私が料理を





ソワソワ―…


ソワソワソワ―…




だ、大丈夫…!ちゃんと練習したもん!きっと上手くいく!!




「名前ー、ソワソワしてどうした?あ、ウンコか?早くすませて―……ぐえっ!!」

『テメェはとりあえず死ねっ!!』

「く、苦しっ…!!首を、つかむ、な!!」




このデリカシーのない天パ男…なんとかしろ!!こいつマジで嫌だ!




「名前さん!?何やってるんですか!?」




私が天パの首を締めているところだった。先ほどまで台所にいたのに、変なタイミングで新八が居間に来た

新八に見られた…




「ぷはっ!……ハァハァ…、ハァ」

「名前さん!こんな事すると、あなたの手が汚れますよ?もうやっちゃダメです!」

『新八…』

「あれ?何これ。俺被害者なのに何?このバイ菌みたいな扱い」

『あ、あのね新八!…今日は私が料理、する』

「え…?」




新八は一瞬驚いたような顔をしたが、すぐニッコリ笑顔になった




「はい、是非お願いします」

『うん!』




新八と入れ代わりで、今度は私が台所へと向かった。




「なんか…、俺と新八の扱い違くない?あの子俺に冷たくない?」

「それは、銀さんにデリカシーがないからです」

「何それ!」

「後、乙女心がわからないからですね」

「………」









***



『…痛っ!』




包丁なんて今まで握った事なかったから、慣れてなくて指を少し切っちゃったみたい。こんなの舐めればすぐ治る




『…次次』







――――ドタドタドタ!!



誰かが台所に向かって走ってくる音が聞こえた。
そんなにドタドタ走らなくてもいいのに…




「名前さん!!大丈夫ですか!?…わわっ!血が出てるじゃないですか!」

『え?…新八?』

「………」




居間に届くような声じゃなかったのに…。
新八、かっこいい…







――――パクッ



新八は血の付いた私の指を口に入れ、ゆっくりと血を舐め始めた




『!?』




血を舐め取ると、私の指を口から出した。




「後は水道で指を綺麗に洗ってから絆創膏を貼ってくださいね!」

『うん、ありがと…』

「いいえ、気をつけてください」




新八は絆創膏をまな板の端へ置くと、居間へと戻って行った。私は水道で血を完璧に洗いながし、新八に貰った絆創膏を傷口に貼り、そして再び料理を始めた









***



「…何これ?お妙のアレですか?」




3人の前にあるのは黒の塊(またの名をダークマター)




『お妙さんに、教えてもらったんだ…』

「お前…、一番教えてもらってはいけない奴に教わったのか!!」

「わ、私お腹いっぱいヨ…、ご飯食べないアル…」

『………』

「おいコラ。みんな名前さんの料理ですよ?食べなきゃ損します!」

『新八…』

「「(いやいや…、絶対に食えねぇよ…)」」







――――サクッサクッ



「サクサクしますね、何ですか?これ?」

『卵焼き…』

「美味いですよ!ありがとうございます」

『…へへ』

「「(笑った…)」」




今まで立っていた私は、新八の隣に座る。
すると新八は、私の方を見て笑顔でこう言った




「また作ってください。僕、名前さんの料理好きです」

『え?』

「次は僕だけに…ですよ?」

『うん!』


「おい、俺ら忘れんなよ!」

「ヒロインは私ネ!」





私が料理を
来年も再来年も私が作ってあげるから!!



20120812

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