トシとトッシー



『なんで、私がコイツのお守りをしなきゃなんないの!』

「腹をくくれコノヤロー」




トシがオタク化し、色々局中法度を破ったせいで真選組副長をクビにされた。その後、彼は行方不明となった。
…そんで私が、トシを捜していた時だった。
万事屋の旦那から電話がきたので出ると「万事屋に来い」の一言で通話を切られた


で、仕方なく万事屋に来たのだが…




「さ、坂田氏!僕は真選組をクビになって…!」

「いいから帰れ」

『ほらトシ、帰るよ』

「い、嫌だ嫌だ嫌だっ!」




トシの襟元を掴んで、無理矢理連れて行こうとするが、トシが旦那の腰に巻きついてなかなか離れない。
いや、今はトッシーか…




『…チッ』

「ぼ、僕は帰らないでござるっ!!」

「離しやがれっ!!」

『帰ればトモエちゃんフィギュアがたーくさん、あるのになぁ…』

「!?」




「トモエ」の名前を出しただけで、なんでそんなに瞳をキラキラさせるのかな…?
まぁ、おかげさまでトシが腕を離してくれましたけど…




「あ、坂田氏ぃ〜!!」

『お世話になりましたー』

「もう2度と来るなー」









***



「僕は、どうなるでござるか…?」

『さぁ』

「む、無責任だっ!!」




本当にトシの面影なし。
これが鬼の副長なの?完璧妖刀にのまれてやがるし




『(これは、厄介だ…)』

「あの…、苗字氏」

『ん?』

「トモエちゃんの録画し忘れたから一回戻ってもいいでござるか…?」

『いいけど、どこに?』

「え、……。」

『逃げようとすんな』




ねぇ、大丈夫なの?
こんなんでトシは戻ってくるの?…そこ1番心配してるんだよ私




「………」

『戻ってきてよ』

「へ?」

『戻ってきなさいよ…!鬼の副長がっ!!』

「苗字氏…?」




トシだけど、トシじゃない奴に私の今の気持ちをぶつけた




『なんで、妖刀なんか手に取ったの!?バカじゃん!!今大変な時なのに…!!』

「…苗字氏」

『鬼の副長がそんなのでいいと思ってんのかよ!!戻ってこいバカタレ!!!』

「苗字氏!」




トッシーに両肩を掴まれ、ハッと目を覚ました。
ヤバイ、ついつい熱くなっちゃった…




『ご、ごめん…』

「いいでござる。…それより苗字氏、僕は…」

「真選組の副長、土方十四郎だな…」




トッシーが何か言いかけた時に、攘夷浪士5人が私達の前に現れた。
倒せる事には倒せるが、トッシーがいたんじゃ派手には暴れられない




『トッシー、逃げて…』

「わぁぁぁぁぁあ!!!」

『ってもう逃げてるし!』

「よそ見をするなっ!!」

『ぐっ…!!』




大丈夫、刀で腕を少し斬られただけ…。
こんなの屁でもない…、よし、トッシーいないから今のうち派手に暴れよう




『覚悟しやがれっ!!!』




私が浪士に向かって一歩踏み出した時だった。
私の隣からヒュッと素早く人が現れた。すると次々攘夷浪士が倒れていく




『トッシー?』




いや、見た目は紛れもなくトッシーだけど…、顔つきが全然違う。
あれはトッシーじゃない…




『トシだ…』

「………」

『………』

「…ふぅ」

『………』

「…ただいま」

『お、お帰りっ!!』




私は嬉しくなって、トシにおもいっきり抱きついた。
彼は少し驚いてたけど、ちょっとだけ微笑んで抱き締めてくれた




「それより、腕平気か?」

『あぁ、大丈夫大丈夫』

「…本当か?」

『本当だよ。つか、どうやって元に戻ったの?』

「チラッと後ろを見たら、ちょうど名前が斬られたところで、目覚めた」




なんか、その言い方だとちょっとだけSにも目覚めてない…?




『…いつまでこのまま?』

「なっ!テメェが抱きついてきたんだろーがっ!!」




バッと勢いよく離れたトシの顔は真っ赤だった。
その後、トシが髪をかきながら「帰るぞ」の一言で真選組に帰ることとなった。

っていうか…、トッシーの言いかけた言葉が気になる…




「絶対トッシーには渡さねぇからな」

『え?』

「トッシーも名前が好きなんだと」

『えぇ!?』




トシ…、私の心を読んだのかと思うくらい、超タイミング合ってたよ!!
ってか"も"って…?




「俺も、名前が好きだ」

『!?』





トシとトッシー
(つか、この格好で外歩くの恥ずい
(我慢して…



20130616

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