王様ゲーム



「名前ちゃん!」

『?』




お昼休み、教室でお弁当を食べようとしていた時だった。上の方から誰かに名前を呼ばれたので顔を上げると…そこには私の片想いの音也くんが立っていた




『お、音也くん…!?』

「あ、ごめん!食べてたのに!」

『ううん!いいよ別に!…それで、どうかしたの?』

「……」

『?』




暫く沈黙が続く。音也くんの顔をじっと見ていたら、顔がだんだんと真っ赤になっていった。な、なんだろう…




「あ、頭…」

『あ、頭?』

「撫でるねっ!」

『えっ?』




突然言われ、私が固まっている間に音也くんが頭を撫でてきた。
男の子の手は私より全然デカくて、とても温かかった。




「じ、じゃあ!!」

『あっ…』




声をかけようとしたんだけど、そんな暇もなく、ものすごいスピードで教室を出ていった音也くん。本当になんだったんだろう…




「よかったですね名前ちゃん!」

『は、春歌ちゃん!?』




少し離れた所から幼なじみの春歌ちゃんが今の光景を見ていたらしく、駆け寄ってきた。
彼女は唯一、私の好きな人を知っている人物です!




「名前ちゃんは、音也くんの事が好きなんですよね?」

『う、うん』

「なぜ音也くんは名前ちゃんの頭を…?」

『わ、わからない…』




あぁ、思い出したら恥ずかしすぎる…!
好きな人にあんな事されたら期待しちゃうよ…




「わぁ〜!ハルちゃんに名前ちゃん!2人で何をお話してるんですか〜?」




春歌ちゃんと話をしていたら、教室に入ってきた那月くんが私達を見つけ話しかけてきた




「那月くん!さっきですね、音也くんが名前ちゃんの頭を撫でに来たんです」

『……』

「!」




その言葉を聞いた那月くんは、なぜか驚いたような顔をしていた




「…それは、本当ですか?」




那月くんは私に問いかける




『う、うん』

「そうですか。わかりました!」

「え?心当たりあるんですか?」

「はぁい!とーっても心当たりあります」

『な、なんで?』

「それはですね〜。さっきまで、僕と翔ちゃん、真斗くんとレンくん、音也くんとトキヤくんで王様ゲームをしていたからです」

『「王様ゲーム?」』

「はぁい王様ゲームです!楽しかったですよぉ?」

『それで…、なんで音也くんが私の頭を撫でてきたの…?』

「えーっと、一度だけ僕が王様になった事があるんです。それで『2番の人は好きな子の頭を撫でて来て下さーい』って言ったら音也くんが2番だったんですよー」

「そうだったんですか」

『え?』




え?…はぁ!?
那月くんが王様になって…、2番が音也くんで…?那月くんは音也くんに「好きな子の頭を撫でて」って…??




「そうですか〜音也くんの好きな人は名前ちゃんだったんですね」

「な、那月!!?」




教室の入り口には息切れをした音也くんが立っていた




「あっ!音也くんおかえりなさーい」

「那月!名前ちゃんに何も言ってないよなぁ!?」

「なんのですかぁ?」

「なんのって…!」

「ああ!王様ゲームの罰ゲームの話ですね!言っちゃいましたよ?音也くんがなぜ頭を撫でた理由ですが…」

「な、なんで言っちゃうんだよぉー!!」

「だって名前ちゃん知りたがってましたから…」

「……」

『あの、音也くん…?』




私は顔が真っ赤な音也くんに近づいた。ああ…私も絶対に真っ赤になってると思うな




「名前ちゃん…」

『あの…』

「その…、好きだからっ!!名前ちゃんの事…」

『じ、実は私も前から音也くんが好き!』

「ホントに!?」

『ホントです!』




私が言い終わったと同時に音也くんが私を抱き締めてきた。
彼は私を強く抱きしめると耳元でこう囁いた




「名前ちゃん…、俺と付き合って」

『うん!』

「ずーっと、離さないからね」

『私も離しません…』





王様ゲーム
(たまには、こんな使い方もありですね
(那月!なんで王様ゲームやりたいって言い出したんだ?
(翔ちゃん!…音也くんの背中を押してあげたかった、からです
(…はぁ?
(翔ちゃん、音也くんの番号教えてくれてありがとうございます
(べ、別にどーって事ねぇよ



20130206

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