トキヤに殺されそうになった
保健室からグラウンドに戻ると、トキヤが出るパン食い競走が始まるところだった。音也にだけは負けるなよー!






≪よーい♪ドーン!!≫




月宮先生のスタートの合図で、選手のみんなが走り出した




『ただいまぁ♪』

「お帰りレディ」

「膝、大丈夫か?」

『平気だよ!』




Sクラスの指定されている席に戻ってきた。
隣にはレンが座ってて、前には翔ちゃんが座っている




『トキヤはどう?』

「相変わらずやる気なさそうだぜ…?」

『チッ…!ちょっとゴール付近に行ってくるわ』

「ちょっ!レディ!?」




レンに呼び止められたけど、絶対Aクラスに負けたくない。私はある作戦を思いついたぞー!♪わーい♪




『はぁはぁ…、ちょっと疲れた…。ゴール遠すぎるだろうが!!』




まったく、あいつ全然やる気なさそうな顔してんな…クソッ!!




「あれ?ゴール近くにいるの名前じゃない?」

「………」

「どうしたんだろ」

「…さぁ」

『とぉおーきぃいーやぁあーー!!!!』

「「!?」」




やる気を出してもらうにも、こうやるしかないんだ!許せトキヤっ!!




『あんたぁ!ちゃんとやらないと皆に秘密バラしちゃうからねぇぇぇえ!!!』




ふぅ、これでやる気出してくれたかな。…あれ?なんか地面が揺れてる気がする…。地震かな?




『そういえばトキヤどうだろう…』




後ろを振り返り、様子を見ると、すっげー速さでこっちに向かってくるトキヤが…。
顔怖いんだけど…パンをくわえてるから怒った犬の様に見える




『この揺れはトキヤか…』

「あぁーなーひゃーはぁー!!!」

『わわわっ…!』

「そんなところまで寿さんに似ないで下さいっ!!」

『ムグッ!!』




トキヤはゴールした直前に、くわえていたパンを地面に落とし(もったいないよ)私の口を塞いできた




『んんー!!!』

「はぁ…、はぁ…」




すごい力で口を塞がれる。痛い!痛いよバカたれ!!
ちゃんと緩めて痛いから!




「トキヤ速いね♪…ってか名前涙目になってるから、そろそろ離した方がいいと思うよ…?」




音也天使や!♪
もう君は前から天使だよね!私が困っていると助けてくれるよねっ!




「音也に関係ありません」

「えぇ〜…」

『んー!!!!』




悪魔ぁー!!!
奥村くんかアレンにグサッと刀で刺されて成仏しやがれよ!!




『……うっ…』




いやー!!もう苦しい…!苦しいから!地味に鼻押さえるよチクショー!
あ、意識が遠く…なる…




「ト、トキヤ!名前グッタリしてるよ!!」

「!?」

「名前!おーい!!」

「…やりすぎました」






















『…ぷはっ!』

「あ、起きましたか?」

『…トキヤ?』




ここは…、さっき来た保健室のベッドの上だ…




「大丈夫ですか?」

『大丈夫なわけある?』

「…ないです」

『死んだかと思った…』

「私も思いました」




さらっと言うなよ。
HAYATOならそんな事絶対に言わないのに…




『はやちゃんがいい…』

「今度は本当に殺しますよ?」

『ごめんなさーい…』




最近私の扱いが酷い気がする。もっと優しくしてもいいはずだよ?




「おっと…もうこんな時間ですか。私とした事が…」

『そういえば、もうお昼すぎてる…』

「私は用事があるので行きますね」

『頑張ってねー♪』

「……はい//」




私が笑顔で応援すると、トキヤの頬はほんのり赤く染まっていた。
あのトキヤが照れてる…!




『トキヤ、照れて…』
「殺しますよ」

『…ばいばーい』




手をヒラヒラさせると、トキヤはぶっきらぼうに保健室を出ていった。
おそろしい!あの人怖いよ




『トキヤは翔ちゃんよりもツンデレなんだよな…きっと…』




トキヤ、名前はちゃんとわかってるゾッ☆








――――ゾクッ…



「背筋が…」





トキヤに殺されそうになった
(天国行ったかと思ったー



20130430

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