一緒に過ごそう



『土方さん、気持ちいいですか?』

「あぁ、気持ちいい」

『だいぶ凝ってますね…』

「最近書類ばかりで机と恋人中だからな」

『…あはは、なんですかそれ!』

「…ちょっとボケただけだっつーの」




ここは真選組屯所。
私は女中として住ませてもらっている。土方さんは副長で厳しい面、超が付くほどマヨネーズが大好きで、超が付くほど幽霊が苦手な可愛い面を持っている不思議な人。


自分のボケを笑われて、照れてる土方さんの肩を揉んでいる




「あぁ〜…、うっし、だいぶ肩が軽くなったな」

『じゃあ引き続き頑張ってくださいね』

「あぁ。…そうだ、少ししたらお茶持ってきてくれねぇか?」

『あ、はい。いいですよ』




それだけ返事して、私は土方さんの部屋から出ていった。
少ししたらお茶か…。
今夜も土方さんは徹夜するのかも…。体大丈夫かな?




『…うーん、何か甘いものでも作ってみるか』




こうして、私は手短に食べられるクッキーを作る事にした。クッキーを作る為にキッチンにこもって材料を集め、作り始めたのだった…









***



『出来たー!』




目の前には、お皿に山盛りになっている一口サイズのクッキー。
これなら簡単に食べられるし、手をそんなに汚す事はないね。後はお茶を入れて部屋に持って行くだけ――




『…土方さん、お茶を入れました』

「…入っていいぞ」




先程より低く、不機嫌な土方さんの声。
なかなか終わらないからだろうな…




『失礼します。…お茶をどうぞ』

「ん、そこに置いとけ」

『後クッキーもどうぞ』

「…俺は頼んでねぇけど」

『これは、私からのほんの気持ちです。たまには甘いものでもどうぞ』

「…ありがと」




うわわわ、あんなに不機嫌だったのに顔が真っ赤になってる…。
土方さんって照れ屋さんですね




『いえ』

「…名前、この書類が終わるまで、ここにいてくれないか?」

『………』

「だ、だめっだったらいいけど…」

『…私で良かったらここにいさせてもらいますね』

「あぁ」




なぜか必死な土方さんが可愛くて、一緒にいる事を選んだ。すると、彼は嬉しそうに微笑んでくれた




「…モグモグ、…うめぇな」

『え?』

「このクッキー美味い。ありがとな名前」

『いえ!』




一生懸命作ったから、喜んでもらえて嬉しいなぁ…




「早く終わらすから」

『はい、待ってます』




クッキーを少しだけ口に入れた後、机に向かい書類を書き始めた。






















‐3時間後‐



「…お、わった…」

『……スー、スー…』

「………」




書類が無事に終わったのはいいけど、名前が寝てしまったらしい。もう22時だから寝るのは当たり前か




「…思えば、今日はクリスマスイブ…」




俺は押し入れから1つの布団を出して畳の上に敷き、名前を抱き上げ、布団の上に寝かせて、自分も入り毛布をかぶせた。

名前が寝返りをして向かい合わせになる




「なんか退屈させたみたいで悪い事したな…」

『…んっ、…ひじかた、さん…?』

「あ、起こしちまったか?」

『…え!?な、なんで私…!布団!?え、土方さん!?』

「あはは、慌てすぎ。布団は俺が用意した。そんで、名前を寝かせただけ」

『な、なんか恥ずかしいです…』

「…どこが?」

『い、一緒に、寝ているあたりが…』

「っ!」




彼女の顔がみるみる赤くなっていく。つられて俺も顔に熱が集まってくるのがわかる




「き、今日はクリスマスイブだ。書類も終わったし、一緒に過ごそうぜ?」

『…はいっ』

「明日はどこ行きたい?」

『土方さんと一緒なら、どこでも…』

「…可愛い事言うなよ。理性保たないんだけど」

『だって本気ですもん!』

「わかってるよ。明日もここで過ごすか」

『じゃあ、私は食べ物持って行きますね』

「おいおい、だったら一緒に作ろうぜ。2人で作った方がさらに美味しくなると思うけどな」

『そうですね、一緒に作りましょうか!』

「…その前に、」




名前を俺の方へと引き寄せた。やっぱ結構近いな…




「夜の楽しみってやつ」

『!?』

「キスだけでいい」

『…土方さん、私もキス、したいです…』

「満足するまでしてやるよ」

『はいっ』





一緒に過ごそう
(土方さん、起きてくださーい。一緒に作ってくれるんじゃなかったんですか?
(…眠い。
(眠いじゃないです!今日楽しみにしてたんですよ!
(…後にしねぇ?まだ、朝の6時だぞ。…俺を殺す気か?
(もう、わかりました!…やっぱり私も寝ます!
(…ん
(なんですか、この腕…
(お前が寝るところは、俺の腕の中って事
(…〜っ!



20131224

- back -


[prev] | [next]


人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -