虫が大嫌いなマサ

『マサー、手出して』

「なんだ?」

『いいから手、だして!』

「ん」




私がマサにそう言えば素直に手を出してくれた。私はさっき“捕まえたヤツ”を渡す




『はい、カブトムシ!かっこよくない?このテカリ!』

「うぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!!!!!!」




カブトムシをマサの手に乗せると彼は顔を真っ青にしながら手を振ってガムシャラにどこかへ走って行った




『あれ?』




なんで涙を流してあんなに素早く走り去っていくんだろうと、首を傾げていると、後ろからレンが声をかけてきた




「レディすまない。聖川は虫が大の苦手なんだ」

『そうなの!?…うわぁ、悪い事しちゃったな…』

「聖川より俺と遊ばないかい?」

『…レンごめん、ちょっと謝ってくる!』




やっぱり罪悪感があるわけで…、謝らないわけにはいかないよな









***



『マサー!!』




マサを探して30分。
全然なかなか見つからない。山だから森の中にでも入ったのかな…?
そんな遠くに行くかな?




『マサどこー!?』







――――ガサガサ



「うぁぁぁあ!!!」

『ん?』




森から勢いよく出てきた人に抱き締められると、そのまま地面に倒れこんだ




『いたた…』

「無理無理無理!!」

『誰?』

「む、虫ぃ!!こっちに来るなぁぁぁあ!!!」

『え?…マサ?』




マサは怯えていて、目に涙をためていた。結構強い力でしがみついてくる




『マサ!』

「…名前?」

『落ち着いて?もう虫はいないから』

「あ、あぁ…すまん」









***



『落ち着いた?』

「…すまない」

『なんで?』

「その…、見苦しいところを見せてしまったからな」

『そう?結構マサの新たなところが見れて楽しかったよ?』

「そうか?」

『うん!』




マサと話ているのがつい楽しくなっちゃって、空がオレンジ色になるまでお話していた




『やばい、早く帰らないとみんなが心配するよ?ここから30分かかるし…』

「…そうだな。すまない」







――――ブーン



『「?」』







――――ブーン!



『「は、ハチ!?」』




なんでこんな所にスズメバチがいるのー!?怖い怖い!!
あ、私が怖いって思ってるって事はマサはもっと怖いはずだよね…、私がしっかりしないと…!!







――――グイッ



「こっちだ名前!」

『マ、マサ!?』




怖がっているかなと思ってたのに、マサは私の腕を掴んで走りだした。
でもね、走るのはダメなんだよ!ゆっくり歩かないと!!









***



「『はぁ、はぁ…!』」




なんとかハチから逃げてきた。まだマサは私の腕を掴んでるまま




「はぁ、…すまない!」

『え?…ううん』




バッとマサの手が離れる




『マサ…、ハチ怖くないの?』

「…とても怖い」

『大丈夫だったの?』

「怖くても、名前を守らなければな」

『あ、ありがとう…』




なんか、男の人に守るとか言われると女だから照れるんだよ…




『あ、マサ!足、血が出てるっ!』

「ん?…あぁ、これは多分森の中に逃げた時にでも傷がついたのだろう」

『全然気づかなかった!手当てしなきゃ…!』




私は、持っていた水を傷口に垂らし、自分のハンカチを彼の傷口にあてた




「名前!お前のハンカチが汚れる…!」

『いーの!』

「しかし…」

『マサを助ける為だったら別にいいの!…助けてくれたしさっ!』

「名前…」

『よし、結んであげるね』







――――キュッ



『よし、オーケー!』

「ありがとう…」

『どういたしまし、…て!?』




突然マサに抱き締められた




『マ、マサ!?』

「…すまない。このまま、いさせてくれ」

『うん…』




嶺ちゃん以外の男の人に抱き締められたのは初めて…
そのまま5分はずっと抱き締められてた。




『マサって大胆…』

「すまない…」




この後、みんなの所まで手を繋いで帰った。空は暗くなってて「夜は危険だ」ってさりげなく…
まったく…、マサといると恥ずかしいよ





虫が大嫌いなマサ
2日目・聖川真斗
(ハチ、ハチが…
(怖かったんだ…


20130406

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