レンのお世話



『マーサ』

「ん?名前か…」




廊下を歩いていると突然誰かに背中を軽く叩かれた。
振り向くと幼なじみの名前がいた




「今日は神宮寺と一緒ではないのか?」

『…何よ、マサは私がレンといた方がいいって事?』

「え?別に、そんなつもりで言ったわけでは…!」




本当にそんなつもりで言った訳ではない、むしろ一緒にいないでほしい。
しかし、俺が名前を見る時は傍に神宮寺がいる。
クラスが同じなのは仕方がない。ただアイツも名前とは幼なじみであり、…好意を抱いているようにも見える




『わかってるよ、マサ天然だもん』

「天然…」

『マサって可愛いね』

「か、可愛い…か。なぜだろう…。可愛いと言われても嫌ではないな」

『そう?』

「名前だからか?」

『…っ、』




俺達は名前の知らない所で言い争いをしていたが、俺と神宮寺、どちらが好きなのだろう…。
できれば俺を選んでほしいのだが、結局は名前の気持ちだ。

ならば、俺の気持ちだけでも伝えよう




「…その、話したい事があるのだが少しよいか?」

『うん、いいよ』




俺は名前の腕を掴み、人気のない所へと連れてきた。




『話って?』

「あぁ…」




な、なんだか思ってた以上に心臓がバクバクするぞ…




「お、俺は、名前を幼なじみとして見てはいない。…1人の女として見ている」

『!?』

「ずっと前から名前が好きだ。神宮寺なんかに名前を渡したくはない…」




体が勝手に動く。
名前を優しく抱きしめた




『マ、マサ!?』

「好きだ、名前」




慌てている名前も実に可愛らしい




『ね、ねぇ、ちょっと質問なんだけど…、なんでレンが出てくるの?』

「…アイツは名前に好意を抱いている様に見えるからか?」

『レンが?私に好意を持ってる?マサ…、それ本気で言ってるの?』

「あぁ」




俺はいつでも本気だ。
…もしかして何か間違えているのか?




『レンは、ただの幼なじみだよ?…だって、アイツ意地悪だし』

「好きな人には意地悪をすると言うのだろう?」

『そんなモンじゃないよ』

「そうなのか…?」

『レンはそう…、いうなら悪魔だね』




軽く流されたが、俺への返事はどうなのだろうか




「あの…」

『ずっと抱き締められてるの恥ずかしい…』

「あ、すまない…!」




恥ずかしいと言われたので離れようとしたが、名前が俺の背中に腕をまわし抱きついてきた




「なっ…!」

『違うよ!嫌だからとかじゃなくて、恥ずかしいだけなの!だから、離れないで…!』

「あ、あぁ…」




俺は、もう一度名前を抱き締めた。
やはり彼女の体は細く小さくて抱きやすい…って何を考えているんだっ!!




「……」

『返事は、聞きたい?』

「出来れば聞きたいな…」

『ちょっとこっち向いて』

「ん?」




こっち向いてと言われたので、ちょっとかがむと唇に柔らかい感触が…。
こ、れは、まさか…




「……」

『好きだよっ!マサ』

「…可愛いヤツめっ」

『ずっと一緒にいてね?』

「あぁ、愛しているぞ」

『私も愛してる!』


















「真斗くーん、お兄ちゃん妬いちゃうなー」

「『!?』」




いつの間にか神宮寺が俺達の近くに立っていた。
全然気配を感じなかったのだが…




『レン…!?』

「神宮寺…」

「ねぇ、ムッツリスケベ真斗くん」

「はは、お前には言われたくはないな」

「名前、聖川より俺がよくないか?」

『やだ!レンは嫌い!!』

「…あれ?嫌われちゃったな」

「あっちに行け神宮寺。邪魔だ」

「酷い言われようだ」

「失礼するぞ」

『ばいばい』




俺達は神宮寺から逃れる為、名前の腕を掴んでおもいっきり走り出した




「はぁ…、まったく手のかかる弟と妹だねぇ。名前の近くにいれば聖川は嫉妬する。俺が名前に意地悪すれば確実に聖川の所に行く。お兄ちゃんがお世話出来るのはここまでだ。後は2人で頑張りな」








レンのお世話
(でも可愛くて仕方がないね、弟と妹っていうのは


20130406

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