ありがとう





「隊長、名前ちゃんが戻りません…!」




顔を真っ青にした山崎が俺の部屋に入ってきた。




「…今何時でィ?」

「10時半まわってます…」




どうやら10時半になっても名前は帰って来ないらしい。
まさか昼間の事で傷ついてどっかにいたりするんですかねィ…?




「チッ、めんどくせぇな…!」




アイツ、こんな時間までいったい何処で何をしてるんでさァ…!




「わっ!沖田隊長!」




俺は部屋の出入口付近に立っている山崎を押しのいて名前を探しに行こうと部屋を出た




「あ、総悟っ!!名前が戻ってねぇ!!」

「今から捜してきまさァ!」

「よし、俺も名前ちゃんを捜すぞ!!」

「あんたは捜すフリしてメガネの姉ん所にどうせ行くんだろ?」

「ち、違う!今日は断じて違う!ちゃんと名前ちゃん捜すから!」




途中で土方さんと近藤さんに会った俺は、一緒に門を出た…と同時に、スクーターが近づいてくる音がした







――――ブロロロ



「はーい。とーちゃくー」

『ありがとう!銀さん』

「いーえ。あり?なんか皆でお迎えらしーよ?」

『?』




なんで…、万事屋の旦那と一緒にいるんでィ…。
お前傷ついてねぇのか…?俺にあんな事言われて




「…名前、今まで何処にいたんでさァ」

『…え?銀さん家…』

「おいおい、俺の可愛い妹をいじめるなよ。っつかなんで名前1人にさせたんだ?おかげてチンピラ共に捕まってたらしーじゃん」

「「「!?」」」

『ぎ、銀さん…』

ボソッ
「俺に任せとけって」

「旦那…、それは本当ですかィ?」

「うん。名前から聞いたもんねー」

「「「………」」」

「っつーわけで、名前は万事屋に連れて行きます。今日から万事屋になります」

「「「『えっ?』」」」

「反論する奴手あげてー」




そりゃ、反論はしたいが…真選組にいたら、もしかしたら名前は死ぬかもしれない。ならいっそ万事屋に…?




「「「………」」」

「…なしか」

『そんな…』

「結局その程度なんだな」

「「「ちがっ!」」」

「まぁいいわ、ほんじゃ名前行くぜ」







――――ブロロロロロ!



『銀さん…、真選組のみんなは私の事いらないの?』

「逆だよ逆、大切にされてんの」

『じゃあなんで…?』

「万事屋に行けば真選組よりはるかにマシだと思ったんだろーよ」

『そっか…、あっ!!ケーキどうしよう…』

「戻る?沖田くんに渡す?」

『…もういい。総悟も自分の誕生日忘れてるし』

「そーかい」




私は、また万事屋に戻る事になった。









***



『ん〜♪銀さんの作ったケーキ美味いね!!』

「ほーか?あんがと」

「銀ちゃん私もう寝るヨ」

『「おやすみー」』




万事屋に戻ってケーキを開けて食べている。ただいま11時半をまわったところです。
こんな時間に甘いケーキバクバク食べて太らないかな…?




『ねぇ銀さん…、私もう万事屋にいようかな』

「おう、そうしろ!」

『銀さんといたら安心するし、ケーキは美味いし、ケーキは美味いし…』

「てめぇ、ケーキだけが目的か?コノヤロー」

『違うよ。万事屋にいると長生きしそうだし』

「…まぁ、そうだな」




私は銀さんの太ももに頭をのせた。眠い…。あ、これ逆膝枕ってヤツ




「可愛い事すんね」

『ゴツゴツしてる』

「男がフニフニしてたらキモいだろ」

『それもそうだ…』




あぁ、総悟に“おめでとう”って言えなかったな…。
私がこのまま目を閉じて寝てしまおうとした時だった







――――ガラガラガラ!



「旦那ぁ!!名前はいやすかィ!?」

「おう、いるよ。入っておいでー」

『え゙っ!?』




突然の出来事にガバッと勢いよく起き上がった。ついでに眠気も覚めた




「旦那ァ!!」

『なんで…?』

「…真選組に名前がいねぇと落ち着かねぇ」

「ほら、行けっ」

『わわっ!』




銀さんに背中を押され、総悟の目の前まで体が勝手に行ってしまった。




「行きやすぜ」

『…うん。銀さんありがとう!大好きだよお兄さんとして!!』

「俺も名前が妹として大好きだよ」







――――ガラガラガラ



『総悟』

「ん?」




たぶん今なら言える気がする…!




『た、誕生日おめでとう!』

「…ありがとう」




やっと今日言えた…。
いつ言おうかずっと迷ってたんだよね…




「それと…、ごめん」

『え?』

「今日ひでー事した」

『いいよ、気にしてない』

「お願いがありまさァ…。これが今日最初で最後の願い」

『何?』

「俺にキス…、しろィ」

『え…』

「ダメ、か?」

『…いいよ』




総悟と向き合うと、お互いに顔が真っ赤になっていた。私がキスをしようとしたが身長のせいであまり届かないと思ったら、総悟がちょっと低くしてくれた







――――チュッ



「…ありがと」

『う、ううん』





おめでとう
(ケーキは?さっき持ってただろィ?
(あぁー…ヤケクソでさっき万事屋で一人食べちゃった…
(まじでか


20120708

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