嫉妬



「モヤモヤ…、する」




僕は今日、彼女と一緒に撮影現場に来ている。名前は名前といって彼女も僕と同じアイドルだ。
僕が…、ロボットだって事を知っている




「……」




実は、その撮影現場で名前が男性俳優とばっかり話をしている。…っていうか向こうから話かけられている感じ?




「アイアーイ!おっはよ〜ん」

「レイジも撮影…?」

「そだよー!アイアイがやる役と名前ちゃんがやる役の親友役〜」

「へぇ」

「へぇって!アイアイ!へぇってぇ!!」

「しっ!静かにしてよ」

「は〜い…」




僕はレイジを黙らせ、また名前の方を見た。やはりまだ男性俳優と話をしている。僕が見る限り名前はだいぶ困ってるみたい

すごい心がモヤモヤする




「アイアイ。名前ちゃんさ、ずっと男性俳優さんと話してるねー」

「まぁ、仲良くなるのはいいんじゃない?」




なんて言いながらも、やっぱりモヤモヤする…。なんでかな?




「そんな事言って!顔が怖いよ?…嫉妬、してるんじゃないの?だって彼女が他の男と話してるんだもん。それが普通じゃない?」

「…嫉妬」




嫉妬の意味は知ってる。
"好きなモノを他人に取られ羨むことや妬み"
と、僕のデータには書いてある
…このモヤモヤした心もそうなの?




「アイアイ、名前ちゃん困ってるみたいだし、取り返してくれば?」

「…うん」




僕はレイジの言葉に従い、名前と男の所へと向かった




「名前さんって好きな人はいるの?ねぇ」

『いや…、あの…』

「悪いけど、彼女は僕のだから。手は出さないでもらえるかな?」




僕は名前の首に軽く腕を回し、相手を睨み付けながらそう言った。




『藍…』

「なっ…!」

「行こう、名前」




名前の手を引き、歩き出す。なるべく人気の無い所へと連れていく。別に変な事するわけじゃないから




『藍、怒ってるの…?』

「名前にじゃないよ」

『?』

「レイジから聞いた。僕は嫉妬をしてるんだ」

『嫉妬…?』

「そうだよ。名前が男と話しているところを見ると僕の心がね、モヤモヤするんだ」

『藍…』

「こんな僕は、嫌?」

『全然嫌じゃない!私ちょうど困ってて…、助けてくれてありがとう!』

「それはよかった」

『好きだよ、藍』

「なっ…!い、いきなりでビックリするよ」

『ふふっ』

「でも、僕も名前を独り占めしたいくらい大好き…」




名前を優しく抱き締める。僕のした行動に驚いていた彼女も、暫くして僕の背中に腕を回してくれた




「好き…、んっ」

『んっ、…あい、突然キスは、反則…』

「…ずっと一緒にいたい。もう嫉妬なんて感情はいらないから、ずっと一緒にいて?…なんだか僕が壊れそう」

『うん。ずっとずーっと一緒だよ!』

「ありがとう」








嫉妬
(アイアイの狼っ!
(レイジうるさい。ホント、覗き見るのは良くないと思うけど?
(…だって
(だってじゃないよ。レイジが見ていいものじゃないんだから。少しは反省しなよね
(はぁい…
(じゃなきゃ、親友って仲を解除するから
(寿嶺二は、ちゃんと反省しますっ!!


20130318

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