病気のIdentity



この気持ちってなんだろう

彼の顔を思い出すと胸がドキドキして、彼が私の近くにいるともっとドキドキする。
それにまともに顔が見れない…。




『…病気かな?』




この病気が出始めてから半年は経った気がする。それに、皆が寮に帰った放課後とか今みたいに1人で教室にいると、猛烈に会いたいと思う。
さっきまで会ってたばかりなのに…




『会いたい、すごく会いたい…』




教卓で頬杖をつく。
半年経っても原因がよくわからないんだよね…
何かに呪いでもかけられたのかな?そんなことあり得ないけどさ




「誰に?」

『!?』




私の視界に突然入ってきたのは音也だった。
ええ!?全然教室に入ってくる気配なかったけど!?




『あ、あれ…、音也?』

「教室に忘れ物しちゃって戻ってきたんだー」

『そ、そうなんだ…』




音也は、自分の席からノートを取り出して鞄へと閉まった。
すると真っ直ぐ私に近寄ってくる




「それで、名前は誰に会いたいの?」

『え?…いや、えと…』

「俺には言えない?」




うぅ…ヤバイ!
めちゃくちゃ胸がドキドキしてる…!
っていうか本人に言えるわけがないじゃないか!!
もう!なんだよこのドキドキは…!!




「ねぇ名前、誰に会いたいの?」

『あ、あの…!』




ジリジリと問いつめてくる音也。後退りするも背中が壁にあたり、音也の両腕が私を逃がさないように塞いだ。いわゆる壁ドン…?




『あの、音也…?』

「誰なの?」

『ま、待って…!』

「ねぇ、俺じゃない誰かなの?」

『え…?』




音也が私の耳元で、悲しく、震える声で小さく呟いた。
なんでそんな悲しそうなんだろう…




「言ってくれるまで、俺は名前を逃がさないよ」




なんで音也は、私をドキドキさせるような事をいちいち言うんだろう…
私、遊ばれてたりしないよね??




『私は…』

「ん?」

『私は、音也を見るだけで胸がドキドキするの…。それに、傍にいると…、もっと胸がドキドキして、恥ずかしくなるっ…』




彼の顔が近くて、胸の鼓動がドキドキ速くなってて、わけわかんなくなって下を向いた




「…ねぇ」

『ん?』

「それってさ、期待…していいって事なのかな?」

『え?』




私が顔を上げると、突然音也に抱き締められ、触れるだけのキスをされた




『…ふっ、……ん』

「…好きだよ名前。俺以外の男に会いたいなんて許さないからね」

『…わ、私が会いたかったのは、音也だもん』

「ねぇ、名前からの言葉も聞きたいな〜」

『なんて…?』

「わかってるくせに…」

『うぅ…』

「名前の言葉からも聞きたい〜」

『わ、私も好き、だよ』

「誰を?」

『お、音也』

「あはは!俺もだよ」







病気のIdentity
この病気の正体は恋だったんだね


20130402

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