レンと翔の企み
『春歌って…、やっぱり春ちゃんだよね?』

「だと思いますけど」

「AクラスとSクラス1人ずつに音楽の神がいるのか…?信じらんねぇ」

「それが、レディと名前ってわけだね」

「YES」

「ですから、離れなさいと何回も言っているでしょう…!!」




トキヤのおかげで、またセシルの腕から解放された。
ずっと同じ体勢だったから腰が痛い…




「ん?セッシー、もう少しでチャイムなるよ?」

「構いません♪」

「日向先生くるけど…」

「全然構いません♪」




いやいやいや、構いませんって…自分のクラスに帰らないおつもりですか?







――――ガラッ



前の扉から入ってきた日向先生。
私、怒られてしまうのかしら…、いやだ!日向先生に怒られるのは絶対に嫌!




「おぅ、席に着けー…って愛島はAクラスだろうがっ!!」

「イヤ、です」

「嫌ってお前…」







――――ガラッ!



「あー、やっぱりここにいたのねぇー!セシルちゃん!Aクラスに帰るわよ!」




後ろの扉を勢いよく開け、入ってきたのはAクラスの月宮先生だった。
いつも可愛くて綺麗なのにちょっと怖い顔です。




「イヤです〜!!」

「ごめんなさいね名前ちゃん、今すぐ連れていくから…!!」

『あ、はい…』

「やめて、くださいっ!」

「もう!私に恥をかかせないでちょーだい!!」




Sクラスの全員が見守るなか、セシルは月宮先生に連れていかれた。
静かになった教室では、みんなが私を温かい目で見ていた。







***



放課後、Sクラスの教室にいたのは、私・トキヤ・レン・翔ちゃんの4人。
今日の事について話し合う事にしたのだ




『…ミューズ』

「寿さんが、音楽の神って事ですけど…、私は絶対に反対です。納得ができません!」

「な、なんでお前の許可が必要なんだよ…」

「だから、イッチーはセッシーに名前を取られると思うと、耐えられないんだろうね」

「違いますっ!!」

『そっか、寂しいのか…。大丈夫!私はトキヤのモノだから心配しないで!』

「誤解を招く言い方はヤメテ下さいっ!!」




トキヤをからかうのも楽しいけれど、そろそろ本題に行こうぜ?




「なぁ、トキヤはさ、名前がアイツに取られるのが嫌なんだろ?俺も嫌だけどよ…」

「…はい」

『翔ちゃ…』
「俺考えたんだ…、アイツに諦めてもらう方法!」

「何となくわかったよ、おチビちゃん♪」




私とトキヤにはさっぱりわかりません…。
説明してくれませんか?




「…何です?」

「トキヤと名前が恋人になればいいんじゃね?」

「『なっ!?』」

「名前の相手は俺がいいと思うけど、生憎妹みたいに思ってる子に手は出せないしねぇ♪」

「俺もさ、名前の相手は気楽にできる自分がいいと思ったんだけどな…、親友に手は出せねぇし…」




お前ら2人何か企んでいるのか?何故トキヤと恋人同士にならんといかんのじゃ




「…私は嫌です」

『私もー』

「………」




トキヤもそう言ってるし、やめようぜ。って事で、何か新しい案を考えようか!




「ダメだ、絶対やれよ」

「楽し…、辛いと思うけど頑張らなきゃ」

『レン、今「楽しみ」って言おうとしてたよね?』

「さ、帰るかおチビちゃん♪」

「おぅ」

『「あ」』







――――ガラッ



私とトキヤを教室に置いて、帰ってしまったレンと翔ちゃん。
何でこのタイミングで帰るんだよっ!!




「………」

『………』

「…あの」

『…ん?』




しばらくして、トキヤが話をかけてきた。
嫌だよね?トキヤも嫌って言ったよね、さっき




「…やりましょう」

『ふへ?』

「ですから、愛島さんの前では…こ、“恋人”を//」

『えぇー!?トキヤとイチャイチャしたりすんの!?鳥肌立つに決まってんじゃんか!!!』

「やりますよね?」

『!?』




ドスのある声と、私を睨んでいるその顔。
この2つが目の前にあって誰が断れるのか…。
私には無理です




『はい…』

「では、頑張りましょう」





レンと翔の企み
(なんなんだよ…、トキヤ怖いよ…!!
(私は怖くなんかないですよ?



20130814

prev next
back
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -