相合傘




『マジかよー…』




私は学校の校門にいる。
自分って雨女だったっけ?これはないよ…。
校門出たら雨降ってくるとかないよね。ちょうど雨宿り出来るからいいけどさ…。
もういいや。やむまで待つ!なにもかも待つのが大事だ!







――――ザァァァァア



『はぁー、寒い…』




やっぱ傘持ってくればよかったなー。見くびってたなー。持ってきてたら今ごろ家にいてゴロゴロできたのに…




「…あれ?雌豚じゃねーですかィ」

『おい!誰が雌豚だコノヤロー!って総悟!?なんでいんのさ…』




彼は同じクラスの沖田総悟。性格が良いのか悪いのかわからないヤツ


それと、私の好きな人…




「…補習」

『バカじゃん』

「てめぇにバカとか言われたくねーやィ」

『仕方ないじゃん私よりバカだから』

「…じゃ、俺はこれで」




あ、傘持ってるんだ…。
どうせなら駅まで入れてくれないかなぁ。
…いやいやいや!!
アイツ顔だけはいいから彼女いるだろうし!?そんな事したらアイツの彼女が可哀想!
悲しくなってきた。待とう…


顔を上げると、総悟の姿はもうそこにはなかった。




『…座ろう、寒すぎ。ブレザーに包まれよう…』




また1人…
やっぱり入れてほしかった




『くちゅんっ!!』




くしゃみが…
うっ!もしや風邪引いた?
嘘だぁー!!学校はなるべく休みたくないから風邪だけはやめてー!!!







――――バシャバシャ




『…ん?』







――――バシャバシャバシャ



だ、誰かくる?
え?やだ…、こんなとこみられたら恥ずかしい!!




「はぁ、はぁ…っ!バカ野郎か!テメェは!!」

『そ、総悟!?えっ!?』

「ったく…!『入れて』の一言ぐらい言えば入れてやるってのに!!なんで何も言わねぇんでさァ!」

『え!?』

「変な奴が話し掛けて来たらどーするつもりだったんでィ!!」




私の為に、わざわざ戻ってきてくれたの…?
どうしてそこまで…




『ご、ごめん…。でもさ、ほら!総悟の彼女が可哀想だったから…!』

「はぁ?彼女!?いねーよそんな奴ァ!バカ女!!」

『え…?バカおんくちゅん!!』




うわ、またくしゃみ出てきちゃった。やっぱ風邪かな…?




「ったく、鼻水なんか垂らしやがってヒデー顔だな。ブサイクになってやがらァ」

『し、仕方ないでしょ!!寒いんだからっ――』







――――ギュッ



『そ、総悟…?』

「心配しすぎて戻ってきちまいました…」

『ごめん…』




抱き締めてくれてるおかげで体がポカポカする…。
なんで私なんかを心配してくれるの?これって期待しても大丈夫なの…?




『…ねぇ総悟』

「…なんでィ」

『私バカでも、これくらいわかるよ…。期待しちゃうよ…?』

「………」




突然黙る総悟。
話さなくなり、重い沈黙が続くなか、先に破ったのは総悟の方だった




「好きでさァ」

『え?』

「名前の事が好きだから、傘ぐらい入れてやるって事でィ」

『!』

「…お前も言え」

『わ、私も…総悟が好き!』

「知ってまさァ」

『総悟、温かいね』

「名前が冷たいだけですぜィ…」




私の心を知ってるなんて、エスパーですか?
…もちろん傘に入れてくれるんだよね?一緒に帰ろうよ




「名前、もう少しこっちに来なせェ。ぬれるぜ?」

『う、うん…』





相合傘
だぁぁぁぁあ!!!相合傘って慣れない…!!



end.

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