いざ、早乙女学園へ!


「早乙女学園に入学するだって!?」




私が部屋で音楽の勉強をしていると、兄が部屋に入って来て突然大きい声をあげた。
私は兄と違ってレトロではなく、ちゃんと女の子らしい部屋です




『嶺ちゃんうるさい』

「な、なんで…!?なんで僕に一言も言わないで決めちゃうの!?」




嶺ちゃんこと「寿嶺二」は子供みたいな大人でも、意外と凄い人なんです。




『私だって…嶺ちゃんみたいなアイドルになりたいから』

「名前…」




そうなんです!
我が兄、嶺ちゃんは超人気アイドルで、早乙女学園に通っていた事を前にこっそりお母さんから聞きました!
昔から兄を見ていて、私もアイドルになりたくなったのがきっかけ。嶺ちゃんに内緒で早乙女学園に受験したら合格しました。




『合格したからもう取り消さないよ』

「…だよねぇ」

『私がアイドルになるのはそんなに反対なの?』

「いや、反対しないけどさ〜…早乙女学園の学園長に無茶ぶりとかされないか心配になる…!!」




嶺ちゃんはおいおい泣きながら私に抱きついてきた。
心配してくれるのは嬉しいけど、そこまで心配しなくていいのに…




『嶺ちゃん?』

「…何かあったら僕にちゃんと言うんだよ!?名前はなかなか悩みを打ち明けないから」

『うん』

「寮には寿弁当の唐揚げを冷蔵庫に入れてもらうように言っておくから、ちゃんと食べてよ!?」

『うん!』




あれ?もしかして許してくれた?なんだかんだ言ってやっぱ嶺ちゃんは優しいなぁ











***



‐入学式当日‐




『れーいーちゃん!』




嶺ちゃんが居るであろう自宅の作業場に、顔を出してみると、いた。
さすが私!!




「なにー?僕ちん弁当作りで忙しいんだけど…」

『車、出してー?』

「えぇ〜!」

『ダメなの?』

「もう、わかったよ…」

『やったー!』




わざと悲しい顔をすれば、嶺ちゃんはしぶしぶエプロンを外し、その場に置いて一旦部屋へ戻り車の鍵を持って玄関へと向かった。
やっぱやっさし〜!




「母ちゃーん、名前を学校に送ってくるからー」

「はいよー」

「名前頑張ってねー」

『お母さん、お姉ちゃんいってきまーす!』




母と姉が見送る中、玄関を出て車が止めてある駐車場まで嶺ちゃんと楽しく話をしながら歩いた。




『楽しみだなぁ』

「あ、そうだ、一つ忠告!恋愛は禁止だからダメだよ?」

『はーい』




駐車場に着くと嶺ちゃんは、助手席のドアを開けて私に乗るよう言った。
私が乗ったのを確認するとドアを閉めて、嶺ちゃんも運転席に乗り、車を発進させた




『ねぇねぇ、嶺ちゃん!この制服の着方おかしくない!?』

「おかしくないおかしくないっ!名前は、誰よりも可愛いよー」

『そ、そんな事は聞いてないよ!!』

「あははは!照れない照れない!…ねぇ、学園でも元気でやるんだよ?たまに僕が遊びに行ってあげるから」

『ありがとう』

「あ、それと学園に日向龍也って人がいるんだけど、その人によろしく言っといてね〜」

『わかったー』




そう言った嶺ちゃんは携帯を取り出し、片手で誰かにメールを打っているみたいだ。
それからいろいろと嶺ちゃんに学園の事を教えてもらった。聞いてて思ったんだけど…早乙女学園って大変なんだなー

倍率も高いし当たり前か…




















「ついたよー」

『ありがと嶺ちゃん!』




早乙女学園に着いたから車から出ようとドアに手をかけたら嶺ちゃんが私の腕を掴んできた。
大人の顔してる…




『嶺ちゃん?』

「僕と一緒にTV出れるよう…頑張ってね」

『うん!頑張ってくるよ』

「いってらっしゃい」

『いってきまーす』




そして私は、緊張しながらも早乙女学園の校門をくぐった。これからは私の新しい生活が始まるんだ…。
嶺ちゃんと一緒にTV出れるよう頑張らなくちゃ!!




いざ、早乙女学園へ!
(名前違う違う!正門はあっちだよっ!!
(そ、そうなの…!?
(…緊張のしすぎは、良くないよー
(はぁい…


20130327

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