高校卒業したら…




きーんこーんかーんこーん







「はーい、今日も学校終わったから皆気をつけて帰れよなー」




ここは銀魂高校3年Z組。
まぁ、いわゆる落ちこぼれのクラスの担任、銀八が皆に向かってぶっきらぼうにそう言った







――――ガヤガヤ



『さて今日も行きますか』

「あ、苗字ーちょっと職員室に来いやー」




突然の銀八からの呼び出しだ。なんで?何にもやらかした覚えないけど?
そりゃ、私は不良みたいなものだから疑われるのは仕方ないけどさ…




『…なんで?』

「いいから」

『……チッ』

「うん…、舌打ちしないでね、悲しくなるから」







***



『で?なんすか?』

「お前女だろ?いい加減その態度はやめろ」

『…別にいーじゃんよ』

「はぁー、お前ってホントに可愛くねぇよな」




な、なんだよ。
わざわざそんな事を言う為に呼び出したのか?ため息なんかしやがって…可愛くないとか失礼すぎるだろ!




『〜っ!もういいだろ!?用があんだよこっちは!』

「あっ、おい!苗字!」




私は、いつもと同じ反抗的な態度で職員室から走って出てきてしまった。
銀八に「可愛くない」って言われたあたりから胸がチクリと痛い…。





「大丈夫ですか銀八先生!…何なんですかあの態度」

「…でも可愛い奴ですよ」

「あ、あら?さっき可愛くないって…」







***



『はぁ、もう嫌だな…』




銀八に可愛くないって言われたからか、なんでか凄いショックを受けている自分がいる。
なんでショック受けてるかわからない。




『…まさか、』




昔、街中で歩いていたら男に絡まれた。困ってたら銀八が助けてくれた事がある
もしかして…




『…地味に…恋、してるのか…?』




いや、ないな…
だってアイツは先生だし?
そんな事を考えながらとぼとぼ歩いていたら、あっという間に目的地に着いた




「あぁ!名前おねーちゃんだぁー!」

「ほんとだぁ!おねーちゃん遊ぼー!」




公園で遊ぶ子ども達が私に集まってくる。
そう、毎日ここで子ども達と遊ぶのが日課となっていた。最近は麻友ちゃんと優輝くんと遊んでいる




『元気にしてたぁー?おねーちゃんと遊ぼー♪』

「「わーい♪」」




子どもが可愛いんだ…。
やっぱり小さい子は好き。純粋な瞳とかぷくぷくしてるホッペとか…//やばい可愛い!←軽く変態。
私の夢はこう見えて“保育士”になる事です。なれるのかな…?いや、こんな問題児がなれる訳ないか…




「あのね、わたしね、おねーちゃん大好きなの!」

「ぼくも大好きだよ!」

『本当にっ!?ありがとう♪お姉ちゃんモテモテだな〜♪』


















「俺も名前ちゃん大好きだよー」

『え?』




低い声であきらかに大人の声…。しかもすごい聞いたことあるよ…?
くるっと首だけ振り返る




『やっぱ銀八…』

「ちゃんと“先生”をつけなさい“先生”を」

「おねーちゃんの友達?」

『ぜ、全然知らないよ〜』

「バカヤロー、他人扱いか。ちなみにこの人の先生をやってまーす」

「かれし!?」

『ねーねー、話し聞いてね?彼氏じゃないよ?』

「ぼくもね、まゆちゃんのかれしなんだよ!」

「まゆは、ゆうきくんのかのじょなの♪」

『あらら♪可愛いカップルだねー//』

「…なぁ、俺らもカップルになる?」

『はぁ?死ね』

「死ねはやめて!」




いきなり何を言うんだよコイツ!!
本当に教師なの!?
そりゃ、恋人になれればなりたいけどさ…、って思ってないしっ!!//







***



「ばいばーい!名前おねーちゃん!」

「またねー!」

『ばいばーい♪また遊ぼうねぇー!』




麻友ちゃんと優輝くんは「時間だ」と言って家に帰ってしまった。
気がつくといつの間にか空はオレンジ色になっていた




「名前ちゃんさー、学校でもあんな感じにしなよ」

『は?絶対やだっ!バカにされるもん!』




主に沖田総悟。




「素直になりな。子供の相手してた方が学校よりも可愛かったぜ?」




照れたのを隠す為に俯いてたら、銀八は微笑みながら私の頭を撫でて、背を向け帰って行った




『なんだよ、あのヤロー本当に教師!?か、可愛いとか言いやがって…//』




鼓動が速くなってる…?
ち、違うっ!銀八なんか、好きじゃ…ないもん…//







***




きーんこーんかーんこーん




「はよー」

『…キショ』

「苗字ー聞こえてるぞー。言うなら聞こえない程度に言えー」




学校では“苗字”プライベートでは“名前”統一しろよ。
…ってなんか私が銀八を好きみたいじゃん!//




『(寝よっ!//)』




私が慌てて机にふせると、突然ガタンッ!と机が揺れた。ちょっと驚き、顔を上げた




「名前、今日こそは俺様と勝負しろィ」




沖田総悟が―




『1人でしろ。ってか俺様って何様さ』

「1人でやったらやったで可哀想な人だろーが。俺様は俺様でィ」

『もともとじゃんか。つか俺様って何様のつもりよ』

「けっ!つまんねーやィ」




沖田は可愛いんだけどさ…傷つけたくないから。
ほら、傷つけたらファンに恨まれるから。私そういうの嫌いだし。
沖田総悟はつまんなそうに土方くんをいじめに行った




「名前ちゃーん、総悟くんも中身は子どもだよー」




沖田総悟が去ったと思ったら、今度は銀八が何故か近寄ってきた




『き、気やすく話しかけるなよ…//』




ヤバイ。あの時の銀八の微笑みが頭から離れない//
やっぱり鼓動が速くなってる?死ぬんじゃね?




「…やだ。好きな女に話をかけられないのは男として辛い」




銀八、今…さらっと私に向かって何て言った?




『…好きな、女?』

「あぁ、好きな女。それに顔が赤いのも可愛すぎる」

『わ、私?//』

「そ」




私が銀八の好きな女?
この教師はバカにしてるのか?それとも本気なの?
ってかそれ以前に私達は『先生と生徒』な訳であり、禁断の恋ってヤツで…




「前から気になってたんだ。公園で子どもと遊んでたんだろ、毎回見てたんだよ遠くで」

『ストーカーかよ』

「うっせ!…あれがお前のなりたい姿だろ?」

『な、にを…!//』

「名前のギャップに驚いたなぁ、とにかく可愛かったんだよ。あれはハートに来たぜ?“銀時くん”とか言われてぇなー♪」

『あのさ、聞くんだけど』

「なに?」

『私の近くに銀八がいると、鼓動が速くなったりするんだけど、…これって恋ですか…?//』




恥ずかしいけど下を向きつつ、先生を見つめる。




「…それは、恋ですね//」

『そ、そうですか…//』

「(上目遣いに涙目で顔真っ赤はだめだろ//それ他の野郎どもにやったら、間違いなく襲われるぞ?まぁ絶対襲わせねぇけどな)」

『今、教室にいるんだから変な事しないでよ//』

「…ムリ//」

『はぁ!?//』




机を挟んで銀八の顔が近づいてくる。キスをされると思い目をつぶっていたが、私の耳元で囁き教室から出ていった





高校卒業したら…
(な、なにが“高校卒業したら即結婚だな”だよっ!変態教師めっ!//



end.

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