんですか?…でも20歳なったからとはいえ、まだ丈夫じゃないのですか、気をつけてくださいね」

『……うん?』




あ、あれ?
私の誕生日知らなかった…?まさか!あの完璧主義のトキヤが!?みんなの誕生日把握してそうなトキヤが!?きっと演技だ、サプライズで驚かそうとしてるんだ。

ええ〜!知ってたの〜!?

みたいなリアクションを求めてきてるんだ!さすがアイドル!


そして、レストランへと来ました。




『ねぇねぇ!明日は空いてる!?』

「…すみません、大切な予定があります」

『そっか!楽しみに…あ、いや!残念だな〜!また今度誘う!』

「?はい、お願いします」




これも演技か…、本当にやりおるな…!
ドッキリに気づいてなかったら騙されてたところだよ!




「あ、すみません、この後また仕事が入ってるので私はこれで…」

『え、も、もう!?早くない!?午後なら空いてるって…』

「…私は貴方みたいに暇ではないのですから、当たり前でしょう?午後だって、今空いてたじゃないですか」

『そ、そんな…普通なら明日の朝までとか思うじゃん!』

「…とにかく、行きますから支払いはこれでお願いしますね」




テーブルに私の分も含まれているのであろうお金が置かれた。いらないと言おうとしたら、そそくさとレストランから出て行ってしまった。
彼女をこんな所に置いてけぼりか?このヤロー!

そりゃ、アンタに比べたら仕事の量少ないさ!でもそりゃないでしょ〜…




『くぅ…!全部食べてやる!』















***



そして誕生日の時が来た!
でもトキヤから何も連絡がこなかった。なんだよ、自分で気づけってか?

とりあえず部屋の前まで来た。開けたらクラッカーとか鳴らしてくれるのかな!?微笑んだトキヤが出迎えてくれるのかな!?…考えるだけでニヤけちゃうよ〜




『とーきーやー!!』




思いっきり扉を開けた。




「…な、なぜ名前がここに…!?」

「名前…ちゃん…!?」

『え、なんで、春歌ちゃんが…?』




トキヤが、春歌ちゃんに跪いて優しく手をとっていた。まるで王子様みたいなシチュエーションだな…

いや!問題はそこじゃない!いや問題だけど!1番の問題は、もしかして、大切な予定ってのは、私の誕生日じゃなくて…春歌ちゃんと会うことだったの?




「あの、これには理由がありまして…!」

『トキヤの大切な予定って、これだったんだ…そっか』

「名前、ですからこれには…」

『あー、ごめんトキヤ。…1人にしてください!』

「あ、名前どこへっ!!」




なんだ、そういう事だったんだ。
私が勘違いしてただけなんだ、誕生日知らなかったのは演技じゃなかったんだ。
春歌ちゃんに気があるのかなってのは薄々?気づいてたけどさ、付き合う前にずっと一緒にいるって言ってくれたからてっきり私が1番だって勘違いしちゃった、恥ずかしい…


だってトキヤの手に指輪があった。
春歌ちゃんの指にはめようとしてたよ




「…はぁ、っ、見つけ、ました!」

『…ごめん、知らなかった』

「なにが、ですか!」

『…プロポーズするくらい春歌ちゃんが好きだったんでしょ?…言えば別れてあげるのに、私、そんなに意地悪じゃないよ?』

「何を言って…!!」

『…トキヤは意地悪だな〜、私って鈍いんだから言ってくれなきゃ何もわからないよ。知らないまま結婚式見るの嫌だからね?…はぁ、タイミング悪かった』

「…ええ、タイミング悪すぎです」

『わかってるよ、そんな事。てっきり誕生日祝ってくれるのかなって思っちゃった!馬鹿らしいね』

「人の話を聞きなさい!!」

『!?』




涙が流れないよう絶えず話していたら、怒鳴られた。




「信じてもらえるかわかりません、確かに名前からみたら、その、プロポーズに見えていたかもしれませんが、あれは練習なんです!」

『れん、しゅう…?』

「…プロポーズの練習です」

『誰に?春歌ちゃん?…でも春歌ちゃんで練習ってのもおかしいか』

「貴方ですよ!あ な た!」




両頬がトキヤの温かい手に包まれた。少し力強い気がするけど…




『わ、たし…?』

「貴方のせいで、全てが狂いました。こんなはずではなかったのですが…仕方がありませんね」

『トキヤ…?』




トキヤに正面から強く抱きしめられている。心臓がドキドキ鼓動が速い…、私も、トキヤも…




「…名前、これからもずっと何があっても、私と一緒に生きてくれますか?」

『…っ、よ、喜んで!!』

「…泣き顔もいいですが、笑顔が1番好きですよ」

『今、だけ…!嬉し泣きだもん!!』

「可愛いですね」




これからは、一ノ瀬名前として生きて行きます!!








20150420

- back -


[prev] | [next]


「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -