Aクラスのお友達
あの時やっぱり寿嶺二の妹って言わない方がよかったかも…。
クラスの女子全員が嶺ちゃんのサイン求めてくるんですよね…。




「私ね、嶺二の大ファンなの!!サイン貰えないかな?」

『いや、それは…』




サイン会があったら是非、兄に貰ってください!

前に「サインが欲しいって人がいる」って、嶺ちゃんに言った時「直接言わない子にはあげないよーん」って返された事があったんだよ。もう見たくないんだ、あの嶺ちゃんの怖い笑顔…




「いいじゃない!そのくらい!友達でしょ??」

『(そういう時だけ友達、ね…)』




まったく…、嶺ちゃんのサインが欲しいからって私に媚ってくるの正直すごい鬱陶しいんだけど。
この人達はどこまでついてくる気なのかな…!いい加減にしつこい!!




「私も私もー!妹ならさ、嶺二くんにサイン頼むくらい簡単でしょー?」

『そうですね…』




もうついて来ないでよ〜!
なんて言われようが無理なものは無理なの!!




「お願い!貰ってきて?」

『はは…』




何を言ってもダメなんだな、この人達…。
サイン貰ったら周りに自慢して、また知らない子達がサイン貰いに来るんだろうな。めんどくさい!

誰か助けてください!!




「あー!いたいた。探しちゃったよ〜。話があるんだけどさ…この子借りてもいいかな?」

「い、一十木くん!?全然大丈夫だよ!!ねっ?みんな!」

「「「「う、うん!」」」」

「そう?じゃあ、行こうか!」

『え?あ、うん…』




突然私達の目の前に現れた男の人は、私の手を取り歩き出した。
もしかして見知らぬ人に助けてもらってしまったのか…?迷惑かけちゃったな、私の為に演技までしてくれるなんて…




「ここまで来れば大丈夫かな…?」




ある程度離れた所で男の人は止まった。彼は私と手を繋いでいるのにふと気がつくと慌てて手を離した




「あ、手繋いだりしてごめんね!」

『いえ!それと…ありがとうございました!』

「全然平気だよ!だから頭上げて?君、困ってたみたいだから、助けたかっただけだし」




こ、ここにも翔ちゃんみたいな笑顔が…!!
素敵な人でプラス優しい。そうだ!お礼しなくちゃ!




『あの!お礼するので、後で一緒にお昼とかどうですか?私の家お弁当屋で、1番人気の唐揚げ持っていきます!』

「え?お礼なんていいよ!たいした事してないし!」

『いえ!そんなわけにはいきません!!…やっぱりダメですか?』

「え…!じ、じゃあ…お願いします」

『はい!…そうしたら、お昼に呼びに行きます!クラスとお名前聞いてもいいですか?』

「Aクラスの一十木音也だよ!」

『わかりました!さっきはありがとうございます一十木くん!』

「いえいえ」




私は最後にもう一度お礼を言ってから、自分のクラスへと帰った。
あんなに優しいなんて…将来悪い人に騙されないか心配になるよ。
教室について、自分の席に座った。




『〜♪』

「どうした名前。すげー機嫌いいな」




授業中、顔をニヤニヤさせていると、お隣さんの翔ちゃんがそれに気づき、私に話かけてきた




『ふふーん!聞いて翔ちゃん!お昼は一十木音也くんって人と食べるの』

「え?」

『私が困ってた時にね、助けてくれたの!そのお礼をさ!』

「音也と…?」

『ふふ、楽しみ〜』




数分して4時間目の終了チャイムが鳴る。それと同時に、弁当を持ってAクラスへと向かった。
あ、トキヤと翔ちゃんとレンも連れてくればよかったかな?




『…あ、ここだ。あの、一十木音也くんいますか?』

「あ、きたきた!ねぇ!こっちでみんなで食べようよ!!」

『へ?』




私が出入口で戸惑っていると、一十木くんが慌てながら近づいてきた




「もしかして人見知りとか…?ごめん!君のこと全然考えてなかった!」

『ち、違うの!ちょっとびっくりしました…』

「そうなの?良かった、君の席とってあるからそこに座って」

『ありがとう!』




な、なんと一十木くんの友達もご一緒なんて…緊張するよー!!
うわー!しかもみんな美男美女で眩しい!!




「みんな!この子だよ」

「可愛らしい子ですね〜、僕は四ノ宮那月です。なっちゃんと呼んでください!」

『よろしく、なっちゃん!』




なるほど、メガネをかけてて全体的にホワワ〜ンとしている人がなっちゃんね!
癒し系男子ってやつだ




「俺は聖川真斗だ」

「え?マサそれだけ?せめて〇〇って呼んで。みたいなのは?」

「…真斗でいい」

「マサって呼んで!」

『よろしくね、マサ!』

「一十木、俺が言った意味ないと思うんだが…」




髪が青くて、和風な真面目でクールな人がマサか…
和風系男子ってやつ?




「俺は一十木音也!好きな事は歌う事、俺の事は音也でいいから!あとタメ語ね」

『え?あ、うん!よろしくね、音也』




さっき助けてくれて、髪が赤く笑顔が素敵な人が音也か…。
ザ・スポーツ系男子!




「あたしは渋谷友千香!友千香って呼んでね!」

『よろしく友千香!』




お、女の子だぁ!
見た目はちょっとキツそうだけど絶対優しい人だ!うん!
女子は何系だか全然わからないな…

ここにきて初めての女の子!!




「あ、ああの…七海、は、春歌…です!」

『か、可愛い!うーん…春ちゃん!よろしくね!』

「よ、よよろしくお願いします…!!」




あら、俯いちゃった…。
とても可愛い!!春ちゃんは作曲家志望なんだって。わからない事あったらこの子に聞こう!




「あははは!七海焦りすぎ!!」

「うぅ…」




Sクラスもすっごい楽しいけど、なんだかAクラスも楽しそうだなぁ




「そうだ!君はなんて名前なの?あの時聞いてなかったし…」

『あ、ごめん!私は寿名前です!よろしくね!気楽に名前って呼んで!』

「名前ちゃんですね!」

『うん!』




私が寿嶺二の妹
って言うのは伏せておいた方がいいよね…。




「そういえばさ、さっき名前はなんで女の子達につきまとわれてたの?」

『え?』




音也!?今更何を…!や、やっぱり助けてくれたから言わなきゃダメかな?




「寿嶺二のサインが〜って言ってたよね?サインが家にあるとか?」

「…知り合いが持っているとかでは?」

「えぇ〜?名前ちゃんの親戚さんが持ってるとかじゃないですか〜」

『………』

「ねぇ案外、兄妹とかじゃん?」

「仲良しさんとか?」




みんながキラキラした瞳で見てくるんですけどー!!言ってもこの人達は大丈夫かな…?
大丈夫だよ!だって音也助けてくれたじゃん!!だから、大丈夫…!




『あの、実は…』

「「「「「うん」」」」」

『私の兄が、寿嶺二だから、みんなサインを貰ってきてって…』

「そうなんですか〜」

「嘘、ではないみたいだ」

「マジで!?それスゲーじゃん!!」

「うそ…!当たった!」

「す、すごいですね!」




やっぱりダメかな…?
サインねだられるかも…?




「と、いう事は…、将来デビューしたら兄でもありライバルでもある、という事だな」

『え?』

「いいなー名前!身近にライバルがいてさー」

『ライバル…』

「お兄さんの事は好きなんですか〜?」

『うん、好き』




あれ?サイン求めて来ない…。やっぱこの人達は、みんなと違うんだ…


ふふふ…!
いい友達がAクラスに5人も増えた!Aクラスも楽しいなぁ!!!




Aクラスのお友達
嶺ちゃん、私に友達が8人も出来たよ!


20130328

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