おいてかないで



「名前ちゃぁん…、マジで行くの?」




私達の目の前には、とある遊園地のお化け屋敷がドドーン!と立っている




『うん、マジマジ。あっ、もしかしてビビってる?』

「は、はぁ?ななななに言ってんの!?べ、別にビビってねぇし!」




完全にビビってるだろ。
はんにゃの〇田かお前は…




『そ?じゃあ銀さん先頭「やだ」…なんで?ビビってないんでしょ?』

「う、うるせぇ!!ここは男の銀さんが、名前の身を守るんだよ!銀さんが先頭行っちゃったら後ろから名前狙われちゃうよ!いいの!?」

『狙われねぇよ。はいはい、行くよー』

「ちょっ!背中押すんじゃねぇ!俺は背中を押されるのが1番嫌いなんだよ!」

『へいへい』









***



お化け屋敷に入ってから約30分後。




「ひぃぎゃぁぁぁぁあ!」




銀さん怖がりだから、てっきり入ってすぐ私の後ろに隠れると思ってたんだけど、ずっと先頭を歩いてる。
そんな銀さんにちょっとドキドキする…




『…こんばんは』

「呑気に挨拶なんかすんな小娘が!!」

『いたっ!叩くことないでしょ!?銀さん嫌い!』

「ごめんなぎゃぁぁあ!」




今ので私の良い雰囲気がぶち壊された




『謝るか叫ぶかどっちかにしてよ!!うるさいな!』

「謝ります!!謝りますから嫌いにならないでぇぁぁぁあ!!無理無理無理無理ぃ!」

『もう知らない銀さんのチンカス男!!』

「ま、まちやがれ名前!」




私が走り出そうとした時、銀さんが後ろから抱きついてきた。腰を抜かして…




「お、お願いだから!俺のそば、そばにいいいいて下さいぃ!」

『…え?銀さんのお願いは断れないなぁ。いいですよ、傍にいます』









***



こうして、銀さんと手を繋いでお化け屋敷から出てきたわけです。
いやー、ホント銀さんうるさすぎて耳の鼓膜が破れるかと思った。…でも、怖がりでもずっと私の前を歩いてくれていた事は褒めよう




「…お前わざとだろ」

『何が?』

「名前さ、お化け屋敷でわざと俺に冷たくしただろ」

『なんでそんな事するの?』

「…抱きつかれたかったとか?」

『どうだかね。教えてあげなーい』

「可愛くねーの」

『可愛くなくても、私の傍にいてくれるんでしょ?』

「……っ」

『顔真っ赤だよ?銀さん』

「…るせぇ」

『好きだよ?』

「っ!…んなこと、知ってらァ」





おいてかないで
お化けが苦手な彼にお化け屋敷はいかがでしょうか



end.

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