俺と土方どっち?




「おい」

『………』

「おい、聞こえてんだろィ?返事くらいしろ」

『…嫌です』




ただいま喧嘩中。
俺がいつもの通り土方をバズーカで狙い、発射しようとした時だった…今日にかぎって名前が怒りやがった。

名前は真選組の女中で、土方さんの幼なじみだ




「あーぁ、そんなに土方が大切ですかィ」

『え?聞こえませんでした』




俺は、名前に聞こえない程度で呟いたんだから聞こえなくて当たり前でさァ。
そんなに俺より土方が大切なら、俺を好きじゃないなら…




「土方と付き合いなせェ」

『え?』




今度は名前に聞こえるように言った。
好きな女をヤローに取られたくねぇが、仕方がねぇじゃねーかィ
俺は名前に嫌われてるみてーだからな。名前は土方さんが好きなんだ。名前の幸せは俺の幸せ



なんて…、俺はそんなに強くねぇ




「!?」




ふと、名前の方を見ると…大きな目から涙が流れていた
…なんでお前が泣く?泣きたいのは俺の方でィ




『…総悟さんは、それで…いいの?』

「…あぁ」




だってお前は土方さんが…




『そ、そうだよね…。総悟さんは私なんか好きじゃないよね…ごめんなさい…』




泣いてる顔を手の甲で目だけ隠し、俺の部屋から出て行こうとする名前。
は?…頭が混乱してきた。名前は土方さんが好きじゃねーのかィ?
その言い方だと…、まるで俺を好きって言ってるようなもんでさァ




「ちょっと待ちなせェ!」




そう言って後ろから名前を優しく抱きしめる




『え…?』

「てめぇは…、土方さんが好きなのか?それとも…俺、ですかィ?」




そう名前の耳元で囁くと、彼女はクルリと向きを変え、お互いに向き合う形になった




『私が好きな人は、総悟さんです…』




これは驚いた…。
土方の野郎を庇うから、てっきり土方さんが好きなのだとばかり思ってた。
違うんだ…




「名前は俺が好きなのに土方のクソヤローを庇うんですかィ?」

『それは!総悟に殺人鬼になってほしくなかったから…。それに、土方さんばっかりで全然構ってくれないし…』

「…え?」





俺と土方どっち?
『構ってくれないし』とか超可愛いじゃねーかィ。
ちくしょー…



end.

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