那月と砂月



『いやぁぁぁぁあ!!誰かっ助けてぇえええ!!こ、殺されるぅぅう!!』

「ふんっ!」

『いやぁぁぁあ!!』




やっちゃった!
1番やってはいけない事をやってしまった!!






‐30分前‐



私は、那月と2人でゆったりと部屋で過ごしていた。




『那月〜』

「なんですか〜?」

『ぎゅーってして?』




机に向かって真剣に歌詞を書いていた那月に、急に構ってほしくなって彼に手を広げて恥ずかしい言葉を言った




「いいですよ〜」

『やった!』

「はい、ぎゅー!」

『私もぎゅー!』

「ふふふ、僕嬉しいな〜」

『私も嬉しいよ〜』




だいぶ満足して、もう邪魔しちゃ悪いかなと思って那月から離れようと立ったら、誤って私の指が那月のメガネにあたった









――カシャン



『…?』

「………」




いや〜な予感がした私は、素早く元の位置に…那月の腕の中に戻った。


あ、あれ?
いまカシャンって…
まさかですよね?
私は絶対に信じないです…




「…おい」

『は、はい…』




私、顔上げられない
どうしよう…、体が動かないんですけど…
うそだ…!誰か嘘って言って…!!




「邪魔だ、どけ」

『……』

「聞こえてんのか?どけ」




あぁー…
これ那月じゃないよ、絶対那月じゃないよ。
これ砂月だよ
マジで?嘘でしょ?
本当に体が動かないんですけど…




「邪魔だっ!!」

『う、あ!!…い゙っだっ!!』




砂月に勢いよく後ろに突き飛ばされ、運悪く壁に頭をぶつけた。
痛い。すごく痛い




「あっ、名前ちゃん!」

『いた…い…』

「ごめん!ごめんなさい…!!」

『大丈夫だから…。あれ?なつ…』




あ、あれー?顔のすぐ横に拳があるんですけどー…
壁に手がめり込んでますけど…?




「出てくるな那月!…ふん、残念だったな。砂月だ」

『嫌だぁぁぁぁあ!!砂月は嫌いぃぃい!!』




私は怖くなって逃げたのだけど……
















『ちょっ、なんで追い掛けてくるのぉぉぉお!!!』

「うるさいっ!!」




で、冒頭に至ります




『うひゃっ!!』




ちょっ!なんでぬいぐるみ!?
砂月ってぬいぐるみとか使うキャラだったっけ!?




『いた!…ぬいぐるみでも当たると地味に痛い…』

「那月を返せ!」

『か、返せと言われても!い、意味がわからない…!!』

「バカだなっ!別れろっていってんだよっ!!!」

『ヤですっ!!』

「バカ女っ!」

『ムフッ!!』




砂月が投げたぬいぐるみが見事後頭部に当たった




『軽く脳震盪…』




私はその場に座り込むと、いつの間にか砂月が私の隣で座ってた




「仕方ねぇだろ、投げたら当たったんだ」

『あれ?那月ってこのぬいぐるみ持ってたっけな…』

「持ってねぇよ」

『じゃあ誰の?』

「お前の」

『へ?私持ってないよ』

「そうじゃなくて…」




突然砂月は私を抱き締め、先ほど壁にぶつかったところを優しい手つきで撫でてきた




『…はへ?』

「それは、那月と俺からのプレゼントだ」

『え?』

「ちゃんと選んだんだ。大切にしろよ。適当に扱ったら那月と俺が悲しむからな」

『あ、はい…』

「それと、突き飛ばとき…ごめんな。あと頭…」

『砂月…』




なんだ、砂月ってただの照れ屋さんだったんだ…
この子、意外といい人じゃん




「あ、ずるいよさっちゃん!僕も名前ちゃんとお話したいです!」

『那月?』

「名前ちゃん、大切に使ってくださいね〜」

『う、うん』




なんか那月と砂月がごちゃごちゃに入れかわってるんだけど…。
砂月に抱き締められた時はびっくりしちゃった…。だってさっきまでリアル鬼ごっこやってたし…


でも砂月は那月なわけで、優しい心はあるはず。
ちょっとツンデレみたいだけど…




『ふふ』




そんな2人からぬいぐるみを貰ったからすごく嬉しいな!ずっと大切にするよ




「クマちゃんのお名前は何にするんですか〜?」

『んー、砂月の「砂」と那月の「那」で「砂那」にしようかな!』

「いい名前ですね」

『へへっ』








那月と砂月
(砂那か…、いい名前だな
(砂月!?
(大切にしろよ
(うん!
(さっちゃんばかりずるいですよ!!


20130325

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