『銀時ー、愛してるよ〜』 「いい加減にしろっ!この酔っぱらいが!!」 『えへっ』 まったく、何が“えへ”だっつーの。 名前が俺の腕に抱きついたりするから、新八と神楽が俺達を冷たい目で見てくるんだけど!! 『名前ちゃん寂しいなぁ』 「あっそ」 『私の大好きな銀時ちゃーん!構ってぇ?』 「……」 黙ってりゃそれなりに可愛い顔をしているのに、性格がダメだなありゃ。 顔が良くても中身があれなら無理無理。 それに、よく見ると腕にドクロの刺青がある。まさかそういう輩? 「はいはい名前さん、銀さんに対する愛情はわかったんで帰ってくださいね」 『むぅー』 「お前の分の寝床はないアルよ」 『これは失礼したっ!どうぞごゆっくり〜』 名前はそう言うと、万事屋からそそくさと出ていった。 「…ったく、めんどくせー奴だな」 「まぁまぁ」 「毎日毎日うるさいネ」 実は新八と神楽も、ハッキリ言って迷惑だと思っている。 そう思うのは当たり前だろコノヤロー *** 労働仕事が終わり、自分を癒す為にイチゴオレを飲もうと冷蔵庫から取り出したら、新八に「飲み過ぎだ」と言われ取り上げられた。 要するに、俺は今機嫌が悪い。ものすごく悪い 『また来た…』 「……」 こいつ朝に来たくせに、夕方にも来やがって。 けど、どこかテンションが低い感じがする… 『名前ちゃん、銀時に会いたかったよー』 「うっぜぇ…」 やっぱ俺の勘違いだわ。 いつもと同じめんどくせー奴だ 「なぁ、ウザい」 『可愛い〜』 「離れろ」 『やだー』 そこで俺の中の何かがブチッと切れた。 「おいっ!!毎日毎日邪魔なんだよ!!!」 『え…?』 「銀さん?」 「ど、どうしたアル…?」 瞳孔を開きながら怒鳴っている俺に驚いたのか、3人とも目を見開いて俺を見ていた。 「テメェは朝から晩まで来てんじゃねぇよっ!!俺や新八や神楽に迷惑かけてんのわかんねぇのか!?少しくらい気づけよ!!!!後、その刺青も汚いからやめろ!っつてももう消えねぇのか、バカじゃねぇの?」 よく噛まずにスラスラ言えたと思うよ自分。 今まで溜め込んでた結果だな 『…そっか、ごめんごめん』 「その態度とかムカつく」 『汚い、か…』 「?」 『迷惑かけちゃって、ごめんなさい』 は?こいつ何してんの…?俺達に土下座して謝るなんて、今日はやけに素直じゃねぇか…? 「もう毎日は来ないで下さいよ〜?」 「いつも言ってるネ、お前の寝床は用意してないアルからな〜?」 本気で怒鳴った俺をフォローする新八と神楽。 そんなんするから名前が甘えるんだよ 『わかった、毎日は来ません…』 「…まぁ、わかったならいいわ」 『…うん』 苦笑いをしながら、名前は家に帰っていった ‐名前side‐ 本気で銀さんに怒鳴られて、万事屋さんを今出てきたところです…。 『…はぁ、この刺青が汚いだって…。まぁ確かに汚いけどさ…』 腕から背中まである刺青は、昔からあるものだ。 小さい頃、大人達によってつけられたもので、腕の方に“罪”の漢字が書いてある 『母が、罪を犯した印…』 銀さんに「汚い」って言われても仕方がない話だ。お母さんが罪人なのだから。 今まで偽りの姿を見せてきたけど、人と接するのってどうするの?普通って?その普通が私にはわからないんだ。 人間不信になるまで、ずっと酷い事されてきたから 人が思っている事もわからない。人間ってなに? 私は何の為に生まれてきたの?ただ罪人の娘として生まれてきただけじゃない! 『私は、悪くない…』 刺青がある腕を押さえながら歩いて、家へと帰った *** 「………」 名前に怒鳴ってから1ヶ月 全く俺の前に現れなくなったんだよな。さすがに言い過ぎた…。 罪悪感を持ちながら道を歩いていると、ふと前に公園があった 「…ん?」 ベンチを見てみると、名前の姿があった。 よく見ると彼女は空を見上げている 「…よっ」 『……』 前の事を謝ろうと名前に話をかけると、ペコリと会釈をしただけで、言葉は発しなかった。 俺は名前の隣に座った 「…その、あの時は言い過ぎた。ごめんな」 『…もういいです』 「いや、本当に悪いと思ってんだよ…」 『………』 すると突然名前は、着物を上半身だけ脱いだ。 胸はちゃんと手で隠してる 「な、何やって…!!」 『…銀さんが言った汚い刺青です』 「…っ!」 名前の腕にはもちろんドクロと罪の文字。 背中一面には蜘蛛のような大きな刺青があった 「こ、これ…」 『…汚いでしょ?もう10年はこの刺青と一緒なんです』 「え…?」 『母が、罪を犯した印』 「………」 『本当は、どうやって人と接するのかがわからない。相手の目を見て話すの怖い。私が、罪人の娘って知られたら…怖い。今だってそう…』 俺は、肩を震えさせながら声を殺して泣いている名前を優しく抱き締める。 「名前は何も悪くない」 『…っく…!』 「悪いのは刺青を付けた大人達だ。…俺も知らなかったとはいえ、酷い事言って悪かったな」 『ぎ、んさんっ…』 「いつも呼んでるだろ?銀時でいいよ」 彼女はどれくらい泣いただろう。 とりあえず、泣いている間は上半身裸の名前に着物を丁寧に着せた。 俺がいろいろと危ないから 『…ありがと、銀時』 「俺もありがとな」 『でも、銀時が好きなのは本当だよ…?』 「…そうかよ」 『はは、顔真っ赤』 「う、うるせぇな!」 もう刺青なんて関係ない。 俺も似たようなもんだしな…。いや、それ以上か? まぁ、俺も彼女の事を真剣に考えておこうと思う。嫌じゃないし お互い様でしょ (っつか、あのウザいキャラは? (あれは偽りの姿だから普段はこうなの (あ、そうなの…? 20130715 あの、憚木蝶左さんのアレをネタに… すいませんでしたぁぁあ! [prev] | [next] |