やだな、なんでだろう 「なー、名前は気になる人はいるアルか？」 『えっ！？』 クラスのど真ん中で突然何を聞いてるのこの子！ 気になる人聞いてどうするの？ 『私は…』 ――――ﾁﾗｯ 「土方さんマジで死ねや」 「お前がマジで死ね総悟」 総悟は今日も土方くんと一緒にいるんだね。 視線を神楽ちゃんに戻し、話を進める 『私は、いないよ』 「………」 私は嘘をついた。素直になれない自分が嫌いだ。普通に沖田総悟って言いたい。 でも、恥ずかしくて言えないのが事実です 「ふーん…。あっ」 神楽が私の後ろ見て、何かに気づいたらしく「あ」っと声をあげる 「おい、名前。その話は本当ですかィ？」 頭の上から聞き慣れた、私の好きな人の声が聞こえたと思い、顔を上げると… 『そ、総悟！？』 「いーから答えろ」 やっぱり総悟がいた。 でも、いつもとは少し真剣な表情をしてる 『…そ、そーだよ』 「でも今、こっち見てただろィ」 『み、見てないもん！//』 「あーそーですかィ。だったら、お前いちいちこっち見んなウゼェ」 『なっ…！//』 「おい！サド！その言い方は名前に失礼アル！！」 『…っ総悟のバカ！！』 「は？」 総悟の言い方に傷ついた。でも一番悪いのは、私が素直にならないのが理由な訳で…、総悟は悪くない。 涙が出てきそうだったので、その場から立ち去った 「なんでィあいつ…」 「お前、本当に名前が好きアルか？」 「…だったらなんでィ//」 「名前とお前は、お似合いだと思うネ！早くくっ付くヨロシ！」 「…キモッ」 「素直じゃないアルな〜、２人共…」 「は？」 「…あぁ！もう私が言うネ！名前はな、サド！お前が好きアルヨ！！」 「…は？土方さんじゃねーの？」 「はぁ？バカですかお前」 「いつも土方さんを見てたろィ…」 「…それは、いつもお前がマヨラーの近くにいるアルからな」 「…………」 「お前ら、あんなに見てたのに目合ってないアルか！？」 「一度も…」 「…逆にスゲーアル」 ＊＊＊ どーしよ…、思わず逃げてきちゃった。バカだな私。何も意地を張らなくてもいいのに…。 好きなのに大好きなのに…私はどうしても素直になれない…。 今後、恥ずかしい感情とか捨ててみようかな 「あれ？苗字じゃん」 学校を飛び出し、街中を歩いていると、学生服を着ている男２人に話をかけられた。私が言うのもあれだけど…、貴方達学校は？ 『誰ですか？』 「忘れたの？中学一緒だったじゃんか！」 『へ、へぇー…』 …誰だっけ？ 私の中学にこんな奴いた？全然覚えてない… 「苗字は、ますます可愛くなったなぁ」 「誰この子。お前の知り合い？可愛いなぁ♪」 「そう、中学の時一緒だった子ー♪」 「俺の彼女にならねー？」 なんか… こわいなぁ…、本当に思い出せない。 忘れがちなのかな？ 『いや、ごめんなさい…』 「えっ？なに？彼氏とかいんの？」 『えっ…、いない…』 うっ…、ちょっと総悟の顔が浮かんでしまった。 彼氏じゃない彼氏じゃない 「じゃあいいじゃん♪」 そう言って、１人の男は私の腕を掴み、力強く引っ張った 『やだ、離して下さい！』 「俺と付き合ってよ〜♪苗字さーん」 やだ… こわい…、こわい…！ 『そ、総悟っ!!!!』 怖すぎてパニックになっていたら、いつの間にか総悟の名前を大声で呼んでいた。こんな所にいるはずもないのに 「誰だよ総悟って…」 「オレでィ」 急に私と男２人の間に総悟が現れた。 総悟は、私の腕を掴んでいる男の腕を掴み、ギリギリと音を立てている 「いっでっ…！！」 『総悟…？』 「お、お前、何なんだよ」 「ナンパなんてくだらねぇ事してんじゃねぇ。…とっとと失せろィ」 「…な、なんだよ！いこーぜ！」 男達は、総悟の睨みに怯え去っていった。 総悟と殴り合うにはきっと無理がある。それを悟ったのだろう 「大丈夫か名前」 総悟が私を心配してくれてる…。 ちゃんと“ありがとう”って言わなくちゃ… 『あ、……あり、…』 だ、駄目だ…体が震えすぎて上手く言えない…。 このままじゃ総悟にまた何か言われる… 「………」 ――――ｷﾞｭｯ すると突然、総悟が私を強く抱きしめた。 いきなりすぎて頭が混乱する。 『そーご…？』 「さっきは悪かった。俺も素直になれなかった。だから今泣けィ。怖かった時も嬉しかった時も悲しかった時も俺の前だけでもいいから素直になれィ。わかりやしたか？」 その言葉が私にとって今一番嬉しかった。 しかも、ずっと傍にいるような言い方だったし… 『うっ…、うん……ひっく…そーご…、あ、あり、がとう…！』 そして私は、少しの間だけ、総悟の胸の中でたくさん泣いた。 街中だったの忘れてた。 ＊＊＊ 「名前……好きだ。俺と付き合え」 『え？あ、はい！付き合う！！』 「うるせェー！//声がでけーや//」 総悟が私の為に素直になったんだ。なら私も総悟の為に素直になろう！頑張る！ 素直になりたい (やっと、くっついたアルか♪ 影で見守る神楽ちゃん end. [prev] | [next] |