一目惚れ



『神威ちゃーん』




俺の部屋に可愛らしい声が響いた。




「なーに?名前。それと“神威ちゃん”はやめよう」

『い・や!ちょっとお気に入りなの。あのさ、いつになったら侍の星に行けるの?』




この子は俺が昔、侍の星に行った時拾った名前。
拾ったっていうか…、なんて言えばいいのかな?
まだ小さかった名前が町で突っ立ってたから「どうしたの?」って聞いたら『捨てられたの』と返ってきた。だから連れてきた。まぁ帰った時、阿伏兎にめちゃめちゃ言われたけど気にしてない




「名前はそんなに侍の星に行きたいの?」

『行きたい…。神威ちゃんがオススメする銀髪の侍さんを見たいなって』

「…浮気だ」

『え?』

「それ…、言っとくけど浮気だからね?」

『違う。浮気じゃないよ』

「俺には浮気にしか見えないよ?」




ニッコリ笑ってるけど内心怒ってる…いや、嫉妬でいっぱいだ




『神威ちゃん?』

「俺、名前に嫌われたくなかったから今までしてこなかったけど…、もう限界」




名前をゆっくりベッドに押し倒す。まだ名前の顔にはハテナが浮かんでいる。まだ気づかないんだね




『何するの?』

「本当に鈍いね」

『に、鈍くないもん!!』




俺は名前に顔を近づける。よく見ると名前の頬がほんのり赤かった




「あり?照れてる?それとも恥ずかしいの?」

『うるさい!!もう!恥ずかしいの!』




可愛いなぁ。そんな反応されたらもっといじめたくなるよ?いいの?




『ねぇ、どいてよ』

「いや」

『神威ちゃん』

「い・や」

『………』




君はわかってないんだ…、俺がなぜ連れてきたのか。捨てられてたから連れてきてわけじゃない。
俺が優しそうに見える?そんなの簡単だよ




“一目惚れ”


そう、俺が名前に一目惚れをしたから連れてきたんだよ




『神威ちゃん?』

「なに?」

『…私が浮気みたいな事したからって嫌いにならないでね?』

「わかってるよー。名前は俺から離れたらダメだよ?離れたら…殺しちゃうからね」

『うん、わかった』

「それでこそ、俺が認めた女だよ」





一目惚れ
名前だって俺に一目惚れしたに違いない(笑
まぁ俺が勝手に決めつけてるだけだけど…



end.

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