校内で枕投げ



「わぁぁぁあ!!や、やめろよトキヤ!」




購買でお昼ご飯を買ってクラスに戻ろうと廊下を歩いていると、どこからか声が聞こえた。その声はだんだんとこちらに近づいてくる




『?』

「やめろってぇ!!…うわっ!!」

『!?』




曲がり角から赤い髪色をした男の子が突然現れた。私達はお互いの存在に気づいたけど避ける事が出来なくて勢いよくぶつかってしまい私も相手も尻もちをついてしまった




「いたたた…」

『いったー…』

「音也っ!?」




…あれ?
赤毛の男の子に近寄ってる人って、まさか…




『ト、トキヤくん?』




トキヤくんと私は同じSクラスで、とても仲良くさせてもらってます。




「え、名前さん!?だ、大丈夫でしたか!?」

「あれ?トキヤ、俺の心配は…?」

「しませんよ」

『私は大丈夫です…。あの、お二人は何をしていたんですか?』

「「……」」

『?』











***



『ま、枕投げ…?』

「うっ…」

「そうだよー。トキヤってば本気で投げてきてさぁ!痛かったよマジで!」

「それは、貴方が余計な事を言うからいけないんですよ」

『ふふ、楽しそうですね』

「っ!」

「…トキヤ、顔があ「かくありません」

『ト、トキヤくん熱ですか…?』

「いえ、暑いだけです」




トキヤくんがそう答えると、一十木くんが顎に手を添えて何か考えている姿を見せる




「ふーん、なるほど〜」

『?』

「お、音也、なんですか…その目は…」




一十木くんがトキヤくんの肩に手を置くと、私には聞こえない程度に小さな声で話始めた




「トキヤって、あの子が好きなんでしょ?」

「な、なな何を言っているんですか!」

「聞こえちゃうよ…!」

「あ、」

「好きなんでしょ?」

「…はい。(まさか、音也にバレてしまうとは…)」

「よし、俺が協力してあげるよ!!」

「えっ!!?」




後ろから2人のやり取りを見ていたら、トキヤくんが突然大きい声を出した。




『?』

「ねぇ、名前ちゃんも枕投げしようよ!」

『廊下で、ですか…?』

「うん!3人でね!」

『はい!ありがとうございます』

「……」




こうして昼休み、3人校内の人気のない廊下で枕投げをする事になった。




『あはは!』

「トキヤ!痛い!」

「本当に何がしたいんですか!貴方はっ!」




トキヤくんが投げた枕が音也くんに当たらず、私の近くにある少し大きな壺に当たった。
その壺はグラグラ揺れて、私の方へと倒れてくる




『…え、ちょっと、えぇ!?』

「名前さんっ!」

「名前ちゃん!!」




反射的に目をギュッと閉じて痛みが来るのを待っていた。けど壺が倒れてくる気配はしないし、痛みも感じない。その代わり体が何かに包まれて温かくなった




『…?』




ゆっくり目を開けると…
目の前には何これ、服?




「す、すいません…!」

『…え、ト、トキヤくんっ!?』




トキヤくんは左手で倒れてくる壺を支え、もう片方の手で私を壺から庇うように抱き締めてくれていた。

ち、近い!!トキヤくんいい匂いがする!変にドキドキしちゃうよ!!




「危ないよトキヤー!」

「だからこうして謝っているではないですか!」

「うっ、そうだけど…」




彼は壺を支えているうちに私をその場から逃がし、両手で壺を元の場所へと戻した。
戻すと申し訳ない顔をしてすぐ私のところへと来た。




『?』

「怪我はないですか?」

『トキヤくんが守ってくれたので、怪我はないです』

「本当にすみません…」

『だ、大丈夫ですから!』




ふと見つめ合う私達。
トキヤくんの瞳は綺麗だな。顔も、綺麗。
さっき抱き締められたんだよね、トキヤくんに…。考えただけで体が熱くてドキドキしてる…








「…ねぇ、いつまで見つめてるの?俺の存在空気なんだけど」

「!」

『あっ…』

「あ、こ、これは…!」

『ごめんなさい…!』

「(なんだよー、俺の前でイチャついて…。ちょっと妬いちゃうな)」











***



昼休みが終わって放課後も枕投げをしていたのだけれど、一十木くんが月宮先生に呼ばれてしまった為、枕投げは一回中止となった。


Sクラスの教室に私とトキヤくんの2人だけが残っていた




「昼休みの時は本当にすみません。怪我はないですよね?」

『え?あ、はい!大丈夫ですよっ!怪我なんてしてないです』

「そうですか、それならよかったです」




窓際に2人で立って、トキヤくんと一緒にオレンジの夕陽を眺めていた。




『トキヤくんは、好きな人とかいますか…?』

「え?」




突然の質問に、トキヤくんはこちらを向いた。
当たり前だよね…、こんな質問されたら




『…想いを寄せている人はいますか?』

「…いますよ」

『だ、誰ですか…?』

「目の前に」




そう言ったトキヤくんは私の頬に手を添えた。彼の顔がだんだんと近くなっていく




『そ、それは…』

「貴方ですよ、名前さん」

『そうなん、ですか…?』

「ええ、貴方は?想いを寄せている方はいるのですか?」

『私は、ト、トキヤくんです…』

「とても、嬉しいです」




唇と唇がもう少しで触れようとしていたその時、教室の扉がいきなりガラッと開いた。




「いやー、リンちゃんにお使い頼まれちゃってさ、遅くなったー…」

『……』

「……」

「ご、ごめんね…?」




この後、一十木くんは1時間くらい正座をしながらトキヤくんに説教をくらっていました




校内で枕投げ
(またみんなで枕投げしましょう!?
(やりすぎもダメですよ
(うっ、そうですか…
(…今度私と2人で枕投げしましょうか?
(え?はいっ!!
((可愛い…

(だから俺空気になってるってばー!


20130307

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