渡す事が出来なくて



『………』

「はぁ〜、俺にチョコをくれる優しい子はいないのかなー!」

『………』

「…おい、ソワソワしすぎだろ」

『し、してないよ…!』

「うん…こってわけでもなさそーだな…」

『うるさい!!』




私が今いる場所は万事屋銀ちゃん。私がすごく大好きな人、坂田銀時が営業している。
さっきから銀さんが椅子の上で体育座りをしながらクルクル回ってるんだよね




「あぁ!チョコが欲しーなー!チョコ!糖分が欲しいぜコノヤロー!!」

『…へぇ』

「超欲しい!」




ホントは私の後ろにちゃんとラッピングしたチョコがあるんだけどね、なかなか渡せないんだ…




「…(イラッ」

『………』

「チョコー」

『………』

「…チョコねぇの?」

『!?』

「チョコ!」

『な、ない!』




とっさに嘘をついてしまった。どうしても渡したいけど…もう渡しにくい!!




「あそ、じゃあ帰れば?」

『え…?』

「だってチョコねぇんだろ?だったらここに居る意味なくね?」

『いや、えっと…』

「なに?俺じゃなくて新八にチョコを渡しに来たのか?」

『ちがっ…!』

「新八は今いねぇから。別に俺に気を使わなくていいぞ。神楽にチョコ貰うからー」

『バ、バカっ!!』




私は銀さんの言葉に傷つき、走って万事屋を出てきてしまった…。
チョコ渡せない私が悪いけどさ、でもあれは言い過ぎだよ!!




「ったく…、どっちがバカなんだよ。わかりやす過ぎんだろ。チョコが丸見えだっつーの…」




銀時はダルい体を起こし、名前の後を追いかけた









***



『…ごめんなさい神様、素直になれませんでした…』




私はとある神社に来ている

ここにいるとどうも落ち着くんだよね…




『神様…、銀さんにチョコ渡したいけど、恥ずかしくて渡せないです…』




手を合わせて「今度こそは…!」と、強く願う




「はいはい、わかった。貰ってやるよ」

『!?』

「ん?ホラッくれよ」




な、なんで!?
なんで私がここの神社にいるってわかったの!?




「ただチョコの匂いに釣られてきただけ」

『…は?』

「俺にチョコ渡したいんだろ?名前のチョコなら仕方ねぇ、貰ってやるよ」

『…うん』




銀さんはニヤッとした顔をしながら、手を出してきた。でも、すごくカッコいい…




「お前、バレバレだから」

『え?』




バレバレ?
一体何の事だろう…




「名前ソワソワしすぎ。俺にチョコ渡したかったんだよな?俺、前に学んだからさァ、わかるんだわ」

『え!?』

「んで?コレ、俺にくれるって事は何チョコ?」

『えっと…』

「友チョコ?義理チョコ?それとも…」




ここは、ちゃんと本音を言わないとダメだよね…!




『ほ、本命チョコ!!』







――――ポンポン



「名前の気持ち、確かに受け取ったぜ」

『!?』








――――チュッ



『ほぇ…?』

「ホワイトデーまで待てねぇから、今返すわ」

『い、今…くちびる…!』

「おいおい、可愛いな」

『!?』





渡す事が出来なくて
(美味しい?
(うん、美味い
(よかった
(……モグモグ



20130213

- back -


[prev] | [next]


「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -