触れていいのは私だけ



『わーい!!トキヤと久々のデートだ!』

「まったく…、呑気な人ですね」




最近トキヤが仕事で忙しくってなかなか会えなかったから、今日はたっぷり甘えていこうかと思います!




「こら、名前は歩道側を歩きなさい。危なっかしい」

『ん?はーい』




今日のトキヤの服装はダテ眼鏡をかけていて、ストールを巻いてちょっとだけ顔を隠している。なんせ超人気アイドルのトキヤ様ですからね。
たださ、似合いすぎてるといいますか…




『トキヤー』

「なんですか?」

『手』

「は?」

『手、繋ごうよー』

「なっ!」

『…ダメ?』

「ダメではないです…」




彼の横で片手をヒラヒラさせると、彼は私の手を握って強引に引っ張ってきた。
腕が抜けるかと思った!




『うわっ!…引っ張る意味あるの?』

「な、ないですけど…」

『あら?照れちゃって…、可愛い』

「やめてください」




おぅ、顔怖い…。
睨まないでよ、ただでさえ普段の顔も少し怖いんだから




『それよりどこ行く?』

「そうですね…、水族館にでも行きますか?」

『行く!水族館行くっ!』

「ふふ、わかりました」




わーい!!
1度でいいから水族館に行ってみたかったんだよねー!










***



『…トキヤ、あれ何?』

「…貴方はエイも知らないんですか?」

『エイっていうんだ…』




大きくて可愛い!ヒラヒラしてるー!
私が大きなガラスの前で初めて見る生き物に感動していると、突然トキヤが後ろから抱きついてきた




『ト、トキヤ!?』

「可愛いですね…」

『えっ!?どこに今そんな要素が!?』

「今、無性に抱き締めたくなりました。私の事は気にせず魚達を見ていてください」




トキヤも甘えてくる…?
…ってかさ、ドキドキして生き物なんて見てられないよ




『…あ、トキヤ!あれは!?』

「あぁ、あれはジンベエザメです。サメの仲間ですが大人しく臆病な生き物なんですよ。小さい生物、プランクトンなどを食べて生きています」

『すごーい!ジンベエザメ可愛い!』

「なんでも可愛いんですか名前は…」

『サメだ!カッコいい…』

「サメは危険ですよ」

『それぐらいわかるよー』




水族館ってすっごく楽しいんだね!トキヤと一緒だから更に楽しいよ!




「さて、少し喉が渇きましたね。飲み物買いに行きますけど、何か飲みます?」

『カルピスがいい!』

「子どもですね…。わかりました。」

『子ども言うなっ!!』




アイツ一言余計だよ!
だけど、今日のトキヤはいつもより可愛い!久々に会ったからかな?甘えてきてくれる。
たまにはこんなのもいいね!




「お姉さん可愛いね。彼氏と来たの?」

『ん?…はい』




トキヤが行った後、男2人が私に話かけて来た。
私人見知りだから、あまり知らない人とは話したくないんだよな…




「彼氏で来たの?」

『彼は飲み物買いに…』

「俺達と遊ぼぜ?」

『は?』




1人の人が私の腕を引っ張っり、連れて行こうとする。
この人達、私に彼氏がいるって知ってるのに誘ってんの??なんで!?




『か、彼が待ってるので!』

「いいじゃん!」

「貴方達、彼女から手を離しなさい」

「彼氏様の登場ってか?」

「はいはい、彼氏さんは帰った帰った」

『ト、トキヤ…』



男2人とトキヤが暫く口論していると、近くを歩いていた警備員さんが異変に気づいて近寄ってきた。




「どうされました?」

「やっべ、逃げるぞ!」

「あぁ!」

「き、君達!待ちなさい!!」




男2人は警備員に見つかり逃げたが、警備員は2人を追いかけた。トキヤと私は警備員の背中が見えなくなるまで見つめた。

トキヤが私を優しく抱き締めてきた




「よかったです…」

『トキヤ?』

「……」




抱き締めている手に力が加わる。




『トキヤ…?』

「少しの間だけ…」

『…わかった』




水族館でってのは恥ずかしかったけど、まぁいいかなと…。それにしても話しかけられただけなのに少し大袈裟ではないか??










***



『楽しかったねぇ』

「そうですね。アレがなければ…」

『でもさ、トキヤが助けてくれたから、嬉しかったよ』

「…っ」

『ふふ』

「貴方って人は…」




トキヤは私の手を引くと、どんどんひと気のない所へと歩いていった




『トキヤ?』

「チュー、させて下さい」

『チ、チュー!?』




そう言いながら私を壁に押しつけ、顎を少し持ち上げられる




『ト、トキヤ…?』

「あんな人達に触られて…これでもイライラしているんですからね」

『嫉妬?』

「う、うるさいですよ」

『トキ…んっ…』




トキヤ可愛いって言いたかったのに、彼の唇によって塞がれた為、言えなかった




「…満足です」

『ま、満足とか…、変態っぽいよ…』

「貴方にだけならいいじゃないですか」




そう微笑むトキヤはすごくカッコよかった。
ダテ眼鏡が似合いすぎるんだよチクショー









【触れていいのは私だけ】
(私も嫉妬しちゃうかも
(何がですか?
(トキヤが知らない女の人に触られてたら…
(そうでしょう?
(お互い様だね!


20130503

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