可愛いけどカッコいい翔ちゃん

『翔ちゃ〜ん』




翌朝、翔ちゃんを見つけた私は、後ろから彼をギュゥゥウ!!っと抱き締めた




「うわぁ!なんだ!?」

『ホント翔ちゃんは可愛いなぁ!』

「な、那月みたいな事すんなよっ!!」




頭を撫でたりしてたら照れて暴れまくるので、仕方なく翔ちゃんから離れてあげた。
可愛い!弟に欲しかった!




『翔ちゃんってなんだか弟みたいで可愛い』

「可愛い言うな!!」

『家に持ち帰りたい!』

「冗談言うなって…」

『でもさ、ずっと一緒にいようね!』

「どうした急に…」

『だって、早乙女学園に入って最初に友達になったのは翔ちゃんだもん!ずっと仲良くしようよ!してよ!』

「名前…。そうだな!仲良くしようぜ!」

『うん!』




やっぱり翔ちゃんは可愛くて優しくてカッコいいよね〜!
君の笑顔で私がどれだけ癒されてるか…!!









***



やっと明日は学園の方に帰れる日。アイドル強化合宿は長かったようで短かったかも。みんなは帰る為に荷物整理をしていた




『はぁー!やっと明日は帰れるね春ちゃん!』

「うん!そうだね名前ちゃん」




テントは明日の朝には片付けないと…。あれ?でもテントってどうやって片付けるんだろう…。まぁ、それは明日になってからでいいかな




「ふぅー終わりました」

『オーケー!なんか…すっきりしたね』

「すごくすっきりです!」




荷物整理をするだけで、こんなにも綺麗になるんだ…心もすっきりしてるし。

休憩をしていると、テントが小さく揺れた気がした。




「?」

『?』




風が強いのかなって程度で考えてたけど、徐々に強くなっていく。これは風の仕業じゃなくて誰かが動かしてる。




「テントが揺れてます…」

『誰か遊んでるんじゃ…?』




みんなの中の誰かがイタズラで揺らしてんのかと思ってたんだけど…、何か様子がおかしいと思ったのも一瞬




「ガウゥゥゥゥ!!!」

「きゃあああああ!!」

『は、春ちゃん!!!』




これはたぶん、本当は信じたくないけど…熊っぽい!!
春ちゃんを引き寄せて抱きしめた。テントがだんだん潰されていく。せめて、春ちゃんだけでも守らないと…!




『こ、怖いよおおおお!!!!』

「名前ちゃーん!!」




私と春ちゃんはパニック状態。人間って危険な時にパニック状態になると何も出来ないんだね…。
只今冷静さを失っています。




『翔ちゃん…!!』




















「なんか、隣が騒がしいですね…」

「隣は…レディ達のテントか?」

「名前が暴れてんじゃねぇの?」

「ありえますが、それとは違うかと…」

「トキヤトキヤー!!大変だよ!!!」

「なんですか音也」




音也が慌てて俺らのテントに入ってきた。なんか顔色が真っ青な気がする




「熊!!熊がっ!!」

「「「熊?」」」

「一十木!早くこい!!」




聖川が音也の襟を掴んでそのまま引っ張って行った。
熊ってなんだ…?




「俺達も行くぜっ!!」

「あぁ!」

「わかりました」




俺達はテントを出て辺りを見回すと、名前と春歌がいるテントを熊が押しつぶしていた




「名前!!」

『し、翔ちゃーん!!』

「みなさん…!」




テントの中には春歌の上に名前が乗って守っている姿があった。




『ぎ、ぎゃぁぁぁぁぁぁあ!!』

「あわわわわ…!!」




まずい…
これはものすごくまずい気がするんだけど…




「ど、どうすんの!?」

「熊は、わからん…!」

「熊さ〜ん!そのテントから離れてくださ〜い!」

「作戦を…」

「作戦なんて立ててたらレディ達が危ない!」

「那月っ!危ねぇから!熊はマジで!!」




みんなは対策を考えているが、俺は熊に近づこうとする那月の服を精一杯引っ張る。




「…あ」




そうだ。一つだけ熊を追い払う方法を見つけた。
…けど名前達が危なくなる可能性がある。でも一か八かやってみるしかねぇ!2人が危なくなったら俺が守るだけだ!!




「那月っ!こっち向け!」

「なぁに?翔ちゃん」




俺はすごい速さでメガネをはずした。で、すごい速さでその場から逃げた。
ここからでも砂月のオーラは怖いぜ…




「ガルゥゥゥゥ!!」

「………」




那月…いや、砂月が熊の前に立ちふさがる。




「ふん!!」

「ガウ?」




砂月は熊の前で地面を拳で殴り、長い亀裂が入った




「『!?』」

「ガ、ガウゥ……」




怯えた熊は森の中へ逃げていった。なんとか名前と春歌に怪我はなかったが、まだ砂月が残ってる。安心は出来ない




「翔…?怖い那月がこっち来る…」

「四ノ宮!待て!」

「四ノ宮さん!?どうしたのですか!?」

「シノミー!ちょっと待って!!」

「那月!!」




何を言っても反応しない。当たり前か、砂月だからな。こうなったら…!




「〜っ!…な、なっちゃん!!」

「は〜い!」




「なっちゃん」呼びを恥ずかしいけど呼んで、振り向いた“那月”にメガネをかけた。
すると黒いオーラは消えていった




「あれ?熊さんは?」

「「「「「はぁあ…、疲れた…」」」」」




なんとかみんな無事に終わった…









***



「春歌大丈夫!?」

「無理をするなよ」

「怪我はしてないですか…?」

「はい、名前ちゃんが守ってくれていたので…」



「大丈夫ですか寿さん」

「レディ、お疲れ様」

「大丈夫か?怪我は?」

『………』




呆然としている名前。きっと怖くて何も考えられないんだろう




「よく頑張ったな」

『しょ、翔ちゃん…』




俺は名前を優しく抱き締め、背中をリズムよく叩いた。




『うぐっ…翔ぢゃぁぁぁあん!!怖かったよぉぉ!!』

「名前が無事でよかったぜ…」

『うわぁぁぁあん!!』




名前は俺の背中に腕を回し、泣き出した。
今度は彼女が泣き止むまでずっと背中をさすった。
可愛いなんて言われてるけど、俺だって男だ。大切な友達くらい守れないと男じゃねぇよな





可愛いけどカッコいい翔ちゃん
6日目・来栖翔
(うっく、翔、ちゃん…!
(頑張った頑張った
(ふぇぇえん!
((こちらの寿さんの方が可愛いですね…
((そうだね、レディが泣くとは珍しいね


20130414

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