おなじひ



『おーきーたーくーん!』

「なんでィ。朝からうるせェな…」

『遊びに来たよ』

「………」




ここは真選組屯所で、沖田くんの部屋。そこに私の愛する愛する沖田くんがいますっ!
あ、彼氏とかじゃないんですけどね!




『一緒に…』
「嫌でさァ」
『おでかけ…』
「1人で行ってくだせェ」
『………』




今日の彼も冷たい。
いつか優しくしてくれる日は来るかな?
…そしたらめっちゃ嬉しい!




「つか、そろそろ真選組に来るのは止めてくだせェ」

『え?それは、あえて来いって事でしょ?』

「………」




あぁ…
その冷たい目をされると興奮する…!!
私はいつからドMみたいになってしまったのか…。彼がドSだから??




「…なぁ名前、いつまでついてくるんでさァ」

『え?』

「見回りっつー仕事するんでどっか行ってくだせェ」




仕事ならしょうがない。
ならまた明日来ようかな〜




『バイバイ沖田くん!』

「………」




む、無視かい!!
まぁいいさ。名前そんなんじゃめげないもんね〜。
そして私は真選組を後にした




「おーい総悟ー、早く見回りに行くぞー」

「…へい」









***



「………」

「どうした総悟。なんか大人しいな」

「…そうですかィ?」

「あぁ」

「………」




なんか最近怠いんでさァ。
仕事はあるし、あいつは毎日来るわ、そのせいで徹夜するわで体が怠い…。




「…無理すんな」

「はぁ…仕事を押しつけるアンタが言うんですかィ。やめてくだせェ、らしくねぇ」

「…チッ」




めったにない土方さんの親切は気持ち悪い。
嵐でも来るんですかィ?




「お前明日は休みだかんな。忘れんなよ?」

「は?なんで?」

「当たり前だろ、名前の誕生日なんだからよ」

「…はぁ!?」




びっくりした。なぜ土方さんの口から“名前”って言葉が出るんだ…!?




「祝ってやれよ」

「えっと…、どういう関係なんですかね…?」

「…妹だ」

「はぁ!?」




土方さんに妹!?
そんな奴いたっけ!?あれ?いや…いた、か?
マジでか、全然記憶にありやせん…




「気にくわねぇけど、総悟を気に入ってるみたいだしな」

「ほう、なんかウゼェなと思ったら土方さんの妹かィ。そりゃウゼェな…」

「テメェ…」









***



‐翌日‐




「…38.7」

『うん、完璧熱だね。おとなしく寝てなさい』

「…帰ってくだせェ」

『悪いけど、病人をほったらかしにはできないから』

「!?」




翌日になると、体がさらにダルくなったような気がした。
すると名前が現れ、俺の異変に気づくと体温計を持ってきて口に入れてきやがった。
それに、いつもの騒がしい名前じゃなく、昔の土方さんみたいな冷静な感じ…、調子狂いまさァ…




『何か飲みたいものは?』

「…ない」

『そう』




突然名前に頭を撫でられる




「な、なにしやがんだ…!」

『うるさい、寝な』

「…っ」




恥ずかしくて嫌だったけど、なんでかそれが心地よくてだんだんと睡魔が襲ってくる…

いつの間にか夢の中へ…


























「…ご、………総…、悟」

「…ん?」




ここは…?
あれ?…昔の土方さん?
って事は…、まだ俺が小さかった頃の記憶?




「起きたか…」

「…土方帰れコノヤロー」

「悪いが、病人をほったらかしにはできねぇな」

「………」




やっぱ名前と兄妹なんだなと改めて思った。




「なぁ、総悟」

「…なんですかィ」

「俺に妹がいるんだけどな、どう接していいかわからねぇんだ…」

「………」




そういえば土方さんって、昔は名前の接し方についてよく相談された気がする。
あんまり覚えてねぇけど




「…俺は何を与えたらいいんだ?」

「…愛」

「は?」

「簡単ですぜ?俺の姉上のように、愛を与えればいいんでさァ…」

「愛、か…」




昔の俺ってこんな事言ってたんだ…。
まぁ、まだ“純粋”な子供でしたからねィ。

すると突然土方さんが頭を撫でてきた。ここまで似てんのかよ…
心地よすぎでさァ…




「…ありがとよ」

「…いえ」



























「……」

『…スゥー…、スゥー』

「………」




夢か…。
昔は土方さんから名前の話をよく聞いてたな。
でも、名前は会ってなかった俺になんで「好きです」とか言えたんですかねィ…




「こいつ、寝てる…」




部屋を見回すと、名前が正座をしながら器用に眠っていた。
俺は体だけを起こし、名前を引き寄せて一緒に布団へと入った。それでも起きないコイツって…




「…ありがとな、それから誕生日おめでと…」




ってか俺も誕生日なんですけどね




『んっ、…おめ、でと…』

「!?」

『スゥー…、スゥー』

「寝てんのかよ…。つかあったけぇ、湯タンポみてェ」





おなじひ
(おーい、総悟………。
(…副長?
(………
(いや、煙草咥える所逆ですけど!?
(う、うるせェ!
(沖田隊長と名前ちゃんが一緒に寝てるからって動揺しないでください!
(チッ、小さい頃名前に総悟の話なんてしなきゃよかったぜ…!



20130708

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