両想いとは?



誰が決めた?


気持ちが通じ合えば幸せになるなんて誰が決めた。勝手に決めてんじゃねぇ
結ばれない方がいい時もあんだろーが。
俺みたいな奴はいつ死んでもおかしくない場所にいる。もしも俺が死んだら悲しむのは誰だ?


結ばれた相手じゃねぇか。そんな1人で置いていかせるような真似はしたくねぇんだ。
…っと俺は考えている。だけど…




『トシ!!遊びにきた!』

「………」




そんな考えとは裏腹に“それでもいいから結ばれたい”と考えてる俺がいる。
まるで頭ん中に天使と悪魔がいるみてぇだ




『トシィー!』

「うるせぇ」




屯所に用もなく、毎日毎日同じ時間に遊びに来ては、俺の所に来る苗字名前。
名前は総悟に似てる。
背は総悟と同じで、歳も総悟と同じ。…顔は似てないけど、雰囲気が総悟に似てやがる




『トシー!!』

「何だようるせぇな!!」




そんで俺の想い人
何でこんな奴を好きになっちまったんだろう。
よりによって総悟と同い年のこんなクソガキ…!!




『死ねよ』

「てめぇがな」




今は夜の11時過ぎで、よい子はとっくに寝てる時間だ。だが俺はまだ寝れない。今日中に書かなきゃいけない書類があるからな




『…ふわぁ』

「なっ、おい!ここで寝るな!送ってやるから家に帰ってから寝ろ!」

『やだー。トシと寝たい』

「……」←照れた




待て待て待て待て…、
こんな夜中に可愛い事言うなっ!!帰したくなくなるだろーが!!!
やめろぉ…!俺の心をかき乱すなぁぁあ!




「ふ、ふざけんな!ここは男だらけの屯所だぞ!?」

『トシが守ってくれるもん。それに、家に誰もいないし』

「……」←凄く照れた




どうしよう、でもちょっと嬉しいな。頼られてるってーのは…




『トシ…』

「!?」




名前は俺の腰に腕をまわして、そのまま寝てしまった。
(こいつ寝るの早くね!?)




「まいった、どうすんだよ…あ、山崎を呼ぼう。山崎は絶対コイツに手が出せないはずだからな」







――――Prrrr



《はい、山崎です》

「あぁ、夜遅くに悪ィ」

《…ふ、副長ぉぉ!?》

「うるせぇな!!あのよ、ちょっと今平気か?」

《はい、平気ですけど…》

「俺の部屋に来い」




俺はそれだけ言って電話を切った。山崎に拒否権なんてねぇからな




「名前、起きろ」

『…んっ』

「…ダメか」







――――スパンッ!



「副ちょ……う、」

「なんだその目は」

「いや…、夜中に呼び出しといてイチャついてるところを見せつけられているんで…」

「イチャついてねぇよ!」

「帰りますよ?」

「待て待てっ!違うんだ!コイツなんとかしてくれ!」

「イヤです」

「…え?」

「副長にべったりして幸せそうな顔してるのに、引き離せません」

「………」

「それに副長も好きなんだからいいじゃないですか」

「そ、それは…!」

「はいはい、わかってます。名前さんに想いは伝えないんですよね」

「あぁ。俺が死んだら名前が悲しむから」

「…あんたには“死ぬ事”しか頭にないんですか?」

「あ?」

「あのね、名前ちゃんを想うなら“生きてやる”って強い気持ち、副長にないんですか!?」

「でも…」

「それに、副長は簡単には死にませんよ。あんたは強い、それに名前ちゃんがいるじゃないですか。死んだら…とか考えるのはダメです」

「や、山崎…」

「それでは」

「…悪かった、な」

「…いえ!ただこういう時は“ありがとう”ですよ」

「あぁ、ありがとな」

「いえいえ」







――――パタン



「はぁ…(なんとか誤魔化した。副長がああなると色々とめんどくさいんだよなぁ。『名前を無事に帰せよ』ってさ…)」









***



『トシ…?』

「名前、起きたのか?」

『うん、トシは寝ないの?』

「俺は仕事がたまっててな、まだ朝じゃねぇから寝てろ」

『大丈夫…、トシと一緒がいいから』

「………」







――――ギュッ



『?』

「名前」

『トシ…?』




俺は名前を強く抱き締めた。今だったらこの気持ちを伝えられる気がする…




「好きだ」

『え?』

「ずっと好きだった…」

『………』

「名前は…?」

『わ、私も…好き…!』

「ありがとうよ」


















「まったく…、副長を起こしに来たらこれだもんなぁ。2人で抱き合って嬉しそうに寝てるし。…って事は付き合い始めたのかな?沖田隊長にも知らせよー」





両想いとは?
本人達は幸せだが、まわりから見れば鬱陶しい



end.

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