トキヤだって悩む
「………」




学園を出たものの、行く場所がありませんでした。
なので仕方なく学園近くにあるホテルに通っています。


突然出てきてしまいましたから、みなさん私の事を心配してくれているでしょうか。
…音也は焦っていそうですね。寿さんは…、どうでしょう…




「…はぁ」




寿さんの事を思うと、ため息が出てしまう。
私は酷い事をしてしまいました。恋人のフリだからといってキスをしなくても良かったものの…。
本人は「気にするな」と言っていましたが、初めてみたいでしたから…




「…はぁ」




ダメですね。
ずっとこんな調子だと私の気が狂いそうです。
なんとかしないと…




「…と言っても、何も出来ませんが」




ここはいっそ寝てしまいましょう。もう夜遅いので


私はベッドに入り、瞼を閉じる。
寿さんはもう、私に笑顔を見せる事はないのでしょうか…

























――――チュンチュン



「…んっ、」




…いつの間にか寝ていたみたいです。朝が来てしまいましたか…
さて、次はどこのホテルに行きましょう…







――――ピンポーン



「?」




こんな朝から誰でしょう。私は何の迷いもなく、扉を開けた。




「…はい」

『トぉ〜キぃ〜ヤぁぁぁあっ!!!』

「俺達はすご〜く怒ってるからなっ!!!!」




扉を開けると、目の前に立っていたのは寿さんと音也で、しかめっ面で怒鳴ってきた。
なんで…、この2人が…




「…へ?」

『へ?…じゃない!!トキヤのせいで昨日怒られたんだからっ!!!』

「な、なんで私のせいなんですか!?」

「トキヤを夜遅くまで捜してたせいだよっ!!」

「え…?」




昨日、ずっと捜してくれていたのですか…?
夜遅くまで…?




「…寿さんもですか?」

『そう!』

「…女性が夜遅くまで出歩いていいと思っているんですか?」

『え?』

「音也がいたから良かったものの…!!!」

「へ?」

「2人共、部屋に入りなさい。たっぷり説教してさしあげます」

「『ま、またぁ!?』」







***



『…おかしいな、私達が怒ってたはずなのに…』

「名前…、足が痺れてきた…!!」

「“いい”と言うまで正座を崩してはいけませんよ」

「『お、鬼っ…!!』」




変ですね。
2人が来るまであんなにため息ばっかりでしたのに、2人がいると笑みばかりが出てきますよ…。
いるといないのとでは全然違いますね


どうやら私は、仲間が傍にいないともう楽しくないようです





トキヤだって悩む
(トキヤ、笑ってる?
(笑ってません
(素直じゃない奴ー
(音也…
(でも、笑ってるっつーか微笑んでる感じ
(……
(なんで微笑んでるの?何か良い事あった?
(…いえ
(2人だけで何話してんの?



20131125

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