ツンデレ



『はぁ…、はぁ…』




今私がいるのは早乙女学園の廊下。ちょっとレコーディングルームに大切な物を忘れてしまったので取りに行ってる最中です。


ようやくたどり着いて、部屋へと入る




『あ、翔くんに借りたCDあった!よかったぁ…、なくなってたらどうしようかと思った…』




CDがあった事に一安心する。…しかし安心するのはまだ早かった。




「あれ?名前ちゃんこんな所で何してるんですか〜?」

『!?』




なんか、すごく聞いた事のある声がする…

私は恐る恐る振り返った。




『…げっ、那月』

「わー!やっぱり翔ちゃんの双子さんも可愛いですね!」

『…はぁ』




私、那月の事少し苦手なんだよな…

っていうか、なんでレコーディングルームに入ってくるかな?




「名前ちゃんを見つけたからです!」

『心を読むなっ!!』

「ビビッと来たので」

「お〜い名前!遅ぇぞ!なにやって……って、那月!?」

「うわぁ〜!可愛いのがここに2人もいます!」

『うわぁ!那月頭撫でないでぇ!』




苦手な理由…。
それは私に対する感情がドストレートだから

私の頭を撫でている那月の前に翔くんが入ってきて、勢いよく那月の腕を掴んだ




「お前な、毎回毎回俺様の妹に気安く触るなっつーの!」

「えぇ〜、少しぐらいいいじゃないですか。こーんなに可愛いのに…」

『可愛くないから!』

「とーっても可愛いですよ」

『っ、』




ど、どうしてこの男はこんな照れくさい言葉をスラッと言えるのだろうか…。
天然だからなの?




「お、おい…、なに顔赤らめてんだよ名前!嘘に決まってんだろ!」

『…じゃあ何?翔くんは私が可愛くないって言いたいの?』

「え!?ちがっ…!そういう意味で言った訳じゃねー!!」

「あれあれ?喧嘩はダメですよ〜?」




翔くんの一言で、私と翔くんの間に火花が散った。今度は那月が間に入って止めようとするが、そんなの関係なし!




『……』

「な、なんだよその目…」

『ふんっ、たいして私と見た目変わらないくせに翔くんがみんなから可愛いって言われてるの見るとすごいムカつく』

「な、なんでだよ!!可愛いって言われても俺は全然嬉しくねー!!」

『女の子からしたら嬉しいの!なのに翔くんだけちやほやされて…!』



奥底にしまってあった思いを翔くんに八つ当たりしていたら、突然腕を引っ張られて何かにポスッと包み込まれた。




『…え?』

「だったら僕が、たーくさん名前ちゃんの事を可愛いがってあげます。だから僕の前だけでは、素直になって…」




腕を引っ張ったのは那月で、ポスッて音がしたのは那月の胸板に頭があたったから。

心臓がドキドキいってる、鼓動がいつもより速い…
那月はこんなにも温かいんだ…

耳元から那月の低い声が聞こえる。




『な、つき…』

「どうです?名前ちゃん」

「だ、だめに決まってんだろーが!!お前みたいな奴に名前は渡さねぇ!」

「もう、翔ちゃんって意外と頑固なんですね〜。せっかくいいところだったのに…」

「なんとでも言え!行くぞ名前!」

『ま、待って翔くん!』

「ん?」




私の腕を掴み、レコーディングルームを出て行こうとする翔くんを止めて、那月がいる方へ振り向いた




『那月!あの、那月にだったら…、素直になってあげる…』

「「!?」」

『い、以上…』




レコーディングルームが静かになる




「…ツンツルテンですか?」

「いや、ツンデレだろ…」

『?』

「とりあえず名前ちゃん、話は翔ちゃんが居ない時に2人で話ましょうね」

『う、うん…』

「ダメだ!」




部屋を出た後、翔くんからお怒りを頂きました…。怖かったです。
でも那月にあんなドキドキしたの初めて…。
那月って性格のわりに体格は男の子なんだなって思ったよ…




ツンデレ
(那月は、別に嫌いじゃない
(僕は名前ちゃん大好きですよー
(わ、私も…大好き
(かわいーです!!


20130122

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