結婚はいかが



「名前ちゃーん!」

『んー?』




ソファで雑誌を読んでいると、さっきまで台所の方で料理をしていたのに、突然彼氏の「寿嶺二」が後ろから抱きついてきた。

彼の職業はアイドルで、蘭丸さんと藍さんとカミュさんと一緒にQUARTET★NIGHTという名のグループを組んでいる。
私はそんな有名人の彼と違ってただの一般人。でも彼の事務所に許可をもらって一緒に暮らしている。




「僕達、今日で5年目だよー!」

『はいはい、長いね』

「うわー、毎年同じ反応…」

『あ、そういえば嶺二の事務所の人から電話があったよー』

「え、誰かな?」

『女の子。作曲をしたいから明日のお昼に時間を下さいだってさ』

「後輩ちゃんか!」

『可愛い声してたし、礼儀正しいね。うん、そういう子は好きだな』




私はテーブルにあったコーヒーを手に取り、一口飲む。
嶺二は私から離れるとニコニコ笑顔になった




「僕も後輩ちゃん好きだよ」

『うん、そうか』

「礼儀正しいし、可愛いし、作曲も出来るし、なんでも頑張っちゃうところとか〜」

『…そっか』




コーヒーをテーブルに置き、今読んでたのとは違う雑誌を手にとって読む事にした




「あれれ?」

『…なに?』

「名前ちゃんは嫉妬してくれないの?」

『は?』

「名前ちゃんは、僕が後輩ちゃんの事を好きって言ったのに嫉妬、してくれないの?」




嶺二が珍しく真面目な顔をして見つめてくる。けどすごく恥ずかしくなってきてすぐに逸らしてしまった




『…してるよ、うるさいな』

「え?」

『そんなに後輩を褒めなくてもいいじゃない。…それに、私には才能なんてないし』




私は雑誌をテーブルに置き、部屋に戻ろうと立ち上がった瞬間…
ふわりと温かい何かに体が包まれた




『え?』




どうやら後ろから嶺二に抱き締められたみたい。え?え?なんで?意味がわからないんだけど…




「可愛い、僕だけの名前ちゃん」

『な、なにして…』

「僕さ、もう好きな人を目の前にして我慢出来ないんだけど…、いいよね?」

『何を…?』

「こういう事」




顔が近づいてくるなり、キスをおとしてきた。こいつエロい時は本当にエロいんだよね…




『ば、ばか』

「それとね、もう1つあるんだけどいいかな?」

『いいけど…』




すると嶺二は向き合うようにする為にクルリと私の体を回した。




「名前ちゃん、大好きです。君を誰にも渡す気はありません」

『う、うん』

「だから…」




嶺二が私を見つめる。彼の頬はほんのりピンク色に染まっていた。
いったい何を言われるんだろう…








「僕と結婚しよう」

『…へ!?』

「ずっと大切にする。君を絶対に傷つけたりしない」

『け、結婚!?』

「僕とじゃ、嫌?」

『い、嫌なわけないじゃんか!!』

「ありがとう、愛してる」

『私も愛してる…』




嶺二は照れている私を今度は前からギュッと抱き締めてきた。
私も彼の背中へと腕を回す




「よろしくね、ママ!」

『マ、ママ!?気が早いよ嶺二!!』

「えぇ〜じゃあ、奥さん」

『…っ、』

「おーくーさーん!」




いきなり真面目な顔なんてするから何かと思ったら…
プロポーズって…!




「幸せだなぁ」




ポツリと嶺二がつぶやく。ねぇ、本当にこんな私でいいの?

まぁ、私が嶺二の傍にいるだけで、笑顔になってくれるのなら私はずっと貴方の傍にいるよ




『私も幸せ』








結婚はいかが
(赤ちゃんほし〜!
(気が早いって
(名前何にしよーかなー!
(…聞いてないし


20130326

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