『音也、近い』 「……」 『…無視なの?』 今日で音也と付き合って1年が経った。 さっきまでバラエティー番組の仕事をしてたんだけど、帰りに真斗くんと那月くんと一緒に話をしていたら音也が割り込んできて、そのまま腕を掴まれ、まっすぐ家に帰ってきた。 ただ途中で記念にケーキとか買って、彼の家に着いたのだけれども…、なんか距離が近い気がする。 だって肩と肩がピッタリくっついてるもん 「嫉妬した…」 『そう、なんだ』 「ねぇ、今日は俺達1年の記念日だよ?」 『そんなの知ってるよ、だから何?』 「……」 音也は私の発言に目を点にした後、ギュゥゥウっと後ろから抱きついてきた。 まるで子供のような… 『な、なにっ!?』 「寂しくなった」 『どうして…?』 「名前、俺の事好き?」 今更この人は何を聞いてくるんだろう…。好きじゃなきゃ1年も付き合ってないし、一緒にいないのに。 しかも珍しく悲しい顔しちゃって…、音也らしくなくてちょっと可愛いとか思っちゃったり… 『あのね、私はちゃんと音也が好きだよ』 「名前…」 『なんか、今日の音也らしくないぞー』 「だって、不安になるんだよ…。1年も付き合ってるとさ、俺の事冷めてるんじゃないかって…」 『あははは、大丈夫!私はずっと音也の事大好きだから冷めたりはしないよ』 「…そっか。じゃ、じゃあさ、1年記念はさ…、名前が欲しいなっ!」 『ブフッ!!』 喉が渇いたなと思い、テーブルに置いてあったコップを手に取って、飲もうとしたら、音也が言った言葉に思わず口に含んだ飲み物を吹き出してしまった。 この人…、今なんて言ったの…!? 「今日1日は名前が欲しいんだ。マサとか那月とかじゃなくて俺にも笑顔を向けてよ」 『それってどういう…』 「まんまの意味だよ?」 音也の顔がゆっくり近づいてきたなと思ったら、唇に柔らかいものが触れた。 この感触って…キ、キスだよね!? 『!?』 「たーっぷり可愛がってあげるからねっ!」 『うひゃぁぁぁあ!!』 この時、2度と音也を嫉妬させないよう神様にたくさん誓いました。 好きだよね? (グスッ… (ご、ごめんね…? 20130504 20130819.移動 [prev] | [next] |