セシルとレン



「やぁレディ、今日も君は可愛いねぇ」

『っ、もう!レン!いい加減に抱きつかないで離れてよ!!』

「細いんだね」

『ーっ!やだっ!!変態っ!離れろっ!!』

「やだ」




毎朝レンが私を抱きしめてくる。
離れてほしいのに、全然離してくれない。ついでに私のウエストも計りやがった




『ねぇ、ホントに…!』

「レンッ!」

「…セッシー?」




突然、教室の入り口で荒々しく扉が開いた。
そこに立っていたのは、転校してきたばかりのセシルくん




『丁度いいところに…セシルくん!助けて!』

「はい!…いい加減に離れてくださいっ!」

「おっと…」




彼はズカズカと入ってくると私達の前で止まり、レンと私を引き離してくれた。
そして、私はセシルくんの後ろへと身を隠す




『ふん、レンのばーか』

「レンはバカです」

「2人とも酷い事言うね」

「名前は私のですっ!」




その言葉と共に、私に抱きついてきたセシルくん。
突然の出来事に驚いて固まってしまった。




「今後は名前に触らないでください!」

「悪かったよ」

『……』

「わかったのならいいです…」

「…疑ってるでしょ?」

「なっ、疑ってません!」

『…あの、セシルくん離して…?』

「え?……あ、ごめんなさいっ!ワタシ無意識でした…!」




慌てて私から離れたセシルくん。
無意識で抱きついてきたのにはビックリしたけど、素直に謝るところはレンより全然可愛い…。




『大丈夫!』

「俺との態度が違うね」

『だってレンは可愛くないもん』

「どちらかというとカッコいい、だろ?」

『……』




彼のこういうところがなければいいとは思うんだけどね。
非常に残念だよ。

そして鳴り響くチャイムの音




『あ、チャイム鳴った…』

「セッシーはAクラスでしょ?帰らないと」

「…名前が心配です」

『私は大丈夫だよ!』




きっと、レンがまた私に触ってくるんじゃないかと心配してくれてるのかな?
なんて優しい子なんだろう…!!
でも大丈夫!私とレンは席が離れているからっ!!




「もう手は出さないよ」

「…ホントですか?」

「本当に疑うね。大丈夫、席離れてるから」

『うん』

「…なら」




彼の顔が近づいてきたなーと思っていたら、頬にキスされた。
…なんで?




『「……」』

「これで我慢します…」




そして、セシルくんは少し満足した笑顔でAクラスへと帰っていった。
私達をクラスの注目にさせたまま…。




『…レン』

「…俺はもう名前に関わっちゃいけないから」

『そ、そんな事いわないでさ…』

「やだ」




この後、クラスの女子達に質問攻めにあったのはいうまでもない。
大変だったんだから…





セシルとレン
(名前ー!また来ました
(セシルくーん!レンがいじめたー!!
(…レ〜ン〜!
(ち、違うよセッシー!信じて!!
(……
(…どうして疑うかな?


20130916

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