猫の恩返し



「く、黒崎さん!」

「思ったより速ぇな」




電話で七海を呼び出してから約10分で来やがった。思ったより速い




「な、七海…!?」

「久しぶりだね、レディ」

「え?聖川さんに神宮寺さん!?」




俺は、真斗とレンと一緒に事務所の近くにある喫茶店でひと休みをしていた。
そのついでに七海も呼んだ、それだけ




「あ、黒崎さん!それより、歌詞を預かってきましたっ!見てください!!」




そう言うと七海は、鞄からノートを取り出した。
俺は七海からノートを受け取り、開いてみると「猫の恩返し」って題名が書いてある。
ジ○リかっ!とツッコミたい




「……」




が、まぁ、あまり題名には気にせず、歌詞を読んで見ることにした。
真斗も気になったのか隣から覗き込んできた














猫にだって想いがある















貴方が好きで好きで




冷たくされても、後で優しくしてくれる














そんな貴方を離れられなくて















私だって貴方が好きなの








今まで一緒にいたのに





なのに貴方は人間の子を選ぶのね











ねぇ、私を選んでよ――












それで…もう一度私に




















オムライスを食べさせて―













「……」




歌詞を見ていた真斗は疑問に思い、その疑問をレンにぶつけた




「なぁ、神宮寺…。猫ってオムライス食べられるのか…?」

「いや無理だろ」




だよな…?
猫にオムライスなんてやった事ねぇよ!
でも…、すっごく悲しい気持ちになるのは何でだろう




「その歌詞…、黒崎さんの妹さんが書いたんですよ」

「…は?」

「名前さんが、今日持ってきたんです!」




な、何を言ってんだ?
名前が書いたって…え?




「ランちゃんって、妹いたの?」

「知りませんでした…」




いるっていうか…
俺が恥ずかしくて勝手にそう言ったというか…




「もしかして黒崎さん、妹さんの仕事知らないんですか?あんなに歌詞を作ってもらっているのに…」

「う、うるせぇな!!…は?あんなに作ってもらってる?」

「はい。名前さんは、黒崎さんの歌詞を書いているんですよ?あとたまに作曲もですが…」




そ、そうだったのか!?
今でも信じられねぇけど…、一言くらい言ってくれりゃいいじゃねぇかよ。
なるほどな…「猫」ってーのは名前の事を指してんのか?




「名前さん、まだ事務所にいると思いますよ?」

「…は?」

「行かないのかい?」

「黒崎さん、行った方がいいのでは?」

「い、今更…、なんて言えば…!」





なんて謝れば…。




「素直に言えばいいんじゃないかい?ありがとうとかねぇ」




…そうか、レンの言う通り素直になればいいんだ。
そう思ったら勝手に足が動いていた。
あの時は…、七海がいたから恥ずかしかった。「もう来ないよ」って言われた時本当にもう来ないんじゃねぇかと思ったら怖かった…。名前の家の住所も知らねぇし…


本当に今日1日は調子狂いまくりだぜ…。名前はずっと俺の作詞をしていたなんてよ…。
























勢いよく扉を開けた。




「…ハァ、ハァ」

「あれ?蘭丸か」

「あ、ランちゃんだわ」

『!?』




驚いてる名前がソファーに座っていた。龍也さんと月宮さんと話をしていたみたいだ。
なんだろ…、名前の姿を見てホッとする自分がいる




『らん、まる…』

「名前!テメェ来いっ!!」

『えっ、ちょっと…!?』




俺は、名前の細い腕を掴んで事務所を出ていった。




「恋、かしら…」

「まぁ、だろーな…」










***



『蘭丸っ!』

「……」




ねぇ、いきなり私の前に現れて私にどうしろと?せっかく忘れられると思ってたのに…。
私を無視して歩く蘭丸。どこへ向かっているのやら…




『らん…』

「ごめんな」

『へ?』

「名前の気持ちにも、仕事にも気づけなくて」

『蘭丸…』

「俺、お前がいねぇと調子狂うんだわ」

『え?』

「もう名前を猫扱い終わりだ。今日からは…俺の彼女で、いいか…?」




蘭丸は顔を真っ赤にして、そっぽ向いた。
えっ!?私を彼女?猫からすごい上がった…、嬉しい




『うん!私、蘭丸の彼女になりたい!!』

「お、おう…そうか…」

『うん!大好きだよっ!』

「俺も、大好きだぜ」

わぁぁあん!蘭丸ぅ!!』

「うわっ!泣くなよ!!」




私は、あまりの嬉しさに蘭丸に抱きついてしまった。引き剥がされるかも…?




「ったく、可愛いんだよ、テメェは…」

『なっ!?』




私が思ってたのとは逆で、蘭丸は私を強く抱き締めてくれた。
更に頭ポンポンとか…




『―〜っ』

「可愛いぜ」




すれ違いもあったけど、ともあれ今は蘭丸の彼女になれました!!
毎日毎日蘭丸の手作りオムライスが食べれる!美味しいよっ!








猫の恩返し?
(名前さんと黒崎さんは兄妹じゃないんですか?
(はい!
(あぁ
(可愛いねレディ、ランちゃんには勿体ないさ
(おい神宮寺!黒崎さんに失礼だぞ!
(おいレン…、名前に手ぇ出したら殺すぜ…?
(おぉー怖い怖い!
((黒崎さんは…、番犬みたいだ


20130428

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