おとやんに似てる



「はいはーい!おとやーんっ!こっちだよーん!」




今日は朝から遊園地の入り口で、おとやんと後輩ちゃんと待ち合わせ。
僕ちんの恋人、名前が隣にいるよ




「あ、れいちゃん!お待たせっ!!」

『春歌ちゃんだ!!』

「こ、ここんにちは…!」




後輩ちゃんを見つけた名前は、僕の方を向いて真顔でこう言った




『嶺二、この子抱き締めてもいい?』

「…ダメー、名前には僕がいるでしょー!浮気はゆるさないゾっ」

「うわー!名前先輩、見ないうちにまた綺麗になりましたね!!」

「ムムッ!おとやん、彼氏と彼女がいる前で名前をナンパするのはダメー」

『頑張ってるかー?少年!』

「そりゃもっちろん!春歌と頑張ってるよ!なっ!」

「はい!」

「無視ですか、れいちゃんショック…」




おとやんと名前は、昔施設にいた時よく遊んでた仲みたい。
で、おとやんの隣にいる子は彼の彼女さーんの春歌ちゃんだよ




「アツアツラブラブ見せつけるのはいーとして…、せっかくの休みはパーッと遊園地で遊ぼう!!」

『いえーい!』




れいちゃんがシャイニーさんに頼んで、チケット4枚貰ったのよっ!!
偉いでしょ?って言ったらみんなにスルーされた…



まぁ、つまりは
ダブルデートですっ!




「名前っ!何から乗る乗る〜!?」

『ジェットコースター!』

「さ、最初から飛ばすんですね…」




僕と名前でこんなやり取りをしていると、僕達の後ろを歩いているカップルも同じ事をしてた…




「春歌は何に乗りたい?」

「音也くんの好きなもの…とかですか?」

「マジで!?じゃあ…、ジェットコースター!!」




嶺二は、その音也と春歌のやり取りを見てふと思った




「(名前とおとやんは、思考が似てるのか…?)」

『嶺二行こっ!』




突然僕の腕に絡みつく名前。前までこんなに甘えてはくれなかった…。
最初に会った時は、れいちゃん怖かったなっ!思い出したら涙がでてきちゃいそうだよ!




「…素直になってくれたのかな」

『なんか言った?』

「れいちゃん何も言ってないよーん」




今は幸せだから関係ないよね。
名前の歩くスピードに合わせながら、ジェットコースターへと向かう




「は、春歌…、あの2人周りに気にせず堂々とイチャついてるよ!大丈夫かなぁ…?」

「ふふ、可愛らしいカップルですね」

「…そ、そう、だね」









***



「うっ…、なんで、4回もジェットコースター乗るの…?君たちは……うぇっ」

『楽しいんだもん。ねー、音也』

「うん!れいちゃんと春歌が弱いんだよ」

「音也くんは、すごいです!!」

「えへへ」




ちなみに嶺二と春歌は2回で、ギブアップだった。

ベンチからゆっくり立ち上がった嶺二は次の乗り物を決める。




「うっぷ…。じゃあ〜次はねぇ、観覧車のろうかっ!!」

「『!?』」

「わぁ!いいですねっ!寿先輩!」




こうして僕達4人は、観覧車に乗る事となった。もちろん2組に別れてね!カップルで来たんだし!




「ほら!名前もうすぐ頂点につくよー?」

『……』




なんかさっきから話しかけても「あ、うん…」とか「へぇ…」とかしか返してくれなーい!
れいちゃん寂すぃーよー!

それに、ずっとうつむいてるんだよねー




「名前?」

『…?』




名前に話をかけると、ちょっとだけ顔を上げる僕の彼女。
目には涙が確かにたまっていた。ヤバイ、その顔そそる…じゃなくて!




「もしかして、…観覧車苦手?」

『っ!』




一瞬だけ、名前の肩が少し上がったように見えた。
やっぱり苦手だったのか…




「なんで苦手って言わないの?涙がためるまで我慢されても僕は嬉しくないよ…?」

『…だって、観覧車に乗ろうって言ったの嶺二だし…断れない、もん…』




なっ!!…僕の彼女可愛すぎるでしょっ!!
上目遣い、涙目、キュンとくるセリフ!!
もう!この子の全てが可愛いなぁ!




「じゃあ、これなら怖くないでしょ?」

『?』




席を立ち、向かいにいる名前の隣に腰掛ける。それから優しく抱き締めた




『れ、れい、じ…?』

「ねぇ、怖い?」

『ううん、怖くない』

「良かった。なら、降りるまでこのままでいよーね」

『うん』




観覧車から降りる時、名前は転びそうになって慌てて腰を支えると顔を赤くして僕にお礼を言ってきた




「(食べちゃいたい…)」

「れいちゃーん!!」

「名前先輩!」




観覧車の入り口で、おとやん達を待っていると数秒して2人が帰ってきた。




「もー!!おっそい!待ちくたびれたゾっ」

「ごめん、れいちゃん!」

『春歌ちゃん大丈夫?』

「私は大丈夫です!…音也くん高い所がダメなのに我慢してまで乗ってくれたんですよ」




な、なぬっ!?




「…やっぱ似てる!」

「「『?』」」

「名前とおとやん似てるよ!うわっ!!僕ちんおとやんに嫉妬…」

『そうかな?』

「マジで!?名前先輩に似てる!?」

「い、言われてみれば思考とか、好きなモノとか…」

「ずるーい!ずるーい!!僕も名前と似たい!!」




僕がふてくされていると、名前が突然僕の手を握ってきた




『私は今の嶺二が好き、別に似なくてもいいよ』

「名前…」

「春歌、あっちに行こうか…」

「はい!」




空気を読んでくれたのか、僕と名前の前からいなくなるおとやんと後輩ちゃん




「でも、ちょっとだけおとやんにジェラシー…」

『私は嶺二だけだよ。他の人なんて好きになれない…わかった?』

「可愛い事言わないでよ、君に何をするか、わからないよ…?」

『ふふ、好き好き!』

「……」

『好き好きす…んっ、…』




名前の言葉は嶺二の唇によって遮られた。
優しく触れ合う2人…




「…んっ……、はぁ…」

『…っ、嶺二…』

「まだ言うの?ならもっとこれ以上の事、し・ちゃ・う・か・も・よ…?」

『!?』



無理に相手の好みに合わせたって面白くない。ありのままの自分がいいんじゃないかな?
君はそう言った。

僕もそう思うよっ!
…ちょっとマジでおとやんにジェラシー感じてるだけど





おとやんに似てる
(今日は楽しかったね〜
(また行きたいね!
(名前!今度は2人で行こうっ!



20130316

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