知りたくなかった



「名前…?」




僕はベットの上で横になっている彼女…名前の頬を撫でる。けど返事はない。熟睡してるのかな?しかも僕より体温が低い、なんでこんなに体が冷えているの?部屋寒いの?




「名前、そろそろ起きないと意地悪するよ?」




…返事はない。やっぱり疲れて熟睡中なのかな。最近名前に会えてなかったから元気な姿が見たかったのに…




「ねぇ起きてよ。名前は僕に会いたくないの…?」




少し胸のところが痛くなった。
きっとこれは、寂しいって感情なんだろうな…。
会いたい、早く君に…

いつまでも名前の顔を見ていると、突然部屋の扉が開いた。




「あ、レイジ」

「アイア、イ…?」




扉の奧にはレイジの姿。
でもいつもと違って、レイジは泣きそうな顔をしている。
何、その顔…




「レイジどうしたの?」

「どうしたのって、わかってるでしょ…?」

「何が?」

「だ、だから…!名前ちゃんが死んでるって…」

「…死んでる?」




死んでるって何?
ロボットではどんな状態の事をいうの?レイジ、僕よくわからないよ…




「何、その顔…ふざけてるの…?いい加減にしろ!名前ちゃんは!もう2度と起きないんだよ!!」




レイジは大粒の涙を流し、大きい声で僕に説明をしてくれた。
2度と起きないってロボットでいう壊れて2度と電源が入らない状態って事…?
僕はふざけてなんかいない、わからないだけなんだ…




「そんなの、嘘だ…」

「アイアイ、言わなくてごめん!でもね、名前ちゃんに言われたんだ…。アイアイには言わないでって」

「レイジっ!!嘘だって言ってよ!!!」




頭の中が混乱して、わけもわからずレイジの胸ぐらを掴んでいた。するとレイジは僕を強く抱き締めてきた




「アイアイごめん…、ごめんねっ…!!」

「レイジ…」




この時、僕の頬に温かい何かが流れた。これって人間でいう「涙」っていうものだよね…?僕にも涙が出るんだ




「レイジ…なんで、名前は死んだの?」




僕はちょっと冷静になってレイジに聞いてみた




「病気だよ。もともと名前ちゃんは20歳まで生きられなかったんだ…。けど早いよ……まだ後3年残ってるのに…」

「……」




そうなんだ…。名前は20歳まで生きられない体だったんだ。僕は体が壊れたら直してもらえるからある意味は不死身。そこが人間とロボットの違い…




「…ねぇレイジ、人間って壊れやすいね」

「そうだね…」

「みんなは…、僕を置いて先に死なないでね…」

「っ!」




レイジは僕の言葉にビックリしたのか、こちらを見ている。なんでそんな驚くかな…?

でもすぐニッコリと笑って頭を撫でてきた。





「…当たり前でしょ」

「うん、ありがとう」




名前も、ずっと僕の近くにいてくれてありがとう。君の事は僕が壊れても絶対に忘れないからね


それから僕は、名前にキスをしてから部屋を出ていった







知りたくなかった
好きだよ


20130422

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