短冊の願い




今日は7月7日
七夕の日。


私はこの日の為に、5人分の短冊を作って、笹を買ってきていた。
…なのに銀さんと新八くんと神楽ちゃんと定春は3日前私を置いて仕事に行ったきり帰ってこない。
一体どこで何をしているんだろう…




『これじゃあ、七夕の意味がないか…』




私は手に持っている短冊を見つめる。
3日前に私が書いた短冊だ。

"みんなとずっと一緒"

3日間も連絡なしに心配かけてるアイツらなんか…、ずっと一緒にいられるわけがないよね。
きっとまた私を置いて4人で行っちゃうんだよ




『………』




ソファーに横になると、最近夜寝てなかったから睡魔が襲ってきた。
きっと今日も帰らない。なぜかそう思った





















――――ガラガラ



「ただいまぁ〜」

「…あれ?」

「名前いないアルか?」

「ワン?」




3日間の長い仕事がようやく終わり、家に帰ってきた。が、静かすぎる…




「あ、名前いたアル」

「銀さん、名前さんソファーで寝てるみたいですよ」

「あ?」




新八と神楽はソファーで寝ている名前を見つけた。
顔を見てみると、頬に涙の跡が…




「え?」

「泣いてたアルか?」

「ど、どうして?」




名前の手には一枚の短冊があった。
そっか、今日は七夕だったような気がする…




「銀さん“みんなとずっと一緒”って書いてありますよ」

「………」

「3日間も名前を放置してたアル。きっと寂しかったに違いないネ」

「…あぁ、そうだよな」
























『…ん?』




私あのまま寝ちゃったのか…

…あれ?この部屋って銀さんの部屋じゃない?なんで?ソファーで寝てたはずじゃ…

あ、まさか…!!







――――スパンッ!



「び、びっくりした…!おはようございます」

『新八くん…』

「早く来ないとご飯食べちゃうアルよ!!」

『神楽ちゃん…』

「食べなきゃ俺が食べるからなー」

『銀さん…』




みんなが当たり前のようにそこにいる…。
3日間も放置だったくせに、なんで…!!




「良かったな名前」

『え?』

「願い、見事に叶ったじゃねぇか」




銀さんがよく足を乗せている机の上には、私が買った笹があった。その笹には五枚の短冊が飾られていた。
近くまで行き、よく見てみると

“みんなとずっと一緒”

五枚全部がそう書いてあった。定春のも…




「銀ちゃんが昨日書いたアル!」

「なっ!」

「銀さんが、名前さんの為だって提案したんです」

「ワンッ!」

『銀、さん…』

「…っ」




嬉しさのあまり、大量の涙が溢れ出てきた。
きっとひどい顔になってるはずだ…




「3日間放置して悪かった。これからは俺達ずっと一緒だからな」

『う、うん!』




泣いている間、銀さんは私の頭を優しく撫でてくれた。新八くんと神楽ちゃんも背中をさすってくれた





短冊の願い
ずっと一緒。
そんなの家族なんだから当たり前だよね



20130707

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