嶺ちゃんの凄さ
やっと、やっと帰れる日がきました…!!嶺ちゃんに会えるんだ!!

いやー、この1週間で散々な目にあった…毒キノコ食べたし、マサには怒られるし、なっちゃんの手料理にはビックリしたし、トキヤにドキドキしたし、レンはお兄ちゃんみたいだったし、翔ちゃんは可愛かったし、熊に襲われるし…





『やっぱ山って怖い』

「遭難した事思い出しちゃった…?」

『音也…。…まぁね』

「あれ?ちょっと元気ないね…。でもさっ!もう帰れるからっ!」

『そうだね』




荷物は、もう昨日でまとめ終わっていた。後は迎えのヘリコプターが来るのを待つだけ




「でもさでもさ、俺すっげー楽しかったよ!」

「はは、奇遇だな一十木。俺もだ」

「僕も超ちょー楽しかったですっ!」

「ふふ、私も楽しかったですよ!」

「まぁ、そうですね」

「なかなかないよね、こんな事」

「俺、またみんなと遊びたい!」

『私も私もっ!』




山で過ごすのは大変だったけど、みんなの心は一つになれた気がするよ










***



「よぉ、戻ってきたな!お疲れ様」




教室に入ると授業中だったらしい。クラスのみんなが一斉にこちらを見た。




「はい」

「会いたかったよ、レディ達」

「はぁ…」

『わっ…』




私達に向かってきた日向先生は、笑顔で私にだけ頭を撫でてきた




「おかえり。早く席につけ、授業の続きやるぞ」




日向先生の指示に従い、私達は各自席に座る。
懐かしいな…1週間ぶり?と感動していたら翔ちゃんが話をかけてきた




「そういえば、名前と隣だったな」

『ん、そーだよ』

「私は、寿さんの前でしたね…」

『何、その嫌そうな顔…』

「俺はレディの後ろさ」

『うん!』




トキヤとレンも話かけてくれた。
合宿行く前でも仲良かったと思うけど、また更に仲良くなった気がするな〜




「なんだ、お前ら仲良くなったな」

「…そうですか?」

『え?…そうかもしれないです!』

「まぁ、意外と楽しかったよなっ」

「あぁ、確かに良い思い出にはなったみたいだね」

「はは、そーかよ」




そう言った先生の顔は笑ってた。その笑顔を見た私達もつれられて笑った














――――ガラガラ!



「ちょっと龍也先輩!!!名前が山の中ってどういう事!?僕に説明してっ!!!」




あれ…?
嶺ちゃん…?




「はぁ、あのな嶺二…」

「…あれ?名前いるじゃない。名前〜!!大丈夫?怪我はないよね!?」

『だ、大丈夫、だよ』




れいちゃんは教室に入ってくるなり、私の肩を掴んで軽く揺らした。
うっぷ…、気持ち悪っ…




「嶺二!!今は授業中だっ!!!」

「…あり?」

「「「「「「「「「きゃぁぁぁぁぁあ!!!寿嶺二さんよ!本物だわぁぁぁぁぁあ!!」」」」」」」」」




あーあ…
嶺ちゃん、心配しすぎで学園に来るからいけないんだよ…









***



「嶺二!2度と教室には入るな!!わかったか!?」

「はい、すいません…」

『前に、嶺ちゃんの妹って言っただけでも騒がれたんだからね!』

「名前、僕ちんの事嫌いになった…?」

『はぁ!?なるわけないじゃん!!』

「可愛いー!」

「(コイツら本当に兄妹なんだよな…?)」

『日向先生、後は私が処理しますので!』

「あ、あぁ…頼んだ」




私は嶺ちゃんの腕を力強く掴み、寮まで目指して歩きだした。
日向先生が、嶺ちゃんの名前を出しただけで顔を真っ青にしたのもわかる気がする。




「突然来てごめんね」

『…大丈夫だよ』

「山の中にいるって聞いたらさ、いてもたってもいられなくて…小さい頃のトラウマもあっただろうし…」

『…心配してくれてありがとう、嶺ちゃん』

「可愛いな〜!もうっ!」

『もう、すぐそうやって…』




私達が廊下でふざけ合っていると、後ろから声をかけられた。
振り返るとトキヤとレンと翔ちゃんの姿




「はじめまして、一ノ瀬トキヤと申します」

「あれれ〜?はやちんじゃな〜い!」

「いえ、ですから一ノ瀬トキヤと…」

「久しぶりだねぇ!なんで早乙女学園にいるの?ってか性格が違う気がする…」

「ですから!一ノ瀬トキヤと名乗りましたっ!別人です!!話を聞いてください!!!」




嶺ちゃんが話を聞かないから必死だな…、トキヤ…
少し面白い




「俺は神宮寺レン」

「へぇ〜…じゃあレンレンねっ!」

「レ、レンレン…?」




嶺ちゃんってば…、すぐあだ名をつけるんだから




「俺は来栖翔です!」

「うわぁ!ねぇねぇ名前!!この子ちっちゃくて可愛いよっ!!」

「ちっちゃいって言わないで下さいっ!!」

「よろしく翔たん!」




翔ちゃん、君は小さくて可愛いんだからそれは仕方ないよ…。
男なんだから腹をくくらないとねっ!




「僕は寿嶺二だよん!知ってると思うけど名前のお兄さんですっ!」

『嶺ちゃん、この人達は私の友達だよ』

「なぬっ!名前に友達…。僕っ、嬉しいよ!!仲良くしてあげてね!!!」

「「「は、はい…」」」




嶺ちゃん、あまりにも号泣し過ぎだからみんな引いてるよ…




「んで?みんなは僕ちんに何か用なのかな?」

「いえ、いずれ先輩になるかもしれないのでご挨拶をと思いまして…」

「常識さ」

「その通りです!」




みんな真面目な顔をしてる…そんな顔一度も見た事ないよ




「ありがとう。僕の後輩になったらビシバシ教えてあげるからねぇ!それまで、待ってるよ」




れいちゃんもお仕事って時の顔だ…。なんか久しぶりに見たかも…




「でも、僕として一番は名前と仲良くしてくれたら嬉しいな〜!これは先輩からじゃなくて、お兄さんからとして!」

「わかりました」

「お安い御用さ」

「まかせて下さい!!」





嶺ちゃんの凄さ
今日改めて、嶺ちゃんがすごい人なんだなって思った


20130417

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