バカだね
「………」

『………』

「…これでわかりましたか?愛島さん、名前さんは私のです。わかったらもう近づかないで下さい。」

「わ、わかりました…」




セシルは、悲しんだ表情をしたまま去っていった。
私はというと、トキヤからの突然のキスに呆然と立ち尽くしていた…。
いったいトキヤと何をしたんだろう私は…。
キスだよ…うん、キスだ…




「…寿さん、すみません」

『あ、いや…』

「本当にすみません…!」

『いや…〃』




ヤバいな…、まともにトキヤの顔が見れない。
私はその場にいるのが恥ずかしくなって、走って教室に逃げた。
後ろの方でトキヤが呼んでたけど、今の私に戻れる勇気なんてない。








――――ガラッ!



『………』

「お、名前っ!どうだった!?」

『なんとか、うまく、いったよ翔ちゃん…』

「………」




キスって…
私初めてだからファーストキスっていうヤツ…?
トキヤの事は好きだけど、異性としての好きじゃなくて…友達としての好きだから…




「名前、何があったのか教えてごらん?」

『…キスした』

「は?」

『トキヤと…キ、ス…』




涙が溢れてきた。
別にトキヤが嫌いってわけじゃない。
でも、初めてのキスは、一番大切で、大好きな人としたかった…




「…っごめんね、俺達が変な事言ったせいだよね。悪かった。だからもう泣かないで」

『レ、ンっ…!』

「ごめんなっ!俺…、無責任だった…。名前の事考えてあげられなかったなんて、親友失格だ…!!」

『翔ぢゃ…!』




レンは、泣いている私を抱き締めながら頭をポンポンしたり、背中を擦ってくれた。
翔ちゃんは、私の右の手をギュッと繋いでいてくれた























‐翌日‐



「…おはようございます」

『お、はよ…』

「………」




ダメだ…。
やっぱりトキヤの顔が見れない…!
ギクシャクな関係になりたくないのに、昨日の事が頭に浮かぶ




『……っ』

「…寿さん!!」

『!?』




すると突然大声を出して、後ろを向いてきた。
肩が上下に揺れた。




「昨日は、本当にすみませんでした!…ですから、いつもの様に接して下さい…。それとも、私の事が嫌いになりましたか…?」

『…ト、キヤ…』

「はっきり言ってくださって結構です…」




珍しく、トキヤが泣きそうな顔をしている。
HAYATOの時はニコニコだし、トキヤは無愛想で少しだけ笑うくらいだったし…。
なんで、私とギクシャクしただけでそんな泣きそうな顔するの…?




『…ごめん』

「そ、それは、私の事が嫌いになったと…?」

『違うよ!』

「………」

『ごめんね、トキヤ。別にトキヤが嫌いなわけじゃないからね。ちょっとどう接していいかわからなくなっちゃって…』

「…すみません」

『ただ、キスは…1番大切で大好きな人としたかったから…自分が勝手にショック受けてただけ』

「!?…本当にすみません…!どう責任をとれば…」

『あ、いや、少し時間が経てば大丈夫だよ』

「………」

『気にしないで』

「…はい」




私が笑顔でそう言うと、納得が出来ないような顔をして前を向いてしまった。
本当に、トキヤは悪くない…





















‐朝‐



「名前名前名前名前ーーーっ!!!」




準備が整ったから、教室に向かおうと、部屋を出たら音也が大きな声で私の名前を呼んだ。




『な、なに!?』

「た、大変なんだよ…!朝起きたら、トキヤがいなかったんだ!!机の上に置き手紙があって…!!」







‐音也へ‐

私は、大切な人に最低な事をしてしまいました。
みなさんに合わせる顔がありません。

トキヤ







『そ、んな…!』

「どうしよ…!トキヤどこに行ったのかな…。あぁ!なんで爆睡してたんだよ!俺のバカッ!!!」

『…トキヤ!』

「名前!?」




気づいたら足が勝手に動いていた。
なんでか、今無性にトキヤに会いたくなった。
早く見つけなきゃ…!





バカだね
(トキヤのバカ…!気にしないでって言ったのに!
(な、何を…?
(…教えない



20131003

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