撫でられた



「あのさ、何してるの?」

『…藍ちゃんの寝顔を写真におさめようと…』




僕が普通にベットで寝ている(充電してる)と、突然お腹の辺りがズシッと重くなった。
充電を止め、目を開けるとそこにはカメラを持った名前が僕を跨いでいた。




「…なんで?」

『…可愛い、寝顔を…』

「名前…、寝ている僕には近づかないって約束したよね?覚えてないの?バカなの?」

『お、覚えてたよ!!…ただ、藍ちゃんの寝顔だけはどうしても、撮りたかったから…』




だから、質問の理由になってないんだよね。ホント名前ってバカだと思う。




「どいてくれる?重い」

『あ、はい…』




名前はゆっくりとベットの上から降りた。




「目が覚めた。名前、なんとかして」

『え?』

「君のせいで眠れなくなったんだよ。だから、なんとかして」




そーだな…
眠くなる遊びとかモノとかないのかな?




『絵本…』

「却下」

『子守唄…』

「却下」




絶対僕の事子供に見立ててるでしょ?
残念だけど、僕にはそんなの通用しないよ




『…えっと、えと…』

「…まだ?」

『ち、ちょっと待って!』

「早く」




名前をいじめるのって、ちょっとワクワクする。
だんだん本当に目が覚めてきたんだけど…




『あ、じゃあ…』

「?」




何か思いついた名前は、僕に近づき、優しく頭を撫でてきた




「…何してるの?」

『頭撫でると、安心して眠くなってくるんだよ?私も昔そうだったから』

「ふーん…」




名前の撫でる手つきは気持ちいい…。
今まで撫でられた事ないから、こんなに気持ちいいモノなんだって初めて知った


あ、何か本当に眠くなってきちゃった…




『おやすみ、藍ちゃん…』

「うん、おやすみ…」




僕は、たぶん寝てしまったのではなく、ただ充電が足らなくてオーバーしただけなんだろうけど、とても安心した気持ちになったんだと思う




『子供だなぁ…』




そんな名前の言葉が聞こえた気がした。
僕は子供じゃないのに…、ムカつくけど仕方ないか。
撫でられて安心しちゃうくらいだもんね。
好きだな…名前の撫で方







撫でられた
(……
(…ンッ、藍ちゃん…?
(おはよう名前
(おはよう…
(僕の撫で方どう?
(えへへ、気持ちーよ
(…そう


20130610

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