なっちゃんの手料理

『なっちゃーん!』

「あ、名前ちゃん!おはようございます〜」

『おはよう!』

「んー!可愛いっ!!」




なっちゃんは我慢していたのか、体を小刻みに震えさせて、どうしたのかな?って様子を伺おうとしたら突然こちらに向かってきた。




『な、なっちゃん…!ちょっと苦し…!』

「ふふ〜!名前ちゃんとても可愛いです」

『あ、ありがとう…!』




朝からなっちゃんに可愛いって言われるのは嬉しいけどさ、苦しいんですがっ!!これ死ぬっ!!




「こら那月!名前が苦しんでるだろ!!」

『「翔ちゃん!」』

「ん、おはよーさん」

「おはようございます!」

『おはよー!』




突然翔ちゃんが現れ、なっちゃんの頭を軽く叩いてくれたおかげで彼は私から離れてくれた。
ホントに苦しかった…









***



「えぇ!また俺が食料探しに行くの!?」




音也が突然大きな声を出して何かに驚いていた。
いや、こっちも音也の声で驚いたけどさ




「あぁ、しかし、今回は俺と神宮寺と一ノ瀬と七海と来栖が行くぞ」

「ほぼみんなじゃん!!」

「いや、名前と四ノ宮は待っていてくれないか?」

『りょうかーい!』

「は〜い」

「いいか四ノ宮、名前に危険が迫ったら守ってやってくれ」




マサは人差し指を立てて、なっちゃんにそう言った。マサの言葉を聞いたなっちゃんは…




「はい!僕に任せてください真斗くんっ!」




もちろん、なっちゃんスマイルで了解した。




「よし、では…行くぞ!」

『ねぇ春ちゃん!気をつけてね!!』

「ありがとう!」




あぁ…、やっぱり春ちゃんは可愛いなぁ。

こうして、音也・マサ・トキヤ・レン・翔ちゃん・春ちゃんが食料を探しに森の中に入って行ったのだった。









***



『暇だね、なっちゃん』




みんなを待っている間は、本当に何もする事がない。私達は何をすればいいんだろう…




「そうですか〜?僕は名前ちゃんを見ているので暇ではないですよ」

『な、なっちゃん!恥ずかしいから見ないで!!』

「どうしてです?こんなに可愛いのに…」




なっちゃんは、俯いた私の頬を撫でる。
翔ちゃんから聞いてたけど…なっちゃんって天然なんだよね…?天然って恐ろしい…!!




『お、お腹空いたね!』

「そうですね〜。一緒に作りますか?」

『え?うん!作るっ!!』

「料理はした事あります?」

『…ない。けど、作ってみたいな!』

「だったら、僕が教えてあげる!一緒に作りましょう!」

『うん!』




本格的な料理なんてするの初めてだ。
一応は寿弁当の娘だけど…手伝いで唐揚げを揚げたりとかしてない。プラスチックのお弁当箱に綺麗に詰めてただけなんだよなぁ…




「では、始めますよ〜」









***



『…あれ?私の全然おにぎりじゃないね…』

「そうですね〜。名前ちゃんは僕より手が小さいので、小さめに作ってみては?」

『うん』




おにぎりを作るだけなのに、なぜか手からポロポロ落ちる。寿弁当の娘なのに…




『なっぢゃーん!!』

「名前ちゃん泣かないで…、僕のをあげますから!」

『なっちゃん…!』




なっちゃんの優しさにブワッと更に涙が出てきた。
なんて優しい人なんだ…




「みんなが帰ってくるまで、2人だけで食べましょう?」

『うん!』




結局なっちゃんに全部おにぎりを作ってもらってしまいました。
料理できるようにしよう…




『わは〜!美味しそうー!!』

「いっぱい食べていいですからね〜」




私は1つのおにぎりを手に取り、口を大きく広げて食べ始めた




『モグモグ…』

「どうですか〜?」

『!?』




うっ…!!
な、なんだ…?この不思議な味…。見た目は美味しそうなのに…!!




『………。』




あ、音也が何か言ってた気がする…!
たしか…なっちゃんがマサにクッキーを渡した時、マサが真っ青になってたから音也に聞いたんだった!
「不思議な味がする」って言ってたよ…!!
わ、忘れてた…




『うぐ…』

「名前ちゃん!?」




ふと意識が遠くなったのを覚えてる









***



「結構見つけたな〜」

「翔ちゃーん!!」

「な、那月?どうした?」

「名前ちゃんが…!」




那月にお姫様抱っこされている名前。どうやら意識がないらしい




「名前、また毒キノコ食べたとか…?」

「そんな事2度もするはずなかろう」

「一体寿さんの身に何が…」

「シノミー、レディは起きないの?」

「名前ちゃん…」




みんなが名前を心配してる。もちろん俺様もだ。
いったいコイツに何が…




「僕の作ったおにぎりを食べたらこんな事になってしまいました…!!」


「「「「「「ゔっ!!」」」」」」




那月以外の人は、みんな顔を青くする。
…だってみんな那月の手料理を知っているから




「名前に那月の料理の事、誰も言ってねぇの…?」

「俺は言ってないぞ…」

「わ、私も言っていませんね…」

「残念ながら俺も言ってないねぇ…」

「わ、私も…です…」

「俺は言ったけど…」

「音也が?」

「うん、那月の手料理は不思議な味するって…。ここ来た時に言った気がする」

「名前…忘れてたな…」

「どうしたんですか?みなさん」




ヒソヒソと輪になって話しているみんなに、那月は首をかしげていた。
それから、名前が起きたのは約30分後だった





なっちゃんの手料理
3日目・四ノ宮那月
(あ、れ…?
(名前ちゃん起きたんですね…!!
(なっちゃん…!?
(どうかしましたか?
(あ、いえ、な、何も…

((軽くトラウマになってるな…


20130406

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