ぶっ壊す





「俺ァただ壊すだけだ、この腐った世界を…」











『別にいいけど、厨ニ病こじらせ過ぎ』

「名前…、いたのか」

『うん。今日は月がでかいね、何かありそうだよ』

「あぁ。…クククク、名前は怖ぇか?」

『ちょっとね。なんだか晋助がいなくなってしまいそうだから…』

「おいおい可愛い事言うな。まぁ俺もちょっと怖ぇがな」

『え?晋助も怖いの!?』

「…俺が怖がったらいけねぇか?」

『そんな事ないけど…、晋助も怖がる事があるんだなーって思って…』

「まぁな。俺はそんなに冷たい奴じゃないしよ」

『そりゃそうでしょ!あんたの心が冷たい塊で出来てたら私と会話すらしてないからね?』

「フッ、それもそうだな」




フーっと口から煙を吐く。

今日は本当に月がでけぇ。何か面白ぇ事があればいいがな…。
けど、いつでもこんな風に名前と肩を並べて空を眺めているのもいいな。

俺が本気で「この世界をぶっ壊す」って言ったらどう思うんだろうか。

やめてと言うのか…

壊せと言うのか…




『し、晋助!!』




いろいろ考えていたら、突然名前が俺の名前を叫んだ。すると後ろからガチャと機械音が聞こえた




「お前、この船の船員アルか?ちょいと案内してもらおうか?頭ぶちぬかれたくなかったらなァ…」




はは、とんだじゃじゃ馬姫が来たもんだ…




『晋助…?』

「名前は危ねぇから下がってろよ」

『う、うん』




これから戦が始まるんだ。
楽しみだなぁ…、ククク




「?」

「今日はまた随分とデケー月が出てるな。かぐや姫でも降りてきそうな夜だと思ったが、とんだじゃじゃ馬姫が降りてきたもんだ」




クルリとゆっくり後ろを振り向くと、チャイナ娘が銃口をこちらに向けて立っていた




「(名前の方が可愛い)」

「!?」

「名前!こっちだ!!」

『うわっ!!』




来島がチャイナ娘に銃口を向けている。このままじゃ名前に当たる可能性がある為、腕を引っ張って引き寄せた







――――ババババ!!





――――ドンッ!ドンッ!



『あの子、強いね』

「あぁ」

『うわぁ…、すごい…』




名前の瞳は、チャイナ娘と来島の戦いを捕えている




「なぁ名前。俺がもしこの世界をぶっ壊せねぇって言ったらどうする?」




俺は今だに名前を抱きしめている。
さっき思っていた事と逆の質問を聞いてみた。突然質問された名前は、目を丸にして俺を見た。




『…晋助らしくない』

「…はぁ、あのな」

『理由!』

「ぁ?」

『理由にもよる、かな…』

「…理由ねぇ、簡単な話だ。この世界には名前がいる。だからぶっ壊せねぇ…この理由でどうだ?」




名前がまた驚いた顔で俺を見る




『晋助がそんな事言ってくれるなんて嬉しい。…でも晋助は晋助らしく生きてほしいな。私は絶対に離れないから』




その言葉を聞いて、思わず強く抱き締めてしまった




「お前が言うなら自分らしく生きねぇとな」

『ずっと一緒だよ』

「そうだな」





ぶっ壊す
(お前いいアルか?アイツらイチャついてるアルヨ?
(…っ!…いいんスよ、名前さんと晋助様が上手くいけば…!!
(可哀想アルな
(ど、同情するなっス!!



end.

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