昨日、万事屋に『ヤニ臭い』と言われた。今まで全然気にしてなかったけど、直接言われると流石の俺も傷つくわけで…。ここは少し控えないといけねぇな 「って事で、煙草やめる」 朝のミーティングで全員にそう宣言した。 「今更ですかィ。前からやりやがれよっつーか土方死ねコノヤロー」 「総悟あとで切腹な」 「マジでか」 『やだぁ!!トシの匂いが消える!!』 「…名前」 俺の目の前で涙を流しているコイツは1番隊副隊長の苗字名前。近藤さんと俺と総悟の部下で…まぁ、俺の彼女だ 『やだやだやだ!トシの唯一の特徴がぁ!!』 「俺を山崎と一緒にすんな。後、今は“副長”って言え」 「副長、それは流石に俺が傷つきます」 『ト、…副長は、万事屋に言われただけで煙草やめるんですか?彼女が“嫌だ”って言っても万事屋を取るんですか?』 「あのな…、万事屋だからとか彼女とかの問題じゃねぇ。最近息切れが激しくてやめようと思ってた時、万事屋に言われたんだ」 『ふ〜ん…』 「…おい、目に涙が溜まってんぞ」 『いいですよ別に。やめればいいですよ。私は関係ないんですよね』 「名前ちゃん!!どこへ行くの!?」 『外』 「いやもっと具体的に…」 「名前!いい加減にしやがれ!みっともねぇ!!」 『うぅっ、……バカ…』 名前の大きな目から一粒の涙が流れた。 「副長、言い過ぎじゃ…」 「いいんだよ。こんな奴ほっとけ」 『――っ!!』 「名前ちゃ…!」 俺の一言で名前は泣きながら屯所の外へと走っていってしまったらしい 「副長!さすがに言い過ぎですよ!」 「たかが煙草やめるだけだってーのに…」 「…それもそうか」 *** わかってない! わかってない! わかってない! わかってない! 私がどれだけトシの匂いが好きか…!煙草の匂いも含めて大好きなのに!すごく落ち着くんだもん! ――――ドンッ 『ブフッ!』 「あれ?おたく多串君の彼女さんじゃね?」 『…銀時さん』 「なになに?喧嘩でもしたの?銀さんが愚痴聞いてあげるよー?」 『なんで喧嘩って…?』 すると、銀時さんは着物の袖で私の目に溜まっていた涙をぬぐってくれた 「そりゃお前、女がこんなに目を真っ赤にするのは大体そういう事だろ」 『ぎ、銀時さぁん!!』 どこかの瞳孔男と違ってなんて優しくて頼りになるんだ! おもわず銀時さんに抱きついてしまった。 「可愛いなぁ、おい。いっそ銀さんの彼女になるか?」 あの、そこはスルーでお願いします… *** 私達は近くにあったファミレスに入り、ウェイトレスさんに席を案内してもらった。 「ふ〜ん、俺が言った一言で喧嘩になった訳ですか」 『そーですよ。銀時さんが変な事言うからです』 「すいません。まぁ、あれだろ?ポジティブに考えればいいんじゃねぇか?」 『ポジティブ?』 「煙草を吸ってると死ぬ確立が高くなるのよ。肺が汚れてな。土方くんはその為にやめたんだ」 『煙草って…、そんなに悪いの?』 「結構な。…名前ちゃんとずっと一緒にいたいから止めたんだと思えば少しは怒りがおさまるだろ?」 そうなんだ…、煙草ってそんなに悪いんだ。私はそれを副長に勧めてたって事だよね? 超遠回しに「死ね」って言ってるようなものだよ!! 『うん、不思議だよ!銀時さんありがとう!』 「フッ…、わかったなら後ろにいる男の所に行きな」 『…えっ?』 勢いよく振り返ると、レストランの入口で肩を上下に動かし、息切れしている副長が壁に手をついて立っていた 「万事屋っ…、なんで、名前と…、いるんだ?」 「いや〜さ?名前ちゃんの彼氏が酷い奴みたいだから?愚痴を聞いてただけだぜ?」 『副長!ごめんなさい!私…!!』 「ふざけんな!変な奴について行くなって毎回あんなに言ってるだろーが!!」 『はい…!すみませっ…』 「…俺“変な奴”扱い?」 「いや…、俺もヒデー事言って悪かった…。つか今は“トシ”って言え」 「なになに?何言ったの多串く 『トシ大好き!!』 …あれ?」 「あぁ。…俺も名前が大好きだ」 「あの〜おたくら、ここをどこだと思っ 『私、ちゃんとトシにふさわしい彼女になるから!』 なに!?なんなのさっきから!無視?無視ですかコノヤロォォオ!!」 「あぁ。それと俺はお前のお望み通り煙草を吸う」 『それはダメ!!』 「「…えっ?」」 『銀時さんから聞いたの。煙草はすごく体に悪いみたいだから絶対にダメ。トシは死なせないから』 「…万事屋」 「…メンゴ☆」 「“メンゴ☆”じゃねぇよ」 まぁ、煙草の匂いがあっても無くてもトシの事は大好きなんだけどね 煙草の匂い 万事屋さんに嫉妬なんて、恥ずかしい事したな… end. [prev] | [next] |