かわいい



『ナギちゃん』

「だから、毎日言ってるでしょー?子供みたいに呼ぶのやめて」

『…ナギちゃん』

「…はぁ、どーしたの?なんで泣いてるの」




私は今、ナギちゃんの袖を引っ張りながら泣いてる。
13歳の前で泣く18歳も恥ずかしいと思うけど、今はそんなの関係ない。




「泣いてるだけじゃわからないよ。何かあるならちゃんと言って」

『ごめん』

「…は?何が?」

『ナ、ナギちゃんは…、ゴキブリ倒せる?』

「はぁ?」




あらあら、ナギちゃんったら自慢の可愛い顔が変な顔になってますよー。
あ、じゃなくて…




『あのね、さっきゴキブリが出てねっ、驚いてナギちゃん家に来たんだけど…』

「はぁ!?超紛らわしいんだけど!名前に何かあったのかと思ったじゃん」

『倒せるの!?倒せないの!?どっち!?』

「無理無理ー」

『どーして!?』

「どーしてもっ!!名前は僕がゴキブリ苦手なの知ってるでしょ!?」

『うん…』

「知ってて来るって超ウザイんだけどー」




だってナギちゃんしか近くに知り合いいないんだもん。別によくない?




「はーあ!名前に何かあったのかなって心配した自分がバカみたいじゃん!」

『あはは、ナギちゃん元々バカじゃん』

「殴るよ?」

『ご、ごめんなさい…』




こぇぇえー…
13歳に殴られた18歳。うん恥ずかし過ぎるからナギちゃんをからかうのは、もうやめておこう。
つか、マジでゴキブリどうしよう…。別に私が倒せてたらこんなに困ってないんだよね…




『ナギちゃ〜ん!!』

「ホントにヤーダ」

『もう!ここにゴキブリ持ってくるよ!?』

「あ、そう。じゃあ永遠にさようならだね!僕の前に現れないでよ〜」

『ほ、ほんの冗談だから家から出そうとしないでっ…!!』










***



「はぁ…。早く家に帰りなよ…」

『ケチケチ…』

「別にケチでいいし」

『ふん、可愛くない!』

「あ、今のセリフは聞き捨てならないんだけどー?」

『ナギちゃんなんか宇宙一可愛くない!!ふんっ!』




ナギちゃん、顔は可愛いけど他は全部可愛くない!!
全然全く可愛くないっ!!もっと男の子らしいとこ見せてほしいし、私は本当にナギちゃんの彼女なのかわからないよ…!!!


あ、実は彼女なんです…




「―っ!!」

『きゃっ、あ!?』




突然ナギちゃんに引っ張られ、ベットへと2人でダイブした。
目の前にはナギちゃんのちょっと怒った顔が…。
あら、こりゃ押し倒された感じだわ…




『ど、どうし…』

「可愛くなくたっていいよ!別にっ!!」

『い、言い過ぎたよ…』

「…名前とは5歳も差があるんだ、この距離は絶対縮まらない。子供扱いされるのが悔しい」

『ナギちゃん…』

「だから、名前には僕の大人の素顔を知ってもらわないと…ね」

『!?』




あ、あははは…
ナギちゃんってば冗談キツーイ!!
私困っちゃうよー、はい!お遊びはお終いねっ!
ナギちゃんどいてどいて




「たーっぷり、可愛がってあげるから覚悟しなよ」




あぁー…
これ犯されんな。
どうやら私は、ナギちゃんをすーっごく怒らせてしまったようだ








かわいい
(可愛いのは顔だけだよ…
(名前ー…、まだ懲りてないのかなー?
(あぁ!ごめんなさい、マジでごめんなさいっ!!


20130725

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