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クラス対抗リレー
やっぱり…、れいちゃんさっきよりちょっとテンション低い気がするんだけど…。言わなきゃ良かったのと、途中で寝ちゃったから…起きた時にれいちゃんものすごく落ち込んでたもん
「名前、僕ちん帰るね」
『…うん』
「こーら!いつまでも落ち込んないのっ!ね?」
そう言ったれいちゃんは、私の髪をクシャクシャになるまで撫でた。
自分だって落ち込んでるくせに…、私にも気を使いやがって!!
『れいちゃんもね』
「ありり?お見通しか…」
『当たり前だよ。れいちゃんの妹15年間もやってるんだから』
「…そうだね♪」
それから、落ち込んでる様子もなくれいちゃんは帰って行った。元気でいてくれるといいんだけど。仕事に影響しなきゃいいな。
まだ後一つだけ競技があるんだよねー…クラス対抗リレーだっけ?
『やだなぁ…』
***
『おーい!』
「おせぇぞ名前!」
『ごめん翔ちゃん』
入場門に並ぶAクラスとSクラス。
もうすぐで始まる…。うはー!緊張するよぉ!!
≪それではー!AクラスとSクラスによる、クラス対抗リレーでーす♪≫
月宮先生のアナウンスで入場門をくぐる私達。
それから奇数組と偶数組に別れ、自分達の立ち位置へと移動した。
「名前ちゃんとだ〜♪」
隣にいるなっちゃんが、私に話かけてきた
『え?何が?』
「リレーですよ♪」
『!?』
「やったー♪」
なっ!!私がなっちゃんと走るだって!?負けるに決まってんじゃん!!!
その「やったー」って何?私が遅いから勝てるみたいな?それとも純粋に私とだから?
≪ヨーイ、ドン!≫
日向先生の合図と共に走り出したマサとレン。
(2人は1番目)
「貴様になど、負ける、ものかぁぁぁあ!!」
「悪いが俺も、お前になんか、負けられないねぇ!」
熱くなるのはいいけど、あんた達2人だけの対抗ではないですよー…。
でも、これがすごい速いんだよね。負けず嫌いって本当にすごい
「聖川様っ…!」
「レンっ!!」
≪おーっと!同時にバトンを渡しましたー!!≫
マサは春ちゃんへと、レンは翔ちゃんへとバトンを受け継いだ
「あわわわ…」
「いっくぜぇえ!!!トキヤ!!」
翔ちゃんはものすごいスピードで、春ちゃんとの差を広めていく
「トキヤ受け取れっ!!」
「翔!こっちですっ!!」
≪これは!Sクラスが先にバトンを渡しましたね≫
「音也、お先です」
「春歌ー!頑張れー!!」
≪Sクラスに差をつけられたAクラス!どうなるどうなる??≫
「お、音也くん…!」
「行ってくるねっ!」
トキヤもある程度本気で走ってくれている。
音也も速い…、トキヤとの差を縮めてる
それからSクラスとAクラスの差が縮んだり、広がったりの繰り返しだった
≪もうすぐアンカーが走りまーす♪Sクラスのアンカーは寿名前ちゃん!Aクラスのアンカーは四ノ宮那月くんですよー♪≫
「ドキドキしますね♪」
『勝てるかなぁ…』
ある程度差をつけてもらわないと、なっちゃんに勝てない気がするよ…
「寿さん…!!」
『よしっ!!!』
≪Sクラスのアンカー名前ちゃん!バトンを上手に受け継いだー!!≫
『女だからって…、なめんなよっ!!』
私は女の中でも足は速い方だとは思うんだよね。
なっちゃんには負けないぞー!
≪おーっと!ここで那月くんも今、バトンを受け継ぎましたー!どうなる!?≫
も、もう!?
いやぁぁぁぁぁあ!!負けたくない!!
「名前ちゃんお先です」
『あ…』
やっぱ速い…
女は男に勝てないのか…?
≪はいは〜い♪名前ゴール見て見てっ!≫
アナウンスさん、突然しかも勝手に私を呼び捨てですか?
仕方なくゴールの方を見ると、先ほど帰ったはずのれいちゃんが、右手でマイクを持ち、左手でクマのぬいぐるみを持って立っていた
『!?』
れいちゃんの登場にみんなが騒ぐが、れいちゃんが「ちょっと静かにしてねー」って言うと静かになった
≪名前ー♪今日1日頑張ったご褒美に、可愛いクマさんのぬいぐるみと…、僕ちんのチューが待ってーるよーんっ♪≫
またみんなが騒ぐ。
当たり前だ、チューとか言うからだよ。
しかし…クマのぬいぐるみだと…!?しかも、私が一番欲しいヤツ…!!
『(欲しいっ!!)』
「わっ!…名前ちゃん速い!!」
私はクマのぬいぐるみを目指した。たぶんマリカーのキラー状態になってると思うよ
『クマッ!!』
――――パンパンッ!
≪Sクラスゴールです!≫
「ちょっ…!名前顔が怖いからっ!!」
『クマー!!//』
れいちゃんに突進した私は、そのまま倒れた
「…名前、イノシシじゃないんだから…」
『クマだー♪可愛いー♪』
「話聞いてないし…」
≪Sクラスが1位です!きっと今回はお兄さんのおかげですね!≫
「名前ちゃん、大丈夫ですか?」
『なっちゃん…』
「僕の負けです」
私に手を差しのべてくれるなっちゃん。
その手を握ると、なっちゃんは私を立たせてくれた
『ありがとう!』
「…可愛いっ!!//」
――――ギュッ!
なっちゃんは目にも止まらぬ速さで、抱きついてきた
『!?』
「名前ちゃんとクマさんのぬいぐるみがすごーく可愛いですっ!//」
「ちょっと!ダメダメ!」
れいちゃんが私となっちゃんの間に無理矢理入り込む
「ダメでしょー?僕の妹に手ぇ出しちゃー。めっ!わかった?」
「はい…」
「ぼ、僕…何も悪くない」
落ち込むなっちゃんを見て、れいちゃんは不安になったみたいです
『れいちゃん、クマさんのぬいぐるみどうしたの?』
「ん?さっき、すぐ近くにあるお店で買ってきたんだよ♪ご褒美にでもって」
『そっか、ありがとう♪』
「どーいたしましてぇ♪ねっ!チューする?」
『するかバカ』
「ひどーい!」
今年の体育祭は、Sクラスの勝利です♪
負けたAクラスは全員が男装・女装をしましたとさ♪
クラス対抗リレーめでたしめでたし…
20130503