ケーキよりも




「名前ちぅわぁん!!」

『なななに!?あっちに行っててよ!来ないでって言ったじゃん天パ!!』

「来ただけなのにひどい言われようだなぁ、オイ」




今日、朝から名前ちゃんは台所に立てこもっている。というより何か作ってて俺だけ台所に入ってはいけないらしい…

これ、いじめだよね




「キャッホー!うまそうアルな!全部私が食べたいネ!」

「僕も食べたいな〜」




うるせー新八、神楽。
なんだよ…、みんな台所に行きやがって。銀さん居間で1人じゃねーか!
なにこのハブられた感じ?みんな俺をハブりたいの?ねぇ




「やめやめ、寝るか」




ソファーに寝転がると、俺はあっという間に意識を手放した









***



「……ん、……ちゃーん…………銀ちゃーん!!」

「うおっ!!」




重い瞼を開けると、神楽のドアップ。って神楽かよ…うわ、もう外暗い。寝過ぎたか




『銀ちゃん疲れてたの?ずーっと寝てたよ?』

「…寝過ぎた」

『あ、でも寝てた方が良かったかも』

「なぁ!朝からなんなの!?そんなに俺をいじめたいの!?」

『反応が可愛くて』

「“可愛いって言うな”と怒ればいいのか“構ってくれて嬉しい”と喜べばいいのか全然わからないんだけど…」

『まぁまぁ、それより準備が出来たよ』

「…準備?何の?」

「「『銀ちゃん/銀さんの誕生日会!!』」」

「はぁ!?誕生日会!?んな子供みてーな事すんのかよ」

『…ごめん』




え?何でシュンとしてんの?
ただ仕返しに意地悪しただけじゃねーか。
あれ?でも落ち込んでる姿可愛いな…




「ひどいですよ銀さん!!この誕生日会は名前さんがやりたくて一生懸命考えたんですよ!?それを“子供みてーな事”って!」

「そうアルよ!!銀ちゃんにとったら子供っぽいアル!でも昨日まで名前は寝ないで、銀ちゃんの為に頑張って徹夜して考えてたアルヨ!」

『い、いいの!!…誕生日会やめようか…』

「…ちょーっと待てぃ!なにこれ!!なにこの状況!!なに彼女が彼氏の為にケーキ作ったけど「俺甘いの苦手なんだ」って言われて微妙な空気になっちゃったみたいな展開ぃい!!」

「「まんまその状況じゃボケェェェエ!!!!」」

「ぐはっ!!」




新八と神楽に顔面をおもいっきり殴られた。
まぁ、確かにまんまその状況だわな




『………』

「…いーよ、やるよ」

『ありがとう!』




ちくしょー。
困った顔もいいけど笑顔の方が1番可愛いなコノヤロー




「なーんだ、銀ちゃんもツンデレアルな」

「う、うるせーな!」

『はい、銀ちゃん食べて!あーん』

「…あーん」

『おいしい?』

「…うん、美味しい」

「何デレてるアルか、気持ち悪ィーんだヨ」

「う、羨ましくなんか…!」

「いいだろーが!俺だってデレる時くらいあるわ!!」

『可愛いー!!』

「え?あぁ、…さんきゅ」









***



『最後のサプライズは、銀さんの好きなケーキだよ』

「おぉー!!すっげー待ってました!!」

「キャッホー!!私も食べれるアルか!?」

「僕も食べたいです!!」

『はいはい、順番順番』

「名前、朝からケーキ作ってたのか?」

『うん。ごめんね、キツい言い方しちゃって…』

「気にすんな」

『ありがとう』




まぁ、俺はケーキより名前ちゃんを食いてーけどな…
なーんて言えねぇがよ。





ケーキよりも
(名前、食べたい…
(ん?あーんってしてほしいの?
(いや、名前食べたい
(!?

(…あれ?
(名前固まってるアル



20121010

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