全力で愛して



「はぁい、ぎゅ〜!」

『ちょ…!マジでタンマっ…!!』

「那月ー!!ギブギブ!マジで骨折れるぅー!!!」




な、なんてこった…!
Aクラスに用があって来ただけなのにっ!!

なのに!!
怪力バカ那月に見つかったし!それに、何故か翔と一緒に抱きつかれてるし!!
あー痛い!マジで痛いっ!




『ていうか、なんで翔がいるの…!?』

「お前が那月に、捕まってねぇかなと…思ったからっ…!!」

『ご、ごめんっ…!』

「くっそ…!!なんでコイツこんなに、力強いんだっ!!」

「2人は僕の親友ですぅ!」

『わーかったから…!』

「と、とりあえず離せ!」




何分経ったかわからないが、やっと那月が離れてくれた。

はぁー
生き返った…




「あのな那月!俺は平気だからいいけど、名前は女子だからすぐ骨が折れちまうんだぜ?だから気をつけろ!」




翔、お前はなんて優しいヤツなんだ…。
涙が出てきそうだぜ




「え!?名前ちゃん、だ、大丈夫…?」

『だ、大丈夫くない…』

「翔ちゃーん!!」

「泣くな!!」

「名前ちゃんが死んじゃいますぅ!!」

『死にはしないから!』




正直体が限界でしたね、はい…。
まぁ、いつもの事だから慣れは必要ってわけですよ









***



『はぁ、疲れた…』

「ごめんなさい…」

『大丈夫だから、そんなに落ち込まないで』

「あ、ありがとうございます…」




今いる場所は保健室。
実は、那月に抱きつかれた時どこかで指を切ってしまった。
それに気づいた那月が急いで保健室に連れてきたってわけです


ただね那月が、怪我した指を見て泣きそうな顔をするんだよね…。見ててこっちが辛くなるよ




『那月、ありがとう』

「いえ…」

『わぁ、ピヨちゃんの絆創膏だ!』

「………」




やっぱり那月の元気がない。
いつもの事だから気にすんなって言ってんのにさ…




『那月…』

「名前ちゃん…!」




突然那月に抱き締められて驚いた。
でも、さっきと違ってとても弱い力だ。




『な、那月?』

「僕…、怖いんです…」

『え?』

「名前ちゃんが僕のせいで壊れてしまうんじゃないかって…」

『那月…』

「でも、全力で愛したいんです…。でもどうやって愛せばいい…?名前ちゃんが壊れないで愛する方法は?どうすれば…!」




那月は私の肩に顔を埋めたまま、震えだした。
そうだよね…、那月は普通に愛してるんだよね。だったら…




『私が壊れなきゃいいんだよ。だから、全力で愛して?私が、壊れないように強くなるから。絶対に那月を受けとめるから』

「名前ちゃん…」




私は那月の背中に腕を回す




『那月、好きだよ』

「僕もです」




那月に微笑むと突然キスされた。




『―っ!?』

「ふふ、可愛いですね」

『いきなり、ですか…』

「君のすべてが愛しい…。ずっと離しませんから…」




耳元で甘い声で囁かれる。
くすぐったくて、いちいち体が反応してしまう…




『ばか…』

「みんなに言いましょうね!僕達は恋人同士だって」

『は、恥ずかしいから!』

「ふふ」




私も那月を全力で愛してあげるから絶対に受けとめてねっ!!








全力で愛して
(那月ー!!
(名前ちゃーん
(好きだよ!!
(僕も好きです!!
(お前ら俺を挟むなっ!どっか行ってやれ!!


20130324

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